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QBピケットは「足掛かりとなる良い仕事」をしたとスティーラーズHCトムリン

2022年08月14日(日) 17:02


ピッツバーグ・スティーラーズのケニー・ピケット【AP Photo/Barry Reeger】

第1回目のクオーターバック(QB)の品定めが一段落――プレシーズン初戦でシアトル・シーホークスに32対25で勝利――し、ピッツバーグ・スティーラーズは選択肢である3人全員に自信を感じているようだ。

スティーラーズのコーチ陣はこれから徹底的に映像を確認するとき、ミッチェル・トゥルビスキーがデプスチャートの頂点に立つ者として見事にそれに見合う活躍をし、メイソン・ルドルフが長年バックアップを務めてきただけあって揺るぎないプレーを披露したことに気づくはずだ。しかし、特に素晴らしいプレーを見せ、ファンから大きな反響を集めていたのが未来を担うQBケニー・ピケットであったことにも気がつくだろう。

「彼らはユニットを動かした」とスティーラーズのヘッドコーチ(HC)マイク・トムリンは話している。「リーダーシップやコミュニケーションの観点から、そのポジションに関連する普段通りのことをやっていた。積極的に取り組んでいた。3人全員にとって良い滑り出しとなった。もちろん、明日はそれを徹底的に確認し、その上で評価することになる」

当然ながら、トムリンHCはシーズン第1週の先発や、誰がQB争いの主導権を握っているかについて何も発表していない。

予想されていた通り先発を務めたトゥルビスキーは、NFLで3つ目の所属チームで即座に好印象を残している。ポケットの中で強気の姿勢を保った上で、追ってきたシーホークスの守備選手と接触するタイミングで何度かパスを通したトゥルビスキーは、最初のドライブで5回中3回のパスを成功させて47ヤードを記録。ワイドオープンになっていたワイドレシーバー(WR)ガナー・オルシェスキーに13ヤードのタッチダウンパスを通して最初の攻撃を見事に成功させた。

また、トゥルビスキーは2回目のドライブで難しい状況にもかかわらず新人タイトエンド(TE)コナー・ヘイワードに正確な16ヤードのパスを通している。それ以降のプレーでは勢いが止まったものの、トゥルビスキーは機動力を発揮してサックから逃れ、ランで4ヤードを稼いだ。

一方、ルドルフは敵陣の深いところでスティーラーズが3回目の攻撃権を得たときに指揮を執っている。最初のスナップでシーホークスから2巡目指名を受けたラインバッカー(LB)ボイエ・マフェにブラインドサイドからサックされて後退したものの、自らファンブルリカバーした。また、その2プレー後にはエンドゾーンの角にいた新人WRジョージ・ピケンズに26ヤードのタッチダウンパスを決め、ミスを取り返している。

ルドルフはそれ以降の3回のドライブであまり良い位置から始められず――平均して自陣20ヤード地点から攻撃を開始――わずか3点しか得点を挙げられなかった。ルドルフはスティーラーズのシステムを3年経験していることもあってか、ポケットの中で安定感があるように見受けられた。

試合の前半をパス15回中9回成功、93ヤード、タッチダウン1回というまずまずの成績で終えたルドルフだが、投げたボールがディフェンシブバック(DB)ジョシュ・ジョーンズの胸にまっすぐ向かっていく場面もあった。ボールは運よく落とされ、事なきを得ているものの、デプスチャートではトゥルビスキーとのギャップを埋めることも、ピケットの追随から自分を守ることもほとんどできなかったと言える。

今年のドラフトで唯一、1巡目指名を受けたクオーターバックであるピケットは、第3クオーターから出場。カレッジ時代に通りの向かい側でプレーしていたことは観客の反応を見れば明らかだった。スタンディングオベーションで迎えられた後、ピケットはプレーアクションでTEジェイス・スターンバーガーに難なくパスを通し、初めから足掛かりを得るとともに第1ダウンも更新した。

新人ランニングバック(RB)ジェイレン・ウォーレンに3ヤードのタッチダウンパスを投げて6点を挙げた後に、ヘイワードへのパスも通して2ポイントコンバージョンを成功させたのを含め、ピケットは初めて臨んだドライブで投げた6回すべてのパスを成功させている。

それ以降、スティーラーズは苦戦を強いられたものの、それでもピケットは試合終了まであと数分というところでWRクリスチャン・ブレイクにパスを通した11回目のアテンプトまで一度もミスをしなかった。

ピケットは最後のドライブで最も印象的なプレーを披露している。試合が25対25の同点となっている中で、残り70秒でシーホークスのQBドリュー・ロックがファンブルした後、ピケットは敵陣43ヤード地点から攻撃を開始。ボールセキュリティを優先することで時間とスコアの両方を意識していたピケットは、2回のスクランブルで計12ヤードを稼ぎ、最終的に24ヤードのタッチダウンパスで試合を決めた。

トムリンHCはピケットの決勝ドライブについて「彼はグループを動かした。状況に応じたフットボールをしていた。競争心も見せていたね。初めてのパフォーマンスだったという観点からすれば、今後の足掛かりとなる良い仕事をたくさんしていた」と語った。

結局のところ、トゥルビスキーは役目を果たしている。彼はたった2回のドライブで期待されているだけの結果を残した。しかし、誰がフィールドに立つことをファンが望んでいるかは明らかだと言えよう。プレシーズンゲームとしては珍しく、アクリシュア・スタジアムでは新人らしからぬデビューを果たした3番手ルーキーに向けた“ケニー”の掛け声が響き渡っていた。

【RA】