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11試合の出場停止処分と罰金を科されてもなお潔白を主張するブラウンズQBワトソン

2022年08月19日(金) 11:23


クリーブランド・ブラウンズのジャコビー・ブリセットとデショーン・ワトソン【AP Photo/Nick Cammett】

現地18日(木)、NFLとNFLPA(NFL選手会)の調停案の一部として、クリーブランド・ブラウンズのスタークオーターバック(QB)デショーン・ワトソンに対し、リーグの個人行動規範に違反したことを理由に2022年シーズンにおける序盤11試合の出場停止処分と500万ドル(約6億8,146万円)の罰金を科すことが発表された。ワトソンはこの発表を受けて「誰にも暴行を加えていない」と改めて主張している。

義務付けられた診断と治療を受けることになるワトソンは「常に自分の潔白を主張してきたし、誰かに暴行を加えたり、見下したりしたことはないと言い続けてきた。これからもその立場を取り続ける」と話している。「ただ同時に、自分の人生とキャリアを前進させ続ける必要もある。前に進むためには、一歩を踏み出し、プライドを捨てなければならない。これからも潔白を主張し続けながら前に進んでいく。常に、誰かを見下したことも、性的暴行を加えたこともないという立場を取り続ける」

ワトソンは、マッサージセラピーのセッション中に性的不品行があったとして民事訴訟を起こした24名の女性のうち23名と内容秘匿での合意に達している。ワトソンはこれまで、いかなる犯罪行為もなかったと否定しており、女性たちとの性行為は合意の上だったと主張してきた。また、テキサス州の2つの大陪審は、10名の女性から提出された刑事告訴に関してワトソンの起訴を見合わせている。

NFLコミッショナーのロジャー・グッデルは処分の内容を発表する際、ワトソンが「NFLへの復帰に必要な、自分自身に対するハードワークを行うことを約束した」と述べた。

木曜日に、どうすれば潔白を主張することができ、カウンセリングで必要なことをやり遂げられると思うかと質問されたワトソンは次のように答えている。

「人として成長しなければならない。人とのコミュニケーションや会話ができるようにならないと。また同じような状況に陥らないように、一つ一つの状況を把握し続ける必要もある。つまり、俺は個人として成長し続けなければならない」

『NFL Network(NFLネットワーク)』のトム・ペリセロは、ワトソンが義務付けられた行動専門家の診断を受ける時期は決まっていないものの、“比較的近いうちに”実施されるとの情報をリーグ関係者から得たと伝えている。また、ワトソンが治療計画に従わない場合、追加処分や復職の遅れが出る可能性があるとつけ加えた。

ワトソンは8月12日、初めて公に自分が“影響を与えた”女性たちに謝罪し、反省の意を表明。なぜ公に謝罪するのに時間がかかったのかと問われたワトソンはこう答えている。

「以前にも謝罪した。2回目に公の場に出たとき、実際に謝罪したと思うんだけど、人によっては謝っていると受け取らなかったのかもしれない。ただ、この状況に影響を受けたすべての人や女性に謝罪していることを明確にしたかった。間違いなく厳しい状況だからだ」

自らの潔白を主張し、人を見下したことは一度もないと断言したワトソンは、それでは誰に謝罪しているのかと問われている。

それに対し、ワトソンは「この状況に影響を受けたすべての人たちに対してだ。影響を受けた人が大勢いた」と答え、「すべての女性たちに謝った。影響を受けた人だけではなく、あなたたちにさえ、全員に対してだ。この件に関して影響を受けたすべての人に謝罪している」とつけ加えた。

ブラウンズのオーナーであるディー・ハスラムとジミー・ハスラム、そしてジェネラルマネジャー(GM)のアンドリュー・ベリーは、和解のニュースを受けて木曜日に記者会見を開いた際に、潔白という“立場を取り”続けるワトソンと、人間として成長してほしいというチームの思いをどう調和させられるのかと質問されている。

それを受けてディー・ハスラムは「カウンセリングには時間がかかります」と述べた。「カウンセリングを受けるだけでは、目を覚まして影響がどのようなものだったのかを理解できるようにはなりません。重層的な影響が必要です。自分自身について今よりもずっと理解できるようになるには、数週間、数カ月と長い時間が必要になります。デショーンはここに来た時から今に至るまでに進歩していると思いますが、一晩でどうにかなるものではありません。彼は26歳で、カウンセリングを受けるようになったばかりです。時間がかかるでしょう」

一方、ジミー・ハスラムはこの状況になると分かっていたとしてもワトソンのトレードを行っていたかと問われ、“絶対に”と答えている。ブラウンズは3月、ワトソンをトレードで獲得するためにヒューストン・テキサンズに3つの1巡指名権を含む複数のドラフト指名権を送った。

ジミー・ハスラムは「この国では、願わくはどの国でも、セカンドチャンスが与えられるべきだと思っている。私は本当にそう思っている」と強調し、こう続けている。「少し葛藤している・・・彼はもう二度とプレーできないのか? 二度と社会の一員になれないのだろうか? 更生するチャンスはないのだろうか? と。われわれがしようとしているのはそういうことだ。ああ、それは彼がスタークオーターバックだからだと言っていい。もちろんそうだ。もし彼が“ジョー・スミス”(英語圏で平凡とされる名前)だったら毎日見出しを飾ることはないだろう」

「われわれは、人にはセカンドチャンスが与えられるべきだと思っている。(ランニングバック/RB)カリーム・ハントにセカンドチャンスを与え、それはかなりうまくいった。そうだろう? 今回もうまくいくことを望んでいるし、そうなると強く信じている。だからといって、共感しないわけではないし、これからもそうし続けるが、われわれは人がセカンドチャンスを与えられるべきだと強く信じている。デショーン・ワトソンがセカンドチャンスを得るに値すると信じている」

ワトソンの復帰の資格が生じるのは11月28日(月)だ。つまり、ワトソンはシーズン第13週に行われるテキサンズ戦で初めてプレーできるようになる。

【RA】