ニュース

ピケットの活躍で勝利をつかむも、QB序列の判断を急がないスティーラーズのトムリンHC

2022年08月21日(日) 18:46

ピッツバーグ・スティーラーズのケニー・ピケット【AP Photo/Barry Reeger】

少し話がうますぎるように聞こえるかもしれないが、クオーターバック(QB)ケニー・ピケットにはピッツバーグ・スティーラーズの先発を勝ち取る本物のチャンスがあるかもしれない。

プロでの最初のパフォーマンスによってピケットはプレシーズンゲーム第2週でQB2のポジションを与えられ、その機会を無駄にはしなかった。7回中6回のパスを成功させて76ヤードを獲得、タッチダウン1回を決めて、最後はわずか42秒で非常に印象的なノーハドルからのスタートを披露し、63ヤードのドライブを締めくくっている。

そして、軌道に乗り始めたところでピケットの夜は幕を閉じた。後半戦はメイソン・ルドルフが出場しており、ルーキーはパーフェクトに近いスタッツと、ピッツバーグで遅いクオーターバック論争を引き起こすかもしれない映像を残してベンチに下がった。

ヘッドコーチ(HC)のマイク・トムリンにはそれを言わない方がいいだろう。

「初めから彼に予定していたプレーはあれだけだった」とトムリンはピケットについて述べている。「前半でもっとボールを所有して、いろいろと動きを見たかったのだけれどね。われわれのコントロール外のものがある。そうするためにはファーストダウンを取らなければならない」

「見たいと思っていた一部の攻撃選手たちにとっては、コンバージョン不足が制限になったと言えるだろう」

何よりも重要なのは、ピケットが成功を見いだした手法なのかもしれない。ミッチェル・トゥルビスキーを司令塔に、スティーラーズは安定したオープニングドライブを見せて、フィールドゴール圏内まで進んだが、その後は歩みが止まってしまった。続く3回のポゼッションで彼らは2回を3アンドアウトで終えている。トゥルビスキーがたびたびプレッシャーにさらされ、ランニングバック(RB)ベニー・スネルとジェイレン・ウォーレンが走るスペースを見つけるのに苦戦したため、スティーラーズはその間に33ヤードしか稼げなかった。

そこにピケットが登場し、最初のパスを同じルーキーのワイドレシーバー(WR)ジョージ・ピケンズに通して6ヤードをゲインした。彼のオープニングドライブはペナルティによって勢いをそがれている。3ダウン残り8ヤードでピケットはブリッツに捕まりそうになりながらWRチェイス・クレイプールに19ヤードのパスを決めたものの、ホールディングの違反によってノープレーとなってしまった。だが、最も話題の燃料になりそうなのは彼の2度目のポゼッションの方だった。

ピケットはここから素早い攻撃でスティーラーズを進めていく。WRディオンテ・ジョンソンに17ヤード、タイトエンド(TE)パット・フリーアムスに11ヤードのパスをつなげ、スクリメージラインにオフェンスを急がせると、ボールをスパイクして時計を止めた。再びフリーアムスに24ヤードのパスを通してドライブは再開。最後は1回だけでなく、2回もタッチダウンパスを決めて(1回目はペナルティによって無効となった)、スティーラーズのリードでハーフタイムを迎えた。

大部分がレギュラーシーズンの先発で構成されたディフェンスと対峙(たいじ)したルーキーとしては熱く、爆発的でまさしく印象的だった。

「そういう選手なのだろう」とトムリンはプレッシャーの下で成功するピケットの能力について評した。「すぐ隣(ピッツバーグ大学)でもそうしていたのを知っている。きっと高校でもしていたのだろうし、リトルリーグでもそうだったのだろう。人には持って生まれたものがある」

より多くの時間をプレーしたトゥルビスキーは、主に自身のコントロール外の要因によって苦戦した。対するピケットは、時間が少なくなるスティーラーズの状況をうまく活用した。両者を並べて見ると、ピケットの方が優れたクオーターバックのように見えたが、2人の選手を単独で評価することはできない。フィールドには他に10人の選手がいて、それぞれの役割を果たしている。トゥルビスキーがプレー中、チームメイトたちは必ずしも彼の助けになったとは言いがたい。

「ミッチェルは良いプレーをしたと思う」とトムリンはトゥルビスキーについて述べた。「彼はできることがあまり多くない中で創造力を見せて機会を広げてくれたと思う。だが、公平な評価をしようと思うなら、われわれは彼をもっとうまく保護しなければならないし、もっとランゲームをしてみなければならないだろう。私は率直な見解を述べているまでだ」

全てを整理する時間はまだ残っているし、トムリンは誰かを未来の殿堂入りだなどと率先して言い出すタイプではない。プレシーズンゲームが終わった直後に先発を指名するなどということはあり得ないのだ。

「次の機会に集中するため、これからの数日でデプスチャート関連のことを調整する」とトムリンは言う。「パフォーマンスを見て、私が反射的な行動や発言をすることはない」

トムリンと彼のスタッフはこれからも引き続き、彼らの評価プロセスを進めていくだろう。だが、土曜日の夜が終わった今、1つ確かなことがある――ピケットが確かに今後を面白くしてくれたということだ。

【M】