選手主導の練習について「彼らのチームだ。彼らに主導権を握ってもらいたい」とライオンズHCキャンベル
2022年08月24日(水) 14:16選手たちの自立を促そうとするデトロイト・ライオンズのヘッドコーチ(HC)ダン・キャンベルの探求は新たなレベルに到達した。
キャンベルHCは現地22日(月)の練習を選手たちに任せ、フィールドにアシスタントコーチは誰もいなかった。キャンベルHCは立ち会っていたものの、選手主導のセッションとなった。
「彼らのチームだ。彼らに主導権を握ってもらいたい」とキャンベルHCは『Sports Illustrated(スポーツ・イラストレイテッド)』のアルバート・ブリアーに述べている。
ライオンズはもともと、土曜日のインディアナポリス・コルツとのプレシーズンゲームの後は、ケガを負った多くの選手を休ませるつもりでいた。そこでキャンベルHCは、軽めの練習になるはずのところを、チームのリーダーたちに主導権を与える機会として活用したのだ。
ベテランのレフトタックル(LT)テイラー・デッカーは「彼はただ(チームミーティングで)、これは練習時間の一部を使ってやりたいとことで、コーチはフィールドに出て来ないとだけ言ったんだ」と述べ、次のように続けた。
「それ以上は何も言わなかったから、俺たちは“えーっと、OK”っていう感じだったよ。言うまでもないけど、俺たちは毎日、仕事をしにここに来ている。コーチがフィールドにいようがいまいが関係ない。俺たちは何をやるべきか、それをどうやるべきかを分かっている。もちろん、俺たちにコーチは必要だ。でも、コーチがいなきゃいい練習ができないわけじゃない。俺たちはプロだからな。チアリーダーの応援がなくても気合は入れられる。すごくクールだったよ。こんなのは初めてだったけど、楽しい練習だった」
このユニークな練習は『HBO』の“Hard Knocks: Training Camp with the Detroit Lions(ハード・ノックス:トレーニングキャンプ・ウィズ・デトロイト・ライオンズ)”がこれからのエピソードで必ず取り上げるだろう。
キャンベルHCのスタッフはただやみくもに選手をフィールドに送り出したわけではない。個人練習は選手に任せているが、チーム練習にはメニューを用意し、それを実行するよう指示を出している。バックアップクオーターバック(QB)のデビッド・ブラウとティム・ボイルは交互に、先発QBのジャレッド・ゴフが使用しているコールを練習した。
「今日はすごく楽しかった」とボイルは話している。「デビッドと俺にとってはいい練習だった。コールはいつも聞いているけど、当然見た目ほど簡単じゃない。プレーをイメージして、それを冷静に実行して、あまり急がないようにすることは、まさに芸術だ。リーグ中のすべての攻撃コーディネーター(OC)に称賛を送りたい」
この試みはチームの将来を選手の手に委ねようとするキャンベルHCの最新の作戦と言える。コーチ主導のチームよりも、選手主導のチームの方が良い成績を残せるという信念が動機となっている。キャンベルHC自身をはじめ、元コーナーバック(CB)のアーロン・グレン、元ランニングバック(RB)のデュース・ステーリー、元QBのマーク・ブリュネル、元センター(C)のハンク・フラリー、元ワイドレシーバー(WR)のアントワーン・ランドル・エル、元ラインバッカー(LB)のケルビン・シェパードなど、彼のスタッフには多くの元選手が起用されている。そのため、チームに対するアプローチは、彼らのフィールド上での経験が生かされていると言えよう。
オフシーズン中のキャンベルHCの動きがこの秋の勝利にどうつながるかはまだ分からないが、再建のこの段階でライオンズが歩んでいる過程に好感を持たずにはいられない。
【RA】