「もううんざりだ」とジャイアンツWRベッカム
2016年10月05日(水) 18:52
ニューヨーク・ジャイアンツのワイドレシーバー(WR)オデル・ベッカムは負けず嫌いだ。キャリア最低の成績に抑えられることなど彼にとっては論外なのだろう。
ミネソタ・バイキングスとの1戦でコーナーバック(CB)ゼイビア・ローズとのマッチアップに敗れたベッカムは現地4日(火)、なぜ彼が今シーズンここまで気性を荒げているかについて『ESPN』に対し、「フットボールは俺にとって神聖なものだ。俺の逃げ場であり、ほとんどの場合は幸せな場所だ。でも、もう、うんざりなんだ」と胸中を明かした。
試合序盤、ローズによる攻撃的なカバレッジと疑惑のタックルがベッカムの反スポーツマンシップ行為でのペナルティを誘発し、その後、今度はローズがアウト・オブ・バウンズのプレーでペナルティを科された。ベッカムが心境を口にした理由はこれらを受けてのものだ。
因縁であるワシントン・レッドスキンズのCBジョシュ・ノーマンとマッチアップしたベッカムは開幕戦の第1クオーターから感情を爆発させ、理性を失ったベッカムのサイドラインでの行動や、キッキングネットに八つ当たりして失敗する姿は多くの人の視線を浴びた。
これらの行為はされるべくして懲戒された。ベッカムは2週間前、ニューオーリンズ・セインツのセーフティ(S)ケニー・バカーロに対してクラックバックブロックをしたことにより3万6,000ドル(約370万円)の罰金を科された。ジャイアンツの攻撃コーディネーター(OC)ベン・マカドゥーは第3週のレッドスキンズ戦に敗れた後、「ベッカムにはもっと感情をコントロールしてもらいたい。彼自身やチームメイトにマイナスにならないよう心がけることも必要だ」と語った。ジャイアンツのクオーターバック(QB)イーライ・マニングでさえもその試合中のベッカムの行動について、「ベッカムは自業自得だろう」と述べていた。
しかし、癇癪(かんしゃく)を起しやすいベッカム自身の評価が他チームのCBたちにとって彼を絶好のターゲットへと仕向けており、そのCBたちはベッカムを怒らせるコツを熟知している。さらにノーマンやローズのようなCBは試合に出場する選手である以上、超攻撃的なプレーをすることは当たり前であるとも考えている。一方で、ベッカムは彼らのその思考を個人的な侮辱行為と受け止めているようだ。ベッカムは「現状を打破する術がほしい。今は皆が敵だ。どんなことがあっても、俺がいつも悪者扱いされるんだろう。苦い薬を飲みこむようなものだ。それを理解しなくてはいけないし、耐え続けて前に進んでいくしかない」とこぼした。
世界中の全員がベッカムの敵ではない。CM出演からもわかる通り、大手メディア市場でも彼は人気であり、魅力がある選手であることは一目瞭然。ゲームソフトのマッデンの表紙や、愛すべきファンたちがそれを立証している。しかし1歩フィールドに足を踏み入れた途端にベッカムは完全に正気を失い、「世界中が敵」であるという精神がフットボールの試合を試合とは呼べないような代物へと変貌させてしまう。
フットボールの「楽しさ」はゲーム内での戦いにあり、試合後の称賛にあるわけではない。ベッカムは今一度、CBたちと毎週戦うことを忌み嫌うのではなく、その戦いを好きになることを学び、そうすれば大活躍したルーキーイヤーや2015年シーズンの大半の時のようにフットボールを愛して楽しむ心を取り戻すことができるだろう。その日が来るまで、ベッカムの残す成績が改善することはなさそうだ。