NFLとNFL選手会が脳しんとうプロトコルの修正に合意
2022年10月09日(日) 09:54NFLとNFLPA(NFL選手会)が現地8日(土)に共同声明を発表し、9月25日に実施されたバッファロー・ビルズ戦でのマイアミ・ドルフィンズのクオーターバック(QB)トゥア・タゴヴァイロアに対する脳しんとうの診断において「脳しんとうプロトコルに記載されている段階的なプロセスは守られていたが、今回の場合における結果は意図したものとは異なっていた」と述べている。
この調査を受け、リーグの脳しんとうプロトコルは修正された。新しい脳しんとうプロトコルは9日(日)から適用される。
NFLとNFLPAはプロトコルの具体的な変更点として、再出場の可否を決定する強制的な“復帰不可”の症状に“運動失調”の診断を追加したことを発表。
声明には次のように記されている。「従って、これまでの事例と同様に、当事者それぞれの医療専門家の助言に基づき、選手の安全性を高めるためにプロトコルを修正する。具体的には、強制的な“復帰不可”の症状に“運動失調”という言葉が追加された。“運動失調”は、神経学的な問題によって引き起こされるバランス/安定性、運動協調性、または言語機能の異常と定義されている。つまり、脳しんとうプロトコルの適用に関わるクラブや中立の立場にいる医師から“運動失調”と診断された場合、選手は試合への復帰が禁止され、プロトコルで求められるフォローアップケアを受けることになる」
タゴヴァイロアは9月25日に実施されたビルズ戦の前半でビルズのラインバッカー(LB)マット・ミラノからヒットを受けた際、当初はチームが頭部の負傷と発表したケガによって試合を離脱した。ミラノはこのプレーでラフィングザパサーのペナルティを受けている。タゴヴァイロアは立ち上がったときに頭を振り、小走りで前進を始めたときによろけている。タゴヴァイロアはハーフタイム終了後にフィールドに戻って、プレーしていた。
21対19でドルフィンズが勝利したこの試合の後、ヘッドコーチ(HC)マイク・マクダニエルは報道陣に、タゴヴァイロアは前半に腰背部を負傷しており、それがミラノのヒットによって悪化してよろめきにつながったと話している。
ドルフィンズがシーズン第3週に勝利を収めた後、NFLPAはタゴヴァイロアの脳しんとうの診断プロセスについて調査を開始した。
調査の結果、関与した医療スタッフが、タゴヴァイロアが9月25日に見せた粗大運動の乱れ(GMI)は神経学的な問題によって引き起こされたものではないと判断し、背部のケガが原因で乱れが見られたと結論づけたことが判明した。しかし、関与したチームドクターと外部の神経外傷コンサルタント(UNC)は脳しんとうの診断の際にタゴヴァイロアの背中の分析を行わず、医療スタッフの他のメンバーがそれ以前に行った検査に頼っていたと、NFLとNFLPAは土曜日の声明で述べている。
調査結果では「タゴヴァイロア氏はロッカールームでの検査中も、試合の残り時間も、次の週を通しても、脳しんとうの兆候や症状を報告したり示したりしていなかった」とされている。
タゴヴァイロアは9月29日に行われたシンシナティ・ベンガルズ戦で恐ろしい接触に遭遇し、ベンガルズのディフェンシブタックル(DT)ジョシュ・トゥポウによって地面にたたきつけられて頭部を打った。このとき、タゴヴァイロアの腕や手はフェンシング反応によって硬直していた。タゴヴァイロアはトレーナーに付き添われた状態で数分間その場にとどまった後、ストレッチャーでフィールド外へ運び出され、救急車でシンシナティ大学メディカルセンターに搬送されて頭部と首の治療を受けている。
マクダニエルHCは10月3日、シーズン第5週に組まれているニューヨーク・ジェッツ戦から、ベンガルズとの試合で脳しんとうを起こしたタゴヴァイロアを除外した。
NFLPAは10月1日、シーズン第3週に行われた試合でタゴヴァイロアの脳しんとうの診断に関わったUNCを解雇。解雇につながった要因として、UNCとしての役割を理解していなかったことや、調査過程での敵対的な態度などを挙げている。
NFLの広報担当者であるジェフ・ミラーは土曜日、「われわれがやろうとしたことではなく、やっていない。彼の解雇を支持したことは一度もない」と報道陣に明かした。
NFLのチーフメディカルオフィサー(CMO/医務部長)であるアレン・シルズ医師は土曜日に報道陣に対し、新しい脳しんとうプロトコルが有効になっていれば、タゴヴァイロアはビルズ戦に復帰できなかっただろうと述べている。
NFLとNFLPAは10月1日、シーズン第3週のビルズ戦でのタゴヴァイロアのように粗大運動の乱れを示す選手を要因のいかんを問わずに除外する最新の脳しんとうプロトコルの設定内容に合意した。
【RA】