QBブレイディの暴言に「それがフットボール」とバッカニアーズCヘインシー
2022年10月21日(金) 12:54タンパベイ・バッカニアーズは攻撃面で方向性を見失っているようだ。
現地16日(日)にピッツバーグ・スティーラーズに敗れた試合で18点というスコアに終わったことが、その証拠として挙げられる。また、クオーターバック(QB)トム・ブレイディがその試合で自分のプロテクトを担当している選手たちを叱責したことは、さらに強力な証拠だと言えよう。
前半終了まであとわずかのところで、ブレイディがスティーラーズのアウトサイドラインバッカー(OLB)アレックス・ハイスミスにサックされ、ボールを剥ぎ取られた(最終的にはバッカニアーズがリカバーした)シリーズの後、ブレイディはオフェンシブラインマン(OL)たちのもとに歩み寄り、罵詈雑言を浴びせながら期待外れのパフォーマンスを中心に彼らのことを激しく非難した。
ブレイディは第2クオーター終了まで残り46秒の時点で「お前らは今の[卑語省略]プレーよりもっとやれるはずだろ!」とチームメイトに叫んでいる。
こうした暴言を無礼だと感じる人もいるかもしれないが、スーパーボウルリングを7つも獲得し、プロフットボールの殿堂入りが確実視されているクオーターバックの言葉であれば、真剣に受け止めるのが通常だろう。
『ESPN』によると、バッカニアーズのセンター(C)ロバート・ヘインシーは水曜日に「みんな好きなようにすればいいけど、俺がクオーターバックに求めるのはあれ以外にない。俺たちが何をすべきかを伝えて、ステップアップしたいと思っているヤツ以外はいらない」と語ったという。「もし、彼があの場でただ座って、俺たちを奮い立たせず、助けようともしなかったら――彼は今、ああいう姿になっていないさ」
「彼のそういうところが大好きだ。俺たち全員が、彼のそういうところが大好きだというのは分かっている。テレビでは変なふうに見えるかもしれないけど、それがフットボールだ。あれを求められるのが偉大なチームメイト、偉大なリーダーで、彼はその中でも最高なんだ」
ブレイディはその実績をもとに集めている尊敬を盾に、必要に応じてチームメイトに残酷なほど正直に接することができる。それはこれまでの戦績が3勝3敗で、攻撃陣が苦境から抜け出せずにいるバッカニアーズにとって、今こそ必要な対応であることは間違いないだろう。
月曜日にラリー・フィッツジェラルドとジム・グレイと共にポッドキャスト『Let’s Go!(レッツ・ゴー)』に出演したブレイディは、自身の暴言を正当な不満から出たものだったと説明した。
「もし、期待に応えていないと感じたら、そして自分たちの能力を発揮していないと感じたら、それを指摘するのが僕の仕事だ」と言うブレイディはこう続けている。「クオーターバックだからな。それをライトタックルやランニングバック、レシーバーがやってくれるとは思っていない。僕にかかっているんだ。ハドルで言葉をかけ、プレーをコールしているのはこの僕だ」
「チームを奮い立たせて団結させることが僕の仕事で、そのための方法はいくつもある。時にはポジティブな激励もあって、その方がむしろ多い」
「一方で、もっと直接的な方法でレベルを引き上げ、危機感を高めるために声を張り上げてオフェンス全体の雰囲気を変えようとすることだってある。最終的に目指しているのはそこなんだ」
バッカニアーズは今季の6週間を通して、第55回スーパーボウルを制し、第56回スーパーボウルへの出場をかけて争ったかつての姿とは似ても似つかぬ様相を呈している。トータルオフェンスで2020年に7位、2021年に2位――後者のシーズンは試合平均30.1点を記録――に輝いたバッカニアーズは現在、トータルオフェンスで21位、ラッシングで32位、得点で20位となっている。おそらく、最も欠けているのは爆発力だ。バッカニアーズはビッグプレーで28位に沈んでいる。
ヘッドコーチ(HC)トッド・ボウルズは水曜日に報道陣に対して「それを実現させるのも、そのためのプレーをデザインするのも、われわれコーチの役目だ」と述べた。「選手たちはもっといいプレーをしなければならないが、われわれはもっといい指導をしなければならない。自分たちが変わったことを理解した上で調整している。これからもスタッフが調整を続けていけば問題なくなるだろう。他の誰かのアイデアではなく、自分たちがやっていないことでもなく、ただ団結して、自分たちが何者であるかと、メンバーが変わっているのだから去年とは違うチームになっていることを理解しなければならない」
「爆発的なプレーを実現するために、別の方法を見つけなければならない――それはコーチングの問題で、そこからプレーの問題になる。うちは正しい方向に向かって取り組んでいると思うし、きっと大丈夫だと思う」
ボウルズHCはチームが向かっているその方向が、早くビッグプレーにつながることを望んでいる。それが実現しなければ、ブレイディの機嫌が直ることはないだろう。45歳のブレイディは、おそらくあまり忍耐力が残っていないはずだ。
【RA】