ライアンからエリンガーへの先発QBの移行はコルツにとっての白旗ではないとライクHC
2022年10月27日(木) 10:46インディアナポリス・コルツのクオーターバック(QB)サム・エリンガーが現地30日(日)実施のワシントン・コマンダース戦でキャリア初の先発出場を果たすことになり、NFL界の多くの人々を驚かせた。
ヘッドコーチ(HC)フランク・ライクはベテランQBのマット・ライアンから先に進む時が来たと判断し、月曜日に、レギュラーシーズンでパスを一度も投げたことのない経験の浅いクオーターバックにチームを任せることにしたのだ。ライクHCはプレシーズンや練習中のエリンガーのパフォーマンスから、テキサス大学出身の彼には責任を負う準備ができていると確信できたようだ。
ライクHCはエリンガーについて、「サムを知っている人なら誰もが、彼はこのような瞬間のためにやってきたと言うだろう」と水曜日にチームの公式サイトで述べている。
エリンガーもライクHCの意見に同意しており、NFLに入ってからこの瞬間のために準備してきたと水曜日に記者団に語った。
「常に先発になる準備をしてきた」とエリンガーは『The Athletic(ジ・アスレチック)』に話している。「チャンスがいつ来るかに関係なく、俺は準備をしておくつもりだったから、その分ストレスがだいぶ減ったと思っている。もし先発になるつもりで準備をしていなくて、“お前の番だ”って言われたら、どうなっていたか想像がつかない」
2022年にエリンガーには、ライアンと第52回スーパーボウルでMVPを獲得したQBニック・フォールズという2人の卓越した選手がメンターとしてついていた。2年目のエリンガーは「お金では買えない指導」を受けたと言う。
NFLの他の関係者からどう見えるかは別として、エリンガーへの移行は決して降伏のサインではないとライクHCは記者団に説明した。コルツの元HCであるチャック・パガーノは今回の決断に批判的なコメントをしていたものの、ライクHCからすればこれはむしろ、フランチャイズの将来を見据えた転換だという。
「誰も白旗を振っているわけではない。そういうことは私のDNAにはない」とライクHCは水曜日に『FOX59(フォックス59)に話している。「それは、われわれの選手たちのDNAにもなく、私は100万年経ってもそんなことはしない」
ライクHCの発言とは裏腹に、コルツがエリンガーにシフトしたことは、オフシーズン中にライアンを獲得したことが失敗だったと認めているようなものだ。37歳のライアンは7試合で2,008ヤードとタッチダウン9回を記録している一方で、リーグ内最多となる9回のインターセプトを喫している。そのターンオーバーの多くはコルツのディフェンスに余計な負担をかけ、コルツの3敗とヒューストン・テキサンズとのシーズン開幕戦を引き分けに終わらせる結果を招いている。ライアンに関して最も致命的なのは、インターセプトのされ方で、大半の場合ライアンは狙ったターゲットをすでにカバーしているディフェンダーに直接パスを出すような形になっている。
37歳のライアンは単に絶頂期を過ぎてしまったのかもしれない。これが事実かどうかを確かめるために、コルツはこれ以上時間を無駄にするつもりはないようだ。
とはいえ、ライアンが肩を負傷すると同時にベンチに下げられた際に見せた対応は評価に値する。ライアンは新しくなるチームに背を向けるのではなく、エリンガーに対して「何があっても俺がついている」と言ったと、エリンガー本人が明かしている。
ライアンは水曜日に「俺はサムのことが大好きだ。俺がここに来た日から彼は最高だった」と『ジ・アスレチック』に語った。「これからの俺の仕事は、彼のために全力を尽くすこと。彼はチームのために頑張ってくれるはずだ」
3勝3敗1分ながらもまだAFC(アメリカン・フットボール・カンファレンス)南地区の優勝争いに加わっているコルツにとって、状況はもっと悪くなっていたかもしれない。ライアンは否定的な反応を示し、チームメイトやコーチングスタッフとの関係をこじらせる可能性もあった。しかし、ライアンはたとえそれが気に入らないことであっても、プロとしてこの変化に対処している。
ライクHCは彼の決断がコルツのために報われ、ライアンがこれまで自分の代役を務めていたエリンガーを全面的にサポートしてくれることを望んでいるだろう。エリンガーの時代は東部時間10月30日(日)の16時25分にインディアナポリスで始まる。
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