フィラデルフィア・イーグルスのヘッドコーチ（HC）ニック・シリアニはインディアナポリス・コルツ戦で勝利が確定した直後、ヘッドセットを無理やり外してベンチに飛び乗り、大勢のイーグルスファンの前で大声を張り上げるなど、サイドラインで明らかに興奮している様子を見せていた。

今回の勝利はシリアニHCにとって、シーズン第10週に無念の敗北を喫した後に戦績を9勝1敗に伸ばすことにつながっただけではなく、さらに深い意味を持っている。

17対16で勝利した後、シリアニHCは「私は（コルツの元HC）フランク・ライクを敬愛しているから、感情的になっている。彼は私がこれまで関わってきた人の中でも最高のフットボールコーチの1人だ。今回の試合でそれぞれコーチとして対峙できることを望んでいた」と報道陣に語った。

ライクはコルツでの5シーズン目を3勝5敗1分という戦績でスタートしたことを受けて、現地11月7日（月）に解雇されている。シリアニHCはライクがヘッドコーチに就任してから最初の3シーズンの間にコルツで攻撃コーディネーター（OC）を務めていた。それを経て、イーグルスでヘッドコーチ職を獲得したシリアニHCは次のように話している。

「私はここで多くの時間を過ごした。私の子の1人はここで生まれている。特にここ数週間でこの組織に起こったことを考えると、ここへ来て勝利を手にできたのはうれしい。勝利だ！　勝利を手にしてインディアナポリスを去れるのだ」

ライクの解雇に伴い、コルツはジェフ・サタデーをチームの暫定ヘッドコーチとして採用。先週、サタデーが初めて指揮官を務めた試合で驚きの勝利を収めたコルツは、イーグルス戦でも試合終了まで80秒の時点でイーグルスのクオーターバック（QB）ジェイレン・ハーツがタッチダウンランを決めるまではリードを維持していた。最終的にはそのタッチダウンが勝敗を決めている。

シリアニHCはライクについて「彼がここにいるべきかどうか、私がどう考えているか知りたくはないだろう。私が本当に考えていることは、皆さんにも想像がつくだろうからね」と述べた。「私は彼を敬愛している。だから少しだけ感情的になってしまった」

厳しい接戦という危機的な状況下で手に入れた勝利は、首位に立つイーグルスの今後にとって大きな意味を持つかもしれない。イーグルスの2022年シーズンに新たに明るい展開が訪れた後、ゲームボールをシリアニHCに手渡したハーツは、彼の気持ちを察していたようだ。

「彼にとって特別なことだと分かっていた」と明かしたハーツはこう続けている。「彼はここインディアナポリスで多くの時間を過ごしてきた。ここにはたくさんの思い出があるだろうし、彼にとっては最高のホームカミングになったと思う。彼のために勝ててうれしい。彼がフィールドを去るとき、ちょっと感情的になっていたと聞いた。彼にボールをトスしたとき、俺にはどうしようもなかったと思う」

「コーチは普段やっていることや、俺たちのためにしてきたことについて、十分な評価を得ていない。彼は素晴らしい仕事をしている。彼がこの勝利を手にすることができてうれしい」

【RA】