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44回目の第4Qの逆転劇でリーグトップになったバッカニアーズQBブレイディ

2022年12月06日(火) 16:41


タンパベイ・バッカニアーズのトム・ブレイディ【AP Photo/Chris O'Meara】

オープニングドライブでフィールドゴールを決めた後、タンパベイ・バッカニアーズの攻撃陣は沈黙していた。

パスが通らず、うまくドライブが続かない状況にフィールドとサイドラインで怒りをあらわにしていたクオーターバック(QB)トム・ブレイディとそのチームメイトたちは、残り5分21秒時点で乗り越えがたい13ポイントの差をニューオーリンズ・セインツにつけられていた。

かつてのブレイディがフィールドに戻ってきたのはそのときだった。最後の3分でタッチダウンパスを2回決めたブレイディは、久々に見事な逆転劇を演出し、マンデーナイトフットボールでセインツを相手に苦戦していたバッカニアーズを17対16での勝利に導いた。

試合後の記者会見で、ブレイディは開口一番に「まるで僕らがそう描いたみたいだった」と話して笑いを誘った。

「まるで僕らがそうしたみたいさ」

『NFL Research(NFLリサーチ)』によれば、この試合でブレイディはペイトン・マニングとのタイ記録を更新し、NFL歴代最多にあたるキャリア通算44回目の第4クオーターでの逆転を果たしたという。この夜をパス54回36回成功、281ヤード、タッチダウン2回、インターセプト1回で終えたブレイディは、残り3分で新人タイトエンド(TE)ケイド・オットンにパスをつなぎ、点差を16対10に縮めた。バッカニアーズ守備陣がセインツを2回連続でのスリーアンドアウトに抑えたのを受け、ブレイディがランニングバック(RB)ラシャード・ホワイトに6ヤードのタッチダウンパスを投じて試合を同点に持ち込んだ時点で残り時間は3秒。次のプレーでキッカー(K)ライアン・サコップがエクストラポイントに成功し、バッカニアーズの勝利を確定させた。

「ラシャードのルートが素晴らしかった。最高のキャッチだ。バイロン(攻撃コーディネーターのレフトウィッチ)が素晴らしいコールをした」とブレイディはチームを称賛している。

試合後に『ESPN』のリサ・ソルターズの取材に応じたブレイディは、娘のビビアンちゃんに向けて誕生日を祝うメッセージを送り、この試合でのパフォーマンスを愛娘に捧げた。

「彼女に捧げる。あの子はセインツが相手だって言ったときに、少し心配していたんだ。“そんな、ダディー”ってね」とブレイディは言う。

ビビアンちゃんの不安は、バッカニアーズ時代の父がセインツを相手に苦戦していることからきている。セインツは2020年から2021年に、レギュラーシーズンに4戦連続でブレイディとそのチームメイトたちを負かしてきた。しかしながら、この月曜日には攻撃陣の低迷から抜け出したブレイディが、彼にしかできないような逆転劇で見る者を魅了している。

鮮やかな逆襲が始まるまで、ブレイディがヘッドコーチ(HC)トッド・ボウルズの第4ダウンでの意思決定に興ざめするのが試合後の筋書きとして想定されていた。

16対3でセインツを追いかけているとき、バッカニアーズは残り7分06秒で自陣25ヤードラインからの第4ダウン残り10ヤードという状況を強いられた。コンバージョンはかなりの難題に見えたものの、パントではさらにカムバックは難しくなるかもしれない。ブレイディは攻撃陣をフィールドにとどめようとした。しかし、結局バッカニアーズはパントでポゼッションを失ったのだった。

しかし、評決を下すのは最終的な結果だ。バッカニアーズ守備陣が活躍し、ブレイディがさらなる活躍をした。ボウルズの決断が正しかったことが証明された。

「ボウルズコーチの仕事が素晴らしかった。彼を称賛するよ。あれが彼の望んでいたもので、どうなったかは見ての通り。だから、それは受け止めるつもりだ」とブレイディはソルターズに話した。

セインツがバッカニアーズ側44ヤード、第3ダウン残り1ヤードで13ポイントをリードしていたとき、『Next Gen Stats(ネクスト・ジェン・スタッツ)』によればバッカニアーズが勝利する確率は0.7%だったという。

バッカニアーズの勝利はないと見えたとき、タンパの守備陣は踏みとどまり、ブレイディにボールを渡した。勝率をベースとした際、ネクスト・ジェンが数値を取り始めて以来、リーグで4番目に大きな逆転劇がそこから始まっている。

45歳のブレイディのキャリアは、いつでも可能性に逆らってきた。マンデーナイトの一戦は、その最新の例となっている。

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