ニュース

ドルフィンズQBタゴヴァイロアについて「脳しんとうプロトコルを発生させるような兆候は何もなかった」とNFLシルズCMOがコメント

2022年12月28日(水) 18:13

マイアミ・ドルフィンズのトゥア・タゴヴァイロア【AP Photo/Adrian Kraus】

現地27日(火)、NFLのチーフメディカルオフィサー(CMO/医務部長)のアレン・シルズ医師は、マイアミ・ドルフィンズのクオーターバック(QB)トゥア・タゴヴァイロアが、日曜日のグリーンベイ・パッカーズとの試合において“リーグの脳しんとうプロトコルを発動させるような”ケガの挙動を見せず、関連する症状を訴えることがなかったと話した。

ドルフィンズのヘッドコーチ(HC)のマイク・マクダニエルは、タゴヴァイロアが月曜日に症状を申告した後、リーグの脳しんとうプロトコルに入っていたことを発表した。マクダニエルは、その時点ではタゴヴァイロアが本当に脳しんとうを発症していたかわからないが、プロトコルに入るだけの症状が出ていたと付け加えていた。

シルズ医師は、火曜日の午後7時(東部標準時)の『NFL Total Access(NFLトータルアクセス)』中に放送されるインタビューの中で、NFLのシニアナショナルコラムニストであるジュディ・バティスタに「われわれのスポッターと外部の神経医師は、負傷の挙動が見られた場合に、それに続いて頭や首の領域に力が加わるすべての打撃を確認している。試合中に発生する頭部への打撃は数多くある。われわれは常にその打撃と負傷の挙動を確認し、もし負傷の挙動が確認されれば、その選手を診断するために指示が出される。また、選手が何らかの症状を確認したり、チームメイトやコーチ、審判が症状を確認したりした場合にも、プロトコルが開始される。このように多くの人がプロトコルを開始することができるが、日曜日の試合では、そのような要素は一切なかった。頭部への打撃があったにもかかわらず、目に見える症状はなく、また選手は試合中ずっと医療スタッフと接触していたにもかかわらず、何の症状も訴えなかった。そのため、その場でプロトコルが発動するようなことは何もなかった」と説明した。

シルズ医師は、遅れて症状が現れることは珍しいことではなく、月曜日に症状を報告したタゴヴァイロアは称賛されるべきであると付け加えている。

今シーズン、タゴヴァイロアがリーグの脳しんとうプロトコルに入ったのは今回が初めてではない。

彼はシーズン第4週のシンシナティ・ベンガルズ戦においても、試合前半の激しいタックルにより脳しんとうを起こし、シンシナティ地域の病院へ運ばれた。後頭部を芝生に打ち付けたように見えたタゴヴァイロアは、ノックアウト後のボクサーやファイターのように、腕を伸ばして指を歪めながら地面に倒れ、いわゆるフェンシング応答を示していた。

この件は、タゴヴァイロアが第3週のビルズ戦で再登場した4日後に発生し、当初は頭部の負傷によりクエッショナブルとされていたのにもかかわらず、後にドルフィンズが背中の負傷だと判断したため、タゴヴァイロアに対するチームの脳しんとうプロトコル適用に調査が入ることになった。NFLとNFL選手会(NFLPA)は10月8日に共同声明で「脳しんとうプロトコルに記載された段階的なプロセスは踏襲されたが、本件の結果は意図されたものではなかった」と発表している。リーグの脳しんとうプロトコルの修正が、今後の選手の安全性を高めるために行われた。

タゴヴァイロアは今シーズン頭部を負傷した経験があるため、2022年の残りの試合に出場できるかどうかが疑問視されている。シルズ医師は、ドルフィンズのクオーターバックが今シーズンまたプレーすることは許可されるべきかどうかという質問に答えた。

シルズ医師は「脳しんとうと診断された人は、それがシーズン中の最初の脳しんとうであろうと2回目であろうと、同じようにプレー復帰へのプロトコルが適用される。それには多くの段階がある。プロトコルに入った選手は無症状で元通りの基準を満たす必要があり、彼らは無症状で再び段階的な強度プロトコルを通過し、チームの神経心理学者の評価と神経心理テストを受けて、その結果を無傷の状態での基準と比較され、外部の神経外傷コンサルタント(UNC)によりもはや脳振とうではないとの承認を受けたうえで、最後にチームの医療スタッフの診断をクリアする必要がある」と述べた。

「このように、慎重に何段階ものプロセスを経ていくようになっていて、こうしたケースでは必ず守られることになっている。そして、私が言いたいのは、このようなケースでは、チームは非常に保守的に行動するということだ。チームはすべてのデータを収集しようとする。選手がすべてのステップを踏んでいることを確認しようとするのだ。時には、外部の意見を求めることもあるだろう。そして、われわれが医学の世界で毎日行っているように、選手と一緒に座って、状況を説明し、選手自身が意思決定に参加できるようにする。なぜなら、われわれのプロトコルは、選手が回復したように見えることを確認することだが、今日の技術では、将来の負傷のリスクを正確に推定することはできないからだ。そのため、われわれがしなければならないのは、選手が完全に回復していることを確認したうえで、この意思決定プロセスにおいて、彼らの声と自主性が尊重されるようにすることなのだ」

マクダニエルは、タゴヴァイロアのこれまでの負傷を踏まえて、彼についてどれくらいの懸念があるかと月曜日に質問された。

マクダニエルは「科学とわれわれが頼りにしているすべての医療の専門家の力を借り、われわれが持っている情報によって対応が正しく行われるようにしたい。私は、一人ひとりの選手をとても大切に思っている。だから、彼が健康になって、その点で安心感を得られるようにしたい。それが第一で、その後がどんな状況であれ、対処するのはその後だ。これは人に関わる問題であり、彼に問題がないということを確認したい」と答えた。

現在、控えのクオーターバックであるテディ・ブリッジウォーターが今週日曜日のニューイングランド・ペイトリオッツ戦の先発に名を連ねている。

【AK】