ビルズHCマクダーモットや医療関係者を称賛したベンガルズHCテイラー
2023年01月05日(木) 12:28マンデーナイトフットボールとして行われたバッファロー・ビルズとシンシナティ・ベンガルズの試合でビルズのセーフティ(S)ダマー・ハムリンが心停止に陥ってから初めて、ベンガルズのヘッドコーチ(HC)であるザック・テイラーが現地4日(水)に記者の質問に応じている。
ビルズが水曜日に明かしたところによれば、24歳のハムリンはシンシナティ大学医療センターの集中治療室で危篤状態が続いている一方、「昨日とこの一晩で改善の兆しを示している」とのことだ。
テイラーHCは「われわれの思いと祈りはダマー・ハムリンや彼の家族、彼の愛する人々、彼のチームメイトやコーチたち、ビルズのオーガナイゼーションすべての元にある」という言葉で語りだし、次のように続けている。
「われわれは常に、彼に大きな敬意を抱いてきた。われわれ皆がこれまで起こったことに直面し、それがこれまで以上に深まっていると思う。だからこそ、われわれはダマーを応援し、最も前向きな展望となることを願っている」
恐ろしい事態が始まったのは月曜日に実施された試合の第1クオーターが残り6分強になったときだった。13ヤードのパスをキャッチしたベンガルズのワイドレシーバー(WR)ティー・ヒギンズに、ハムリンがタックルを仕掛けた。いったんは自力で立ち上がったハムリンだが、その後、後方に倒れている。ハムリンにはフィールド上でCPR(心肺機能蘇生)が施された。ビルズによれば心拍はフィールド上で回復し、ハムリンは救急車でシンシナティ大学医療センターに搬送されてさらなる検査と治療を受けたという。
テイラーHCはペイコー・スタジアムでハムリンのケアにあたった両チームの医療スタッフやアスレチックトレーニングスタッフ、独立した医療関係者を称賛している。
「彼らは熱心で、落ち着いていた。私個人の感覚として、そこにいてあらゆる人々の冷静な様子を見ていて、もちろん状況がどうなっていくかは分からないながらも、彼らの対処している様子から、きっと良い方に向かうと考えるようになっていた。重要な指摘として、彼らには準備が整っており、ダマーに最良のチャンスをもたらしていた」
ハムリンが治療を受け、病院に搬送されてからのシンシナティの状況について、テイラーHCはこう述べている。
「われわれのチームがフィールド上にいて、そこにいた選手たちのリアクションはご覧になっただろう。彼らがどれだけ衝撃を受けたか――多くは彼らの選手たちだが、われわれの選手たちも――や、これまでに経験してきたどの出来事とも異なる、事態の深刻さがすぐに見て取れたと思う」
「そして、そういった時間の中で誰もが願っていたのは、ダマーにとって最良のシナリオになることだ。この試合がプレー続行になるのか延期になるのかは誰も考えず、誰の頭にもそのことはなかった。今は私もテレビの録画を見たし、他の誰もがそのように考えざるを得なくなっているところがある。なぜなら、彼らはその瞬間にそこにいたわけではなく、どうなるのかを考える余地があるからだ。決してわれわれの脳裏にはよぎらなかった。ただ、この選手は大丈夫かとだけ考えていた」
ハムリンがフィールドを離れた後、両チームがそれぞれのサイドラインでこの状況に対処しようとしていたとテイラーHCは言う。テイラーHCはビルズのショーン・マクダーモットHCやオフィシャルと話をし、今後のプランについて議論することに決めた。
「私がそこへ行ったとき、最初に(マクダーモットHCが)言ったのは“私は病院でダマーの元にいなければならないし、このゲームで私がコーチするべきではない”ということだった」とテイラーHCは水曜日に振り返った。
「それで、私にとっては明確になった。“前例のない”という言葉はこの状況についてよく投げかけられるし、まさにそうなのだが、あの瞬間に彼は彼がどんな人物であるかを真に発揮していた。彼が完全に集中していたのはダマーのこと、そして、彼のそばにいて、病院で彼の家族と一緒にいることだった。その時点で、事態はそうあるべき方向に進んだと思う。正しい方向性が、そこで生じた」
「私は本当に、ショーン・マクダーモットが彼の選手たちのためにあの瞬間をリードしていたと思う。彼は彼の選手たちのためにそこにいて、正しい方向へ事態を進めていたが、それは信じられないほど難しいことであると同時に、われわれが必要としていたソリューションにたどりつくのを助けてくれた」
試合が中断され、最終的には延期される前に、選手たちがプレー再開に向けてウオームアップを開始する必要があるという方向性はまったく感じなかったとテイラーHCはつけ加えた。
「とにかく、バッファローにチームとして対処する期間を設けなければ、という感じだった。なぜなら、彼らはそれをできていなかったからだ。彼らはただ、ダマーのためにそこにいた」
「無理に何かを起こそうという動きはなかった。ただあるがままに進め、人々の気持ちが落ち着いたところで次のステップを考える。最終的に、そういった考え方で決断にたどりついだ」
テイラーHCによれば、一部の選手たちは火曜日にベンガルズの施設に戻っており、ハムリンの状況を見守っているという。テイラーHCは水曜日中にチームに話をする予定だ。また、ハムリンが倒れる前にタックルした相手であるヒギンズは、この状況に“よく”対処しているという。
ベンガルズは来る日曜日にディビジョンライバルであるボルティモア・レイブンズと戦うことになっている。テイラーHCは方向転換して今週のフットボールに集中することは、チームにとっていかに難しいかは承知していると語った。
「そこから私が取り上げたことの一つは、日曜日に試合をしなければならないがゆえに、チームとして前に進まなければならないということだ。そして、われわれはそこに焦点を移さなければならない。だが一方で、今起こっている状況を必ずしも乗り越えなければならないというわけではない」
「そして、われわれはもっとサポートを必要としている選手や、今もここから2マイルの大学病院にいる家族、そしてビルズに、それを提供することができる。したがって、そのためのスペースを確保するのと同時に、チームとして日曜日のボルティモア戦に向けて前進していくことが可能だ」
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