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第4ダウン残り8ヤードのプレーを振り返るバイキングスHCオコンネルとQBカズンズ

2023年01月17日(火) 00:21


ミネソタ・バイキングスのヘッドコーチ(HC)ケビン・オコンネル【AP Photo/Bruce Kluckhohn】

ニューヨーク・ジャイアンツとの生き残りを懸けた戦いに挑んだミネソタ・バイキングスの運命は、バイキングスの最後のプレーで、バイキングス自身の手に握られていた。

バイキングスはシーズンを通じて、同様の状況に置かれていたとも言える。バイキングスはワンスコアゲームで11勝0敗を記録しつつ、現地15日(日)に実施された試合に臨んでいる。また、クオーターバック(QB)カーク・カズンズは、今季のゲームウイニングドライブ8回という記録で、リーグトップに立っていた。

今季最初のジャイアンツとの顔合わせで、カズンズはバイキングスをラスト4分で2度、フィールドの端まで導き、最初の1回でタイに持ち込み、2回目で決勝点となるフィールドゴールにつなげている。日曜日に実施されたスーパーワイルドカード週末の対決でも同様の舞台がお膳立てされていた。

しかし、今回はそこに問題が生じた。タイトエンド(TE)T.J.ホッケンソンが選んだルートは、ボールがそこへやってきたときにファーストダウンのスティックまで少なくとも5ヤードは足りなかった。非常にタイトなマンカバレッジに動いていたジャイアンツのセーフティ(S)ゼイビア・マッキニーが、ファーストダウンまで届かないところでホッケンソンを止めている。

ボールはジャイアンツの手に渡り、31対24のジャイアンツ勝利で試合は決した。

試合後、バイキングスのヘッドコーチ(HC)ケビン・オコンネルは「彼らにはプレーを決めることが可能だった」と話している。

では、正確には何が起こったのか? なぜホッケンソンはその状況で短いルートを走り、なぜカズンズのリードがホッケンソンに至ったのか?

「単なるシェルリードだ。シングルハイ(カバレージ)が見えて、ジャスティン(ジェファーソン)にいこうとしたけれど、ジャスティンに投げるのは良くなさそうだった。その後は、もうサックされるって感じがした。ボールをプレーの中にとどめなくちゃならないと思った。サックされるわけにはいかなかったからな」と話すカズンズは次のように続けている。

「だから、T.J.に投げた。俺はこのゲームや過去数週間で、何度かスティックに届かないところに投げている。俺はスティックに届かないのが致命的だとは思っていないし、あのときは明らかにタイトなカバレージだった。でも、サックされそうだったから、ボールを投げた」

カズンズは保守的になりすぎることや、ときにチェックダウンを多用しすぎることを批判されてきた。だが、ニューヨーク・ジャイアンツのディフェンシブラインマン(DL)であるデクスター・ローレンスに関しては、カズンズの判断が正しかった。ローレンスはこの運命を託されたパスのすぐ後に、カズンズにヒットしている。プレッシャーはAギャップからもたらされたもので、それがカズンズの時間と選択肢を余計に限られたものにしたようだ。

ローレンスが迫ってくることを懸念したのであれば、カズンズを責めることは難しいだろう。ローレンスはQBヒット4回、チームハイのプレッシャー8回を記録しており、そのうち5回はノーズタックルの位置についたときのものだ。今季のNFLで最も強いインテリアラッシャーの一人であるローレンスは、シーズン16週に対戦した際にもバイキングスに苦戦を強いていた。

オコンネルHCは「ポケットは崩壊していたかもしれないし、そうでないかもしれない」と話し、カズンズは誰かにプレーを決めるチャンスを与えたかったのだとつけ加えている。

オコンネルHCは「あの第4ダウンでは、われわれはただ何名かの有資格者を縦方向に展開しようとしただけで、ボールは結局、沈んでしまった」とコメント。

さらにオコンネルHCは「だが、われわれの意図としては、ボールをダウンフィールドへ進めることで、このフットボールゲームで勝利するチャンスをつかもうとしていた。カークにはそれが広がらなかっただけで、私の責任だ」と語った。

「(カズンズは)それが第4ダウンだと分かっていたし、彼はボールをプレーの中にとどめたかった。彼は誰かにチャンスを与え、彼らにプレーを決めさせたかった」

しかし、オコンネルHCが言葉を続ければ続けるほど、実際はカズンズの決断に驚かされていたように見えてくる。ミネソタに来てまだ1年経っていないオコンネルHCだが、”ミネソタ・ナイス(ミネソタの人々の穏やかで礼儀正しい気質)”のコンセプトを完全に理解しているようだ。

「プレーコーラーの意図という点からすれば、基本的な概念として、ゲインするスティックが足りないものをコールすることはない。振り返ってみれば、私がもっと(明確に)“ボールを置きたいのはここだ”と言うことができたかもしれない」とオコンネルHCは語った。

オコンネルHCはプレーコールの責任をその肩に背負い、そのせいで”眠れないだろう”と話している。

日曜日の試合は自身のキャリアでもっとも厳しい敗戦になったと話すカズンズは、第3ダウン残り8ヤードでワイドレシーバー(WR)K.J.オズボーンへのパスをつなげられなかったことを本当に悔いていると語った。

ジェファーソンについては、キャッチ7回で47ヤードしか稼げていなかったという要素もある。カズンズは第4クオーターでジェファーソンをターゲットにしていない。ジェファーソンの最後のキャッチは、第3クオーター残り3分11秒で4ヤードをゲインしたものだった。

数字の上では、カズンズは素晴らしいゲームを戦った。パス39回中31回成功、273ヤード、タッチダウン2回を記録する傍ら、1ヤードのタッチダウンランも決めている。また、ターンオーバーはなかった。それでも、最後のプレーは多くの人の記憶に残るだろう。それはカズンズのミスなのか、オコンネルHCのミスなのか? その議論もまた、オフシーズンの間に続くかもしれない。

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