スーパーボウル初の黒人先発QB争いの重要性をかみしめるマホームズとハーツ
2023年02月03日(金) 13:54第57回スーパーボウルはさまざまな理由から歴史的な一戦になる。その中の一つの要素が、スーパーボウルで初めて、2人の黒人先発クオーターバックが対決するという点だ。
その重要性はパトリック・マホームズとジェイレン・ハーツの2人にとっても変わらない。
カンザスシティ・チーフスのクオーターバック(QB)であるマホームズは、現地2日(木)
に報道陣に対し、「2人の黒人クオーターバックがスーパーボウルで先発するのは、特別なことだと思う」と話している。
「このリーグに来てから、俺は黒人クオーターバックの歴史をどんどん学ぶようになった。俺やジェイレンの前にやってきて、このステージを整えてくれた人たちがいて、今は自分が成長していく子どもたちのためのステージを作ることができるのがうれしい。2つの素晴らしいチームによる、素晴らしいゲームになるだろうし、もう一人の素晴らしいクオーターバックと対戦する。そこで最高のチームを相手に自分たちにできることをやることに、ワクワクしている」
第57回スーパーボウルは、マホームズにとって3度目のスーパーボウルになる。これまでの戦績は1勝1敗だ。一方のハーツは、スーパーボウルで先発する8人目の黒人クオーターバックだ。イーグルスのメンバーとしてスーパーボウルで先発する2人目の黒人クオーターバックでもあり、先人としてはドノバン・マクナブ(第39回スーパーボウル)がいる。
「これは歴史だと思う」と言うハーツは、次のように続けた。
「注目される価値のあることだし、歴史だ。ここまで長い道が続いてきた。スーパーボウルでプレーしたアフリカ系アメリカ人のクオーターバックは7人しかいないと思うし、何かの最初になるのはすごくクールだね。いい試合になるはずさ」
最初に壁を破ったのはダグ・ウィリアムズで、1988年に第22回スーパーボウルでワシントンを勝利に導いた(スーパーボウルMVPも獲得)。次の黒人クオーターバックであるラッセル・ウィルソンがスーパーボウルで勝利するまで、26年がかかった。
AFC(アメリカン・フットボール・カンファレンス)チャンピオンシップ戦でチーフスがシンシナティ・ベンガルズを倒し、NFL史上初めての黒人クオーターバック対決が決まったとき、ウィリアムズは歓喜していた。
ウィリアムズは『Andscape.(アンドスケイプ)』に「われわれは本当に長い道を歩んできた。とても厳しく、たくさんの障害があったが、われわれはやったんだ」と話している。
ウィリアムズにはこの瞬間の重みに心から感謝するだけの、人生にわたる経験がある。マホームズは数名しか黒人のクオーターバックがいない状態から、未来を担う選手として多くの黒人シグナルコーラーがいるリーグへと転換しつつあるNFLを見て育ってきた。
アメリカで最も人気のあるリーグで一流クオーターバックとしてプレーすることで重要なプラットフォームを獲得したマホームズは、自分やハーツ、そして他の選手たちの次世代の選手としての役割を理解している。
「皆がこれまでに見てきたことだと思うけど、ダグ・ウィリアムズやマイケル・ビック、ドノバン・マクナブみたいな選手たちが出ていって最高のフットボールをプレーしたことで、俺やジェイレンがこのプラットフォームを獲得し、他のNFLチームでこの場所を手に入れた。俺たちがずっとグレートでいられることを証明し続ければ、夢を追いかけ、NFLのチームでクオーターバックになることを目指しながら成長する他の子どもたちにこれからもドアが開かれると思う。ジェイレンのような選手が他のチームにいるのはいいことだ。彼は素晴らしい人間だし、当然ながら素晴らしいクオーターバックだ」
歴史上で初めて、黒人クオーターバックがロンバルディトロフィーを勝ち取ることが保証されている。今から10日後、マホームズとハーツは、誰もが切望するNFLの最高到達点を争うことになる。
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