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NFLコミッショナーが第57回スーパーボウルを前に多様性への取り組みや審判のあり方について言及

2023年02月09日(木) 15:46


NFLコミッショナーのロジャー・グッデル【Ryan Kang via AP】


現地8日(水)、NFLコミッショナーのロジャー・グッデルが第57回スーパーボウルの開催に先立って行われた記者会見の場で、リーグの重要な問題――多様性への取り組みや、審判のあり方、選手の安全衛生などを含む――を数多く取り上げた。

グッデルは報道陣に対し、コーチや幹部レベルで多様性を高める取り組みに「発展が見られていることは喜ばしい」と述べながらも、「どうすればより良くしていけるのかを常に考えている」と話している。

グッデルは昨年に“Coach and Front Office Accelerator(コーチ・アンド・フロントオフィス・アクセラレータ)”プログラムが実施されたことで、より多様な候補者がチームに集まったことを評価した。テネシー・タイタンズが12月に実施されたイベントで新ジェネラルマネジャー(GM)候補としてラン・カートンを紹介されたことを例として挙げている。

タイタンズはサンフランシスコ・49ersで選手人事部門責任者を務めていたカートンを1月にジェネラルマネジャーとして採用。今回のサイクルで採用されたマイノリティのジェネラルマネジャーおよびヘッドコーチ(HC)は現時点で2人であり、黒人のカートンはそのうちの1人にあたる。ヒューストン・テキサンズは1月31日に49ersの守備コーディネーター(DC)だった黒人のデミコ・ライアンズをヘッドコーチとして採用している。

「われわれは今後もアクセラレータプログラムを継続していく」と述べたグッデルはこう続けた。「われわれはそれに強くコミットしている。しかし、それは1つに過ぎない。他にも、長期的な成果をもたらすと思われるプログラムを数多く導入している。現在は皆が短期的な成果を求めているが、それを将来にわたって持続可能なものにすることが重要であり、多様性が自分たちをより強くしてくれるとわれわれは信じている。それはつまり、最高の人材を集め、成功するための最高の機会を提供するということだ。それこそがわれわれの活動の核心だと私は思っている。この変化を根本的で健全なもの、そして持続可能なものにしていきたいと考えている」

2023年の採用サイクルではGM職の空きが2つ――アリゾナ・カーディナルスは白人のモンティ・オッセンフォートを採用――あり、ヘッドコーチ職の空きが5つある。カロライナ・パンサーズはフランク・ライク、デンバー・ブロンコスはショーン・ペイトンと、白人の候補者をすでに採用しているが、カーディナルスとインディアナポリス・コルツはまだ採用には至っていない。特にコーチ候補者を支援するためにアクセラレータプログラムに施せる策は何かと質問されたグッデルは次のように答えている。

「1回目は5月に、2回目のアクセラレータは12月に実施した。12月にコーチに参加してもらうのは難しかった。われわれは参加を求めさえしなかった。彼らの意識がシーズンに向けられていると分かっていたからだ。このオフシーズンに実施する際には、もっと良いスケジュールを組んで、確実にコーチたちが参加する機会を持てるようにしたいと思っている」

「また、“これが本当に有益なのか?”と尻込みすることもおそらくあるだろう。コーチやその他の人々が、すでに結果を生み出しているのを見れば、彼らは参加を切望すると思うし、それはその経験を好むわれわれのクラブにとって良いことだ。何らかのプログラムを施行するとき、反応がどうなるかは決して分からない。私は各クラブの反応に圧倒された。彼らはそれを受け入れていた。彼らはそれが素晴らしいと考えていた。会談は素晴らしく、私はそれらの多くに参加した。かなりのポテンシャルがあるプログラムだ」

オフィシャルの判断――シーズンを通じて話題になり、AFC(アメリカン・フットボール・カンファレンス)チャンピオンシップ戦でも議論になった――について、グッデルはリーグの審判たちの働きを擁護し、オフィシエイティングのスタッフの才能が枯渇しているのではないかとの見方を否定した。

「われわれにとって、オフィシエイティングを見たときに、このリーグで今以上に良かったときはないと思っている。1シーズンには4万2,000を超えるプレーがあり、どのプレーでも複数の違反が起こり得るし、それを取り上げて推定すると潜在的なファウルは数百万とは言わずとも、数百の可能性があって、われわれのオフィシャルたちはそれらを見るという類まれな仕事をしている。過ちがそこに含まれるか? イエス、彼らはパーフェクトではなく、オフィシエイティングがパーフェクトであることも決してない。しかし、われわれにはこういった問題を解決し、フィールド上で正すことが不可能なものにしないよう、リプレーなどの側面がある」

グッデルはシンシナティ・ベンガルズとのカンファレンスタイトル戦で、カンザスシティ・チーフスが第4クオーターの第3ダウンのプレーで、クロックの問題の影響からチーフスがリプレー可能になったことについて意見を退けている。

「それ(そのプレー)は適切に止められた。なぜなら、クロックはフィールド上のオフィシャルによって動かされていたからだ。そういうことはわれわれのゲームで頻繁に起こる。異例なできごとというわけではない」

「すべてのテレビアナウンサーやすべてのオフィシエイティングの専門家に賛同できるわけではないが、われわれのオフィシャルは素晴らしい仕事をしていると思う。ただ、われわれは常に競争委員会やその他すべての場所の意見をあおぎ、どうオフィシエイティングを改善できるかを考えていく。とは言え、完ぺきであることは決してない。さらに、われわれ全員が今、放送で見るものの質を認識しなければならない。今見ているものは以前は決して見ることができなかったし、スーパースローモーションで見たり、実際にストップしたところ見たりすることができる。ときにはそれがコールをゆがませる可能性があるものの、現実としてはわれわれのオフィシャルは信じられないほど高い基準を保っており、彼らはそれを満たしていると思う。もっと良くなるよう努力するか? もちろんだ」

昨年10月、それまでのプロトコルがマイアミ・ドルフィンズのクオーターバック(QB)トゥア・タゴヴァイロアのケースで意図した結果をもたらさなかったことを踏まえ、NFLとNFLPAは修正された脳しんとうプロトコルに合意した。

現地8日(水)、グッデルはNFLの修正されたポリシーと、2022年シーズンはそれまでの年と比較して選手の脳しんとうが増加したことを最近に示したデータについて触れている。

「プロトコルを選手にとってより安全な形で変更できる場合は常に、われわれはそうしていく」と言うグッデルはこう続けた。

「われわれが10月に変更したものは、こういったコンディションにより保守的な対応ができる機会を与えてくれると考えたものだ、また、今年に脳しんとうが増加したのは、定義をより広くし、より保守的な定義にしたためだと考えている。診断は17%増加した。より多くの診断があれば、脳しんとうも増える」

脳しんとう予防の次の前線は、選手が着用するヘルメットの改善だとグッデルは述べた。

「ここ数年において、われわれは選手が可能な限り最高のヘルメットを着用するようにしてきたし、技術は発展しているので、装備という点からは選手たちはより安全になっている。これもルールの別の部分だと思う。最終的には、それをゲームから取り除きたい。意図しない接触は常にあり、だからこそプロテクションが必要になる。だが、究極の考えとしては、ルールがそういったタイプの負傷につながるテクニックを回避させるようにしたい」

2023年のNFLシーズンに導入される見込みなのは、12月のマンデーナイトフットボールのフレキシブルスケジュールだ。今後はサーズデーナイトフットボールにもフレキシブルスケジュールが導入される可能性をグッデルは示唆している。

「マンデーナイトフットボールにフレキシブルスケジュールがある契約の、最初の年になる。したがって、日曜日と月曜日にはフレキシブルスケジュールがある。いずれかの時点で木曜日にそれが適用されても私は驚かない。今ではないが、それも可能性として見えている」とグッデルは語った。

【A/RA】