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兄弟ともに第57回スーパーボウルの余韻に浸る中、進退は未定とイーグルスCケルシー

2023年02月16日(木) 11:47


フィラデルフィア・イーグルスのジェイソン・ケルシーとカンザスシティ・チーフスのトラビス・ケルシー【Cooper Neill via AP】

紙吹雪はジェイソン・ケルシーとトラビス・ケルシーが第57回スーパーボウルでの歴史的な対決を振り返るのに十分なほど、ゆっくりと降り積もっている。

35歳のジェイソンには試合に敗れたことに対する思いがまだ強く残っており、2023年における身の振り方を決められる状態ではないようだ。

現地15日(水)、フィラデルフィア・イーグルスのベテランセンター(C)であるジェイソンはポッドキャスト『New Heights(ニュー・ハイツ)』の最新エピソードで2022年シーズン後に引退する可能性について「今は答えられない。無理だよ」と語った。「答えはすぐに出ると思う。今はどういう答えになるのか分からない。だから答えられない」

「今年がものすごく楽しかったのは確かだ。弟とこのショーをやりながら素晴らしいチームと素晴らしい時間を過ごした。だから、どうなるだろうな。バッテリーを充電しないといけない。今はものすごく疲れている。長いシーズンで、メンタル的にも肉体的にも感情的にも消耗しているから、それをすべて回復させてから決めようと思っている」

第57回スーパーボウルがまだ終わったばかりの中で、ジェイソンとトラビスは大人気ポッドキャストの最新エピソードを収録。水曜日に配信された番組はNFL史上初めて兄弟が対決したスーパーボウルをすべて振り返るという内容になっていた。今回のスーパーボウルはあらゆる面白い要素を含むスリリングなものとなったが、兄弟からは1人しか勝者になれず、ジェイソンの所属するイーグルスはトラビスの所属するカンザスシティ・チーフスに38対35で敗れている。

ジェイソンとトラビスは試合後の反応について話し合う際、明らかに感情的になっていた。兄が最高の舞台で敗れた痛みを受け入れざるを得なかった一方で弟が2度のチャンピオンになった瞬間を振り返るために冷静さを保とうとしていたが、その目には涙が浮かんでいた。

ジェイソンは目を潤ませながら「母さんを見たときは本当に感情的になった。だって、あれは最高だっただろ」とコメント。「ああ、やばい。(彼女にとっては)最高だっただろうな。彼女は1週間、世界の頂点にいた。俺たちと一緒に彼女も祝われているところを見られたのはただただクールだった。最高の瞬間だった。彼女と父さんがあの瞬間を迎えられてただただ幸せだ」

「皮肉なことに、スーパーボウルで負けて、試合後に泣いていたけど悲しくて泣いていたわけじゃなかった。あれはうれし泣きだったんだ」

これを聞いたトラビスは「だから最高の兄貴なんだよ」と頬に涙を流しながら応答。

ジェイソンは「だから、まだつらいんだ。チームと仲間を誇りに思う。成し遂げられなくてごめん、フィラデルフィア。でも、お前のチームの人たちにとっては幸せなことで、時にはそういうこともあるよな」と続けている。

2022年シーズンを迎える前、NFLで11シーズンを過ごしていたジェイソンは将来に多くの不確定要素を抱えていた。イーグルスのヘッドコーチ(HC)ニック・シリアニもジェイソンに次のシーズンも戻ってくるよう説得するのにそれほど時間をかけておらず、口説き文句の1つとして2つのビール樽を彼に送っていた。ジェイソンはそのうちの1つの樽からビールを飲んでいる姿を撮影してそれに反応。それがもう1シーズン、イーグルスに戻るという宣言になった。そのシーズンでイーグルスはスーパーボウルに出場したが、ここ6年で2回目のタイトル獲得には惜しくも届かなかった。

ジェイソンはまだ確実に一流のレベルを発揮できる。クオーターバック(QB)ジェイレン・ハーツがハーフタイム終了間際に4ヤードのタッチダウンランを決めたプレーを見ればそれが分かるはずだ。このプレーでジェイソンは自分のセンターポジションからラインの左端まで進み、3つ分のギャップをカバー。その後、チーフスのラインバッカー(LB)ニック・ボルトンを蹴散らしてレーンを作り、そこを走りぬけたハーツが得点を決めた。

ケルシー兄弟はどちらもNFLのエリート選手であり続けている。33歳のトラビスは将来を疑問視される年齢には達していないものの、決して若くはない。それでも、2人が立ち上げた週1回のポッドキャストが爆発的な人気を博したと同時に、2人が共にスーパーボウルに出場した夢のようなシーズンを終えた後、彼らがプレーしていない2023年シーズンを想像するのは難しいと言えよう。

今回がジェイソンにとって有終の美となるかどうかはさておき、2022年シーズンはオハイオ州クリーブランドハイツ出身の2人にとって永遠に特別なものになるはずだ。

「俺は1週間ずっとワーワー泣いていた」と明かしたトラビスはこう続けている。「ものすごくクールな経験だった。アメリカにも、フットボール界にも、俺たち家族に熱中してくれ、楽しんでくれ、応援してくれたことに感謝してもしきれない。家族が受け入れられているところを見て、世界で最もクールな感情の1つを味わえた。そうさせてくれたあなたたちが大好きだ。あの1週間と、試合に至るまでのことはたぶん、試合中に起きたことのほとんどよりも強く記憶に残り続けると思う」

【RA】