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いずれかのタイミングでプレーコールをOCに任せる予定とパンサーズHCライク

2023年02月22日(水) 13:59

カロライナ・パンサーズのフランク・ライクHC【AP Photo/Nell Redmond】

カロライナ・パンサーズのヘッドコーチ(HC)フランク・ライクはコーチングスタッフに素晴らしい人材を多く抱えているが、彼にとって最も重要な職務のひとつに関しては、まだ委任する準備ができていないようだ。

現地21日(火)、ライクは少なくとも今のところはオフェンスのプレーコールを自分が担当する予定だと報道陣に明かしている。

「いつかは引き継ぎをすることになる」と述べたライクはこう続けた。「難しくなることは分かっている。それについては(新攻撃コーディネーター/OC)トーマス(ブラウン)とすでに笑い合っているのだ。“そのうち任せるつもりだ! いつかは分からないけど!”という感じでね。時と場所というものがあるだろう。時が来たら明らかになるはずだ」

「だが、私としては、今のチームやオフェンスにとって正しいことは、私の経験を生かして利用することだと思っている。トーマスをとても頼りにしているということは、すでに言える。数日にして、すでにいくつかのことで彼をとても頼りにしている。今朝は彼と長いミーティングをして、彼には知恵と信念と強さがあると感じた。だから、彼との関係はとてもうまくいきそうだ」

ブラウンOCの採用は、質の高いアシスタントを自分のもとにそろえるという目標を掲げながら、オーナーのデビッド・テッパーの後ろ盾を得てパンサーズに加入したライクの手柄だと見られている。ライクがジム・コールドウェルをシニアアシスタントとして迎え入れられたのもテッパーのサポートがあったからだ。パンサーズのヘッドコーチ候補として面談を受けていたコールドウェルは、その座をライクに奪われたにもかかわらず、彼のスタッフに加わっている。

テッパーは過去にも積極的にコーチングサイクルで最も注目を集めている人物を勧誘していた。その結果、テッパーはテンプル大学とベイラー大学でプログラムを立て直した後に注目株となっていたマット・ルールをヘッドコーチとして採用することに成功。ルールもまた、新進気鋭の攻撃コーディネーターであるジョー・ブレイディをパンサーズに呼び込んだ。

結果的にルールは在任期間に期待以上の成果をあげられず、テッパーは2022年シーズン中にルールを解雇することに。ルールが解雇されるずっと前にブレイディはすでに解任されていた。それでも、テッパーは今回も、新しく迎え入れたライクがスタッフをそろえる時期になると、臆することなく資金を投じている。

ライクはテッパーのサポートについて「同じような人材の獲得を目指していた他チームと競い、最終的にトップに立てたのは、そうした後ろ盾があったからだ」と話している。

その成果にはブラウンOCの獲得も含まれている。以前、ロサンゼルス・ラムズでアシスタントを務めていたブラウンは、過去2回のサイクルでそれぞれヘッドコーチからの関心を集めており、将来性のある有望なコーチだと見られていた。HC職を逃したコールドウェルはパンサーズに加入するという提案を簡単に辞退できたが、ライクのオファーは次に69歳になる自分にとって理想的なものになるかもしれないと気づいたようだ。

シニアアシスタントとしてパンサーズに加入するという決断について、コールドウェルは「キャリアを積んでいくと、たまにはリセットしなければならないこともある」とコメント。「今は、ここでやっている仕事のことしか考えていない。将来やその他のことは気にしていない。この先、ヘッドコーチになることは考えていないが、私は今この時点において、この組織のために完ぺきに最高の仕事をすることだけを考えていて、それ以上先のことは考えていない」

「若い人たちとは少し違うだろう。だが、私は人生の中の現段階において、この環境でできる限りの力を発揮したい」

インディアナポリス・コルツが2022年シーズン中にライクを解雇したとき、彼が新ヘッドコーチを求めているクラブからの関心を集めることは確実に予想できた。その後、時間を無駄にすることなくライクを採用したパンサーズは、低迷しているチームを再び有力なチームになるよう導くのに十分な経験を持っているようなスタッフを集めるのに必要なツールをライクに与えている。

もちろん、そのプロセスは強力なコーチ陣を雇うことほど単純なものではないが、パンサーズには自分たちの将来を楽観視できる理由が確かにあると言えよう。コルツで5年間にわたってヘッドコーチを務めてきたライクは、クオーターバック(QB)が毎年のように入れ替わる状況下でもチームをプレーオフに2度導いてきた。また、ライクは将来性のある人材ばかりでスタッフを構築している。

そのグループにはコールドウェルやブラウンをはじめとし、デンバー・ブロンコスの守備コーディネーター(DC)だったエジロ・エベロも含まれている。先日、パンサーズの守備コーディネーターとして採用されたエベロは2022年にブロンコス守備陣を強力なグループへと成長させた。この3人のアシスタント(および他のアシスタント)がいることから、ライクは死角に悩まされることのない、充実したメンバーをそろえられたと考えている。

自分のスタッフの経験について聞かれたライクは「単純に思考の多様性だ」と述べた。

「そういう種類の経験を持つ人たちというのは、さまざまなシステムに身を置き、激しい争いを経験し、浮き沈みを繰り返し、問題を解決する方法を学び、あらゆるタイプの選手と取り組む方法や問題を解決する方法を学んできたはずだ。シーズンは長い。そういう人たちはスタッフとして、チームとして、協力し合い、問題を解決する方法を知っている。そして、強い信念を持ちながら、エゴを出さない。経験がそうさせるのだと思う」

「それが少し過小評価されているのではないかと思う時がある。過小評価されてしまうのではないかと思う時もある。しかし、ここのスタッフとして素晴らしい経験ができるのはとてもうれしい」

通常、オフシーズンは最も楽観的な見通しが出てきやすい時期だ。つまり、フィールド上のパフォーマンスが現在の明るい見通しと一致しない場合、シナリオが変わる可能性はある。しかしながら、パンサーズは努力なしに将来を楽観視しているわけではない。今回、テッパーとライク、そしてパンサーズは、潜在能力ではたどりつけなかったところに経験が導いてくれることを期待している。

【RA】