レイブンズがQBジャクソンに非独占的フランチャイズタグを指定
2023年03月08日(水) 10:17少なくともあと1年はラマー・ジャクソンをチームにとどめておきたいと考えるボルティモア・レイブンズが、フランチャイズタグ期限前に動いた。
レイブンズがジャクソンに非独占的フランチャイズタグを指定したと『NFL Network(NFLネットワーク)』のイアン・ラポポートが現地7日(火)に情報筋の話を元に伝えている。
ジャクソンのタグは3,241万6,000ドルになり、その額が確定する前に、複数年の契約延長については7月17日まで行うことが可能だ。
レイブンズのジェネラルマネジャー(GM)であるエリック・デコスタはタグについて発表した声明の中で「ラマー・ジャクソンと長期契約に至らなかったため、われわれはフランチャイズタグを使用する」と述べている。
「リーグ全体やボルティモアで、ある選手にフランチャイズタグが指定された際、同じ年に長期契約が締結される例は多い。ラマーと誠実な交渉を続け、ラマーにとってもレイブンズにとっても適切な長期契約が結べることに希望を持っている。最終的な目標はラマーがこれから何年も率いていく、チャンピオンシップに勝てるチームを築くことだ」
レイブンズは期日までに契約を結ぶために、懸命に仕事に取り組むだろう。しかし、より大きな問題になる可能性があるのは、チームが選択した非独占というタグの性質だ。
ジャクソンは今も、他のチームとフリーエージェンシーで交渉することが可能だ。他のチームのオファーシートにジャクソンがサインした場合、レイブンズは5日間でそれに対抗するかどうかを決めなければならない。したがって、レイブンズには競り負け、2つの1巡目指名権と引き換えにチームの中心的な存在である選手を失うリスクがある。
ただし、ラマー・ジャクソンに目をつけていないチームが1つあるという。『Good Morning Football(グッドモーニング・フットボール)』のピーター・シャージャーが火曜日に報じたところによれば、アトランタ・ファルコンズにはジャクソンを追求するプランはないという。
レイブンズには他のチームの交渉を妨げる方法もあった。しかし、2023年にジャクソンに独占的フラチャイズタグを指定するには、およそ1,300万ドル増の4,500万ドルが必要になる。
ジャクソンとチームにとっては難しい状況が続く。ぜいたくをいとわず、フリーエージェンシーでQBを必要としているチームが1つのハードルとなり、迫り来る期限もまた1つの障害となるだろう。
だが、困難な道なら、ジャクソンとレイブンズはこれまでにも歩んできた。
レイブンズは昨シーズンが始まる前から契約延長に取り組んできたが、ジャクソンが期限としていたシーズン第1週には間に合わなかった。9月にはジャクソンが主要な部分でラッセル・ウィルソンの年額4,900万ドルを超える契約を拒絶したと伝えられている。『NFL Network(NFLネットワーク)』は2月に、ジャクソンが望んでいるのはデショーン・ワトソンがクリーブランド・ブラウンズと締結した、完全保証された2億3,000万ドルの契約に匹敵するものだと報じていた。
ジャクソンはルーキーだった2018年にNFL界を席巻し、バイウイーク後にレイブンズの先発に立つと、それまで4勝5敗だったチームを6勝1敗とポストシーズンに導いている。
ジャクソンは2019年にリーグトップのタッチダウンパス(36回)、QBのシーズンレコードである1,206ラッシングヤードをマークしてMVPに輝いた。ジャクソンをリーダーとしたレイブンズは、2020年に3年連続でのポストシーズン進出を達成。この時にジャクソンは初めてプレーオフでの白星を飾ったものの、やはりディビジョナルラウンドより先には進めなかった。
しかしながら、ここ2年はその輝きがやや鈍っている。
2019年から2020年にタッチダウン62回、インターセプト15回、パサーレーティング106.6を記録した一方、過去2年はタッチダウン対インターセプトが33対20、パサーレーティングが88.9となっている。この2シーズンはいずれも、ジャクソンは負傷によってそれぞれ5試合に欠場していた。
長引くケガやその後のチームの不調、ジャクソンの効率性の低下のいずれが要因だったかはともあれ、契約上の方向性が異なるチームとQBは今、非独占的フランチャイズタグという地点までたどりついた。
これはジャクソンが2023年もボルティモアにとどまるための第一歩だ。独自で行うジャクソンとの契約か、他チームのオファーシートへの対抗かはともあれ、レイブンズの時計はその瞬間に向かって時を刻み続けている。
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