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QBロジャース、現役続行と「ニューヨーク・ジェッツでプレーすること」が自分の意思だと強調

2023年03月16日(木) 15:07


グリーンベイ・パッカーズのアーロン・ロジャース【AP Photo/Chris Szagola】

グリーンベイ・パッカーズのクオーターバック(QB)アーロン・ロジャースは2023年にニューヨーク・ジェッツでプレーしたい意向があることを明言した。

現地15日(水)に放送された『The Pat McAfee Show(ザ・パット・マカフィー・ショー)』で、NFLで過ごす予定の19シーズン目に希望している居場所と、キャリアの現状を説明したロジャースは、「ここに座っている今現在、自分の意思としてはプレーすること、ニューヨーク・ジェッツでプレーすることだと金曜日からはっきり伝えているはずだ」と強調。

多く報じられた暗闇での瞑想を始めた頃にはグリーンベイで過ごした18年のシーズンを終えて自分が引退に向かっていると考えていたロジャースだが、その闇から抜け出して初めて、まだプレーしたい思いがあることに気づいたという。

「その闇に入ったときは90%が引退で、10%が続行だったことは認める。そういう思考だったし、“もう疲れた”と感じていた。ワークアウトにも戻っていなかったし、そうすることが自分にはベストなんだと思った。だから、いろんなことをやってみたりしながら、1日かけて引退するという現実を考え、ある1日は復帰してプレーする現実を考えてみた」

「そして、何時間も何時間もそれに没頭するうち、それがどういうことなのか、現実はどうなのか、そのすべてをどう感じるのかをじっくり考えて、そこから抜け出したとき、大勢がどうなるのか、グリーンベイがどんな状況にあるのか、プレーしたいと言ったらどんな選択肢があるのか、そこにとても興味を持っていた」

ロジャースにとって唯一の所属チームであるパッカーズが希望を尊重してくれることを知ったロジャースは、別の街で新たなチャプターをスタートさせるタイミングだと実感したようだ。

ロジャースではなくジョーダン・ラブをフランチャイズクオーターバックに据えることなど、パッカーズが未来へと徐々にシフトしていく過程を含め、さまざまな話題について言葉を濁すことなく話したロジャース。グリーンベイの街、パッカーズのファンベース、偉大なフランチャイズにおける自分自身の地位に対して惜しみない賛辞を送りつつも、同時に、この数年にわたるフロントオフィスの変化とチームの下した決断が、ロジャースを別離の道へと向かわせたことを認めることもためらわなかった。

パッカーズの社長兼CEOであるマーク・マーフィーが発した、パッカーズは「双方の利益になるような状況にしたい」との言葉は、別離の可能性をより明白にするものだった。

ロジャースが真剣に明らかにしようとしたのは、彼がすでに決心しているということ。ニューヨーク・ジェッツの一員になりたいのだ。ただし、彼自身にそれを現実化するだけの権力はなく、結果として、今週はNFL全体が待ちぼうけを食らう格好となっている。

ロジャースが今の地点に到達した経緯は極めて単純だ。ニューヨーク・ジェッツと面談したロジャースは最終的に引退の覚悟ができていないことを認めた。パッカーズがロジャース不在で未来に進む準備ができていることを示唆する中、ロジャースにとってニューヨークは魅力的な目的地となった。すでにチームが売り込みに動き出していたことも障害にはならない。

「パッカーズに対する悪意も恨みもない。この10日間は確かにほろ苦かったけどね。だから、どうなっていくのか、楽しませることに切り替えたんだ。パッカーズがジェッツの訪問を許可してくれて、楽しい時間になったし、彼らが路駐を決め込んだことでパパラッチの注目を集めてしまったのはおもしろかった。でも、素晴らしい話し合いができたし、自分からは“今はまだ何についても決断を下せない。ワークアウトに戻ってどう感じるかを見てみたい。1週間、ハードに取り組んでみて気持ちや情熱がまだあるかどうかを踏まえれば、自分たちがどこにいるかが分かると思う”と伝えた」

「今、特に何かが停滞しているということはなく、パッカーズが俺のために補償を手に入れようとしてくれているのだけど、一歩も譲らない感じになっているから、今こうして一歩下がって全体像を見てみると興味深いものがある。自分の立場から言えば、グリーンベイが自分のためにやってくれたことすべてに愛を感じるし、尊重も感謝も感じている。それに、この状況の現実というのは致し方ないことでもあると思う。パッカーズは前に進みたがっている。彼らはそれをたくさんの言葉で自分に伝えてくれたし、他の人たちには直接的な言葉で伝えてきてもいる。ただ、自分の中にまだ炎はあって、プレーしたいと思っているし、ニューヨークでプレーしたい思いがあるから、今言えるのはそれを実現させられるかどうかの問題だ」

NFL全体がロジャースの次の動き――決断ではなく――を待っている。というのも、決断については水曜日の時点ですでに示されているからだ。そういった状況の中、ロジャースの移動につながる他の動きはすでに見えている。グリーンベイで攻撃コーディネーター(OC)を務めていたナサニエル・ハケットは、ニューヨークで同じ役職についている。ロジャースが信頼するレシーバーであるアレン・ラザードは火曜日にジェッツとの4年契約に合意した。すべてが、最後の決定打を待っている状態だ。

しかし、一般に考えられているように、ロジャースが決定権を握っているわけではないようだ。ロジャースによれば、移籍のためのチェックリストを完了していないのはジェッツの方だという。

ロジャースは水曜日の番組の中で「それは馬鹿げている」とし、こう続けた。

「俺は自分自身のことを伝えている。それぞれの情報元があるんだろうが、俺が見たものでは、ジェッツと面談したときに俺が書類を持っていて、彼らにサインするように言ったというものがあった。それは現実じゃない。俺がそんなことをすると思うのが、そもそも馬鹿げている。彼らが、俺が何年もプレーしてきた選手たちについて尋ねたか? それはもちろんだ。俺がチームメイトたちについて熱く語ったか? それはそうだ。彼らがリストにいればうれしいか? 当然だ」

「特定の人について俺が要求したか? それはつまり・・・皆が、それが本当だと信じたいんだろう。俺が王笏をもってミーティングに現れて、彼らがサインしなきゃいけない人たちのリストを載せた手書きの羊皮紙かなんかを渡すって。客観的に見て、多くの人がアレン・ラザードのことを“彼は本当にいい選手だ。彼にこのチームにいてほしい”と思うだろう。頭の働く人なら誰でも、俺に電話してきて“アレン・ラザードはロッカールームではどんな人物だ? 彼の職業倫理は?”と聞いてくる。俺は“彼は本当に最高の男だ。彼がロッカールームにいるなら幸運だ”と答える。ビッグ・ドック(マーセデス・ルイス)やコビー(ランドール・コブ)とか、誰がそういうリストに載るのか知らないけれど、その誰に対しても同じことだ。何より、オデル(ベッカム)に自分のチームにいてほしくない人なんていないだろう。何の話をしているんだっけ? 俺には要求はない。俺の唯一の要求は透明性だけで、戯言(たわごと)にはそれを言う意味すらないようなものだ」

ロジャースはハケットに関する同様の見方についても否定し、「彼は本当に素晴らしい人間であるだけじゃなく、最高のフットボールコーチだ」と話した。

要約に値するインタビューがあるとすれば、今回のインビューがまさにそれだろう。そこには、いくつかのキーポイントがある。ロジャースはパッカーズがもう自分を求めていないことを知っている。彼はプレー続行を望んでいて、ニューヨークが理想的な目的地だと考えている。すでに見知った人々がニューヨークにいるのはプラスの要素だが、ロジャースがまだ実現していない移籍の前提としてそれを求めたわけではない。そして、彼にはグリーンベイに悪い感情はない。少なくともその街や、献身的なファンに対しては。

そしてもう一つ。彼は自分がグリーンベイのレジェンドであることを知っており、そのことについて話すのをためらわない。あとは適切な去り方だけだと、ロジャースは考えている。

「まあ、自分の言い分としては、これは議論の余地があるとは思うけれど、俺はフランチャイズの歴史で最高の選手なんじゃないかと思う。俺はたしかに、そういう会話に入っている。俺が歴史上、一番在籍期間の長いパッカーであることについては議論無用だ。まずはバート(スター)やブレット(ファーブ)の名が挙がるだろうし、信じられないくらい素晴らしい選手たちがたくさんいたけれど、俺よりも誰がそこに長くいたかという議論はできない」

「俺はあの街を愛しているし、ファンたちを愛している。地域を愛している。現実的な状況として、俺に動いてほしいと思っている人たちがいると思うし、それは理解している。そのことについて怒ってはいないし、俺の心には全てのパッカーズファンに対する愛しかない。グリーンベイで過ごしたおかげで、俺の人生はより良くなっている。俺たちはただ、現実を見なきゃならない」

「彼らは動いてほしいと思っていて、俺が戻ってくることを望んでいない。それは問題ない。彼らはジョーダンに移行する準備ができていて、そのことは素晴らしいことだ。ジョーダンは素晴らしい選手になるだろう。彼はものすごく素晴らしいヤツで、今年は本当に最高のシーズンを送り、さらに良くなっている。彼にはこれから輝かしい未来があり、彼らは優れた、若いチームを手にいれた。事実として15年にわたってフランチャイズの顔は歳を重ねていって、すぐに動くべきときなんだ」

【C/A】