亡くなったピッツバーグ・スティーラーズのクオーターバック（QB）ドウェイン・ハスキンズの遺族は、ハスキンズが運転していた車がガス欠になり、酔った状態で高速道路に立っていたところを複数の車両にひかれて亡くなる前に薬物を投与され、強盗と恐喝の被害に遭っていたとして複数の人物、企業、フロリダ州を相手に訴訟を起こした。

最近にフロリダ州フォートローダーデールで提訴されたこの訴訟は、オハイオ州立大学のスター選手だったハスキンズが2022年4月9日に起きた事故の数時間前に、男性1人と女性3人から薬を飲まされて所持品を盗まれたと主張している。これらの行為はボカラトンのホテル、高級ゴルフ練習場、バー、ナイトクラブで起こったという。今回の訴訟で具体的な内容は明かされていない。当時24歳だったハスキンズは事故が起きたとき、スティーラーズのチームメイトとオフシーズンのワークアウトのために南フロリダに滞在していた。

ハスキンズの妻と両親を代表して起こされたこの訴訟は、ハスキンズをひいたダンプカーの運転手と所有者の名前も挙げており、制限速度を超えていた上にタイヤとブレーキが摩耗しており、過積載だったとしている。

ハスキンズが借りていたピックアップトラックにはガス欠を起こすような機械的な欠陥があったとのことだ。遺族はまた、州高速道路局が道路に対する適切な整備や照明を怠り、工事中だったにもかかわらず制限速度を下げる指示が掲示されていなかったと主張。仮設の標識が高速道路の視界を遮っていたと訴えている。

遺族の弁護士であるリック・エルスリー氏は声明の中で、今回の訴訟により「この悲劇に関する真実をすべて明らかにするプロセス」の一環として、ハスキンズと一緒にいた人物に関する文書を召喚し、質問をすることが可能になるとコメントしている。

「ドウェインが殺される数時間前に何が起きたかについては多くの疑問が残っている。ドウェインは計画的な脅迫と強盗の対象として狙われ、薬を飲まされたと考えられる。実際に、亡くなる直前に彼の高級時計が盗まれている」とエルスリー氏は声明の中で述べている。訴訟の申し立てに関する具体的な質問には回答を避けた。

ブロワード郡検死官事務所が5月に発表した死亡報告書によると、ハスキンズと一緒にいた女性は夜明け前にフォートローダーデール・ハリウッド国際空港近くの州間高速道路595号線でガス欠になったと捜査当局に話している。彼女によればハスキンズは暗闇の中、燃料を探しに行ったという。

目撃者はハスキンズがトラックとSUVに立て続けにひかれた際、ハスキンズはセンターレーンに立って車両に向かって手を振って停車させようとしていたと話している。報告書はハスキンズが鈍力的外傷によって亡くなったとしている。

検死結果によるとハスキンズの血中アルコール濃度は0.20だったという。これは州が運転の際に定める上限値である0.08の2.5倍に相当する。

カリフォルニア大学デービス校や他の大学の研究によれば、ハスキンズと同等の体重（104kg）の人物が亡くなる前に今回のレベルのアルコール濃度に達するには、少なくとも10杯のドリンクを摂取する必要があるという。また、ハスキンズの体内からは強い鎮痛剤であるケタミンとその代謝物であるノルケタミンが確認された。この薬物は医師が処方できるものだが、乱用されることがある。報告書に薬物が処方されていたかどうかは記載されていない。

ハスキンズは2018年にオハイオ州立大学で活躍し、いくつかの校内記録をマークしたほか、ビッグ10チャンピオンシップゲーム戦、およびバッカイズがワシントン・ハスキーズに勝利したローズボウルの両方でMVPに選ばれた。

2019年NFLドラフトの1巡目でワシントンから指名されたハスキンズは、2シーズンで3勝10敗になった後にリリースされている。2021年はバックアップクオーターバックとしてスティーラーズと契約していたが試合には一度も出場していない。

記事提供：『The Associated Press（AP通信）』

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