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NFLへの“カムバック”を目指すビルズSハムリン、心停止の原因を詳しく説明

2023年04月19日(水) 10:40

バッファロー・ビルズのダマー・ハムリン【AP Photo/David J. Phillip】

セーフティ(S)ダマー・ハムリンがNFLにカムバックしようとしている。

現地18日(火)、バッファロー・ビルズがハムリンにフットボールアクティビティに参加する許可を出したと発表。ハムリンは同じ日に自らの復帰を宣言した。

ハムリンは報道陣に「NFLにカムバックする予定だということを発表するためにここに来た」と話している。

25歳のハムリンは1月2日に行われた試合中に心停止を起こし、数日間にわたり重篤な状態に陥ったところから復帰するというプロセスであることを理解しているとしながらも、医師からはフットボールへの復帰がメンタルヘルスに良い影響を与えるはずだと言われていると強調した。

再びフットボールをプレーすることについて、ハムリンは「俺はこれまでずっと統計に勝ってきたから、ここにある機会を気に入っている」とコメント。

シンシナティ・ベンガルズのワイドレシーバー(WR)ティー・ヒギンズと衝突した後に倒れたハムリンは、フィールド上でCPR(心肺蘇生)を受けた。その後、救急車でシンシナティ大学医療センターに搬送され、そこで重篤な状態に陥っている。シンシナティの病院で1週間ほど過ごした後、さらなる治療のためにバッファローの病院に転院。そして、1月11日に退院を果たした。

アメリカ心臓協会によると、心臓振とう――心臓が鼓動を繰り返す中、あるタイミングで胸の特定のスポットに打撃を受けることで始まる、心停止の原因としては珍しい症状――に見舞われていたとのことだと、ハムリンは火曜日に発表している。

ハムリンは「自分の身に起こったことの大部分の診断は、基本的に心臓振とうだった」と説明した。「わずかな時間で特定のポイントに直接的な打撃を受けることによって心停止に陥り、その5秒後から7秒後に倒れるというものだ。それが今年の1月2日にみんなが見た光景だ。心臓振とうはどのスポーツにおいても、若手アスリートの死因の上位に挙げられている。だから、俺は変化を起こすために個人的に一歩を踏み出すつもりだ。そうは言ったけど、CPRの認知が広まったことやAEDの普及によってその数は下がってきてもいる」

「俺と一緒にこの旅に出てくれてありがとう・・」

ハムリンは自身の基金を通じて、CPRのトレーニングや、青少年スポーツにAED(自動体外式除細動器)を提供する取り組みに関心を持たせ、命を救うことに貢献している。また、NFLも先月、高校生の致命的な心停止を防ぐためのキャンペーンを共同で立ち上げることを発表した。

火曜日、NFLに戻ってくることは自分自身や他の人々がそれぞれの状況を克服するためのモチベーションを高めるためのもう一つの方法だと考えていると報道陣に明かしたハムリンは、次のように語っている。

「俺のハートはまだそこにある。ゲームの中にあるんだ。ゲームを愛している。他の誰でもなく、自分自身に証明したいことだ。恐怖は1つの選択だということをみんなに示したいだけ。答えがなくても、トンネルの先に何があるのか分からなくても、何かに向かって進み続けることはできる。不安な気持ちになっても、どんな気持ちになっても、右足を左足の前に出せば、進み続けられるんだ。俺はそのために立ち上がりたい」

ハムリンは珍しい症状に見舞われて以来、毎日に感謝し、自分にはまだやれることがあると確信するようになったと話している。

「ありきたりな言葉に聞こえるかもしれないけど、朝起きて、深呼吸して、穏やかな生活を送るだけでも生きていると感じる瞬間は毎日ある」と言うハムリンはこう続けた。「家族がいること。俺を愛し、心配してくれる人たちが周りにいること。そして、その人たちにとっては、俺が今も生活の中にいること。彼らは俺を失いかけていた。俺は全国的なテレビ放送で、全世界の人々の前で死んだ。だから、あらゆる角度から考えている。彼らにとっては俺がまだ身近にいること、俺にとっては彼らがまだ身近にいること、どっちにも言えることだ。俺はこれまでの人生で多くの人を失ってきたし、誰かを失ったことがある人も何人も知っているから、その気持ちはよく分かる。だから、すぐそこにあることが最大の幸せなのさ。今も俺には仲間がいて、仲間には俺がいる」

【RA】