QBロジャースとの別れは“ほろ苦い”がQBラブ時代の幕開けを“楽しみにしている”パッカーズGMグーテクンスト
2023年04月27日(木) 12:55現地26日(水)、グリーンベイ・パッカーズが正式にクオーターバック(QB)アーロン・ロジャースをニューヨーク・ジェッツにトレードしたことで、グリーンベイではポスト・アーロン・ロジャース時代が始まった。
とはいえ、それはロジャースに関する質問がウィスコンシンから消えることを意味しているわけではない。2023年NFLドラフトの開始まで24時間あまりとなり、ロジャースが最新のジェットとして紹介されてから数時間後、パッカーズのジェネラルマネジャー(GM)ブライアン・グーテクンストはロジャースのトレードに関する内容をすべて要約しようと試みた。
要するに、パッカーズは喜んで前へ進もうとしており、ロジャースのトレードで得た見返りに満足している。また、パッカーズにはロジャースにもう1シーズン、チームでプレーするよう説得できなかった理由を説明するつもりがないようだ。ロジャースが携帯電話の電波や『FaceTime(フェイスタイム)』の話を用いて複雑な説明をした後ですら、彼らはそうしなかった。
「その詳細を語るつもりはない」と強調したグーテクンストGMは「質問の内容は理解している。私たちはさまざまなレベルでコミュニケーションを取ろうとした。それができなくなった後は、彼の代理人とかなり連絡を取り合った。深く語るつもりはない。私たちにとっても、彼らにとっても良いことではないからね。私たちはただ前に進むだけだ。だが、質問をいただいたことには感謝している。ただ、それに関して私たちの努力やコミュニケーションに不足はなかった。今日はパッカーズにとってもジェッツにとっても良い日だと思う」と続けている。
グーテクンストGMが詳しい説明をすることはなかったが、ロジャースは自分が好んでいる、面と向かって対話するというコミュニケーション方法にパッカーズ側が応じなかったと示唆しているようだ。
ロジャースは水曜日、グーテクンストGMが発言する前に「俺のことを知っている人なら分かると思うけど、幸運にも俺は美しい家に住んでいる。唯一の欠点は、携帯電話の電波がかなり弱いことだ」と話していた。「だから、俺に連絡を取りたいなら、俺はあなたの顔を見なきゃいけない。“FaceTime”をする必要があるんだ。だから、コミュニケーションに関して唯一言えるのは、誰が、いつ、FaceTimeで連絡をとってきたかという記録は携帯に残っているものだけど、俺が見ていた番号からのFaceTimeは1度もなかったということだ。今はこういう状況だから何でもいいんだけどね」
「俺と連絡がつかなかったという話については、明らかに彼らが望んでいた方向性であって、それがこういう結果につながった。俺が言いたいのは、変更したいことがあったのなら、なんでオフシーズンの早い段階で俺に伝えなかったのかということだ。あのときは間違いなく、自分の将来が確定していなかった。プレーを続けたいのかどうかも分かっていなかった。暗闇で瞑想してじっくりと考えたかった。でも、そこから出てきたときには、引退か他チームへ移ることが明白になっていた」
パッカーズとジェッツはロジャースのトレードを一夜にして実現させたわけではない。ジェッツがパッカーズに送った2024年ドラフト2巡目指名権(ロジャースが2023年にジェッツでどれほどプレーするかによって1巡目指名権になる可能性がある)の条件をめぐる“堂々巡り”の議論を含め、両者が詳細を詰めるのには1カ月以上がかかった。最終的には合意点を見つけることができ、幸いにも交渉およびグリーンベイにおけるロジャースの英雄物語に終止符を打つことができている。
「厳しい要素が1つあったというわけではなく、単純に想像よりも時間がかかったと言える」と明かしたグーテクンストGMはこう続けた。「彼らは自分たちがどうしたいのか、いろいろと試行錯誤していたのだと思うが、ジョー(ダグラス/ジェッツGM)と取り組めたことによって比較的楽に進められたと思う。彼とは同じバックグラウンドを持っていて、自分たちにとって重要なこと、相手にとって重要なことをお互いに理解しているからね。やはり、時間はかかったものの、私はジョーと彼のやり方を本当に尊敬している」
パッカーズがロジャースに復帰するよう説得することを強いられる毎年恒例の待機期間から脱却したグーテクンストGMは、2024年にロジャースの巨額のサラリーキャップヒットを負担するという義務から解放されることに対して興奮している様子を見せた。ロジャースの退団により、パッカーズは1人の選手に多くの資金を集中させるのではなく、ロースターを改善するための資金力を実質的に回復させることができるのだ。
グーテクンストGMは「私たちはそれをとても楽しみにしている」と話している。「フットボールチームを後押しするための手段は、いつでもできる限り多く持っていたいものだし、この3年ほど、チームがチャンピオンシップを目指すためにいろいろなことを進めてきたが、ある時点で、私たちがそれを進める上でこれが助けになるのだと理解する必要があった。すべてをクリアにするわけではないが、来年につながることは間違いない。しかし、この特別な部分を乗り越え、来年のためにいくつかの資産を手に入れられたことに興奮している」
今回の離別には敵意があったわけではない。双方が今週のトレードに満足していることがその理由の1つとして挙げられる。ジェッツはクオーターバックを手に入れ、ロジャースは自由を手にし、パッカーズはジョーダン・ラブ時代を勢いよく始めるべく、チームを改善するための資産を手に入れた。グーテクンストGMはロジャースがチームの殿堂入りを果たすために戻ってくることになれば、必ず両手を広げて歓迎されるだろうと述べている。しかし、現在は2023年シーズンおよびロジャース抜きで踏み出す最初の一歩に焦点を合わせているようだ。
「この18年間と、アーロンがこの組織のためにしてくれたこと、彼のこの場所に対するコミットメント、ここでの多くの成功に、私たちはとても感謝している」と語ったグーテクンストGMは次のように続けている。「その点に関して、ほろ苦さは常にあるが、それと同時に、このチームがこれから何を成し遂げられるのか、本当に楽しみにしている。ジョーダンと彼の成長に期待している。彼はエネルギーに満ちていて、準備も整っている」
【RA】