5年目オプションは行使せずもLBパトリック・クイーンの確保を試みるレイブンズGMエリック・デコスタ
2023年05月10日(水) 11:49ラインバッカー(LB)パトリック・クイーンの5年目オプションを行使しないというボルティモア・レイブンズの決断は、少し驚くべきものだった。
『Pro Football Focus(プロフットボール・フォーカス)』によると、クイーンのランクは新しいチームメイトのロクアン・スミスよりやや低いものだったという。レイブンズはスミスを、トレードによる2巡目指名権(他の内容も含む)と、5年1億ドル(約135億2,755円)の契約延長に値すると判断した。しかしクイーンに関しては、2024年の1,270万ドル(約17億1,800万円)というレートで確保する価値はなかったのだ。
レイブンズのゼネラルマネジャー(GM)エリック・デコスタはその決断に続き、2023年のドラフトでクレムソン大学のラインバッカー(LB)トレントン・シンプソンを指名し、2023年シーズン以降のクイーンの後釜を事実上確保した。しかし、デコスタによれば、それほど単純な話ではないようだ。
デコスタはレイブンズの『The Lounge Podcast(ザ・ラウンジ・ポッドキャスト)』で「人々は結論に飛びつき、 “ああ、シンプソンはパトリックの代わりになるだろう”と言いたがる。私は、パトリック・クイーンが昨年、素晴らしい1年を過ごしたと言いたい。パトリック・クイーンは非常に才能があり、私の中ではプロボウル級のラインバッカーだ。彼は今年も素晴らしい1年を過ごすことになるだろう」と話した。
「われわれはパトリック・クイーンをこのチームに残したい。われわれは、ある時点で、できれば彼と契約延長できるよう努力するつもりだ」
クオーターバック(QB)ラマー・ジャクソンとの契約を成立させるのに1年以上かかったことを考えると、デコスタがクイーンとの延長契約を保証していないことは理解できる。彼はすでにスミスに年間平均2,000万ドル(約27億556万円)を費やしており、クオーターバック(QB)には年平均5,200万ドル(約70億3,445万円)を支払う契約を結んだばかりだ。
レイブンズがクイーンのオプションを選んでいたら、クイーンとスミスに2,600万ドル(約35億1,722万円)以上の負担を強いられることになる。デコスタは、そのような多額の資金を背負う代わりに、2024年のリーグ開幕までに契約交渉が進まなければ、クイーンを完全に失うリスクを負うことにした。
デコスタと彼のスタッフにとって、またサラリーキャップを下回るために常に数字を計算しなければならない世界においては、クイーンを完全に失うリスクは必要なものだろう。また、デコスタが9カ月の間にクイーンを引き留めたいかどうかを判断し、もし引き留めるのであれば、チームのラインバッカーに対する見方を正確に示しながら、大きな財政的負担を将来に回す契約を結ぶことが可能なため、それほど深刻な状況ではないかもしれない。
デコスタは「5年目オプションはパトリック・クイーンや彼のパフォーマンス、選手としての能力よりも、ビジネスやサラリーキャップに基づいたものだった。彼はチームに違いを生み出す存在だ。昨年、パトリック・クイーンとロクアン・スミスがシーズン後半に活躍したとき、われわれのディフェンスがどれほど支配的なものになるかを見る機会があった」と語った。
クイーンのボルティモアへの在籍が限られているということを強調しているのではなく、レイブンズは財政的に柔軟であり続けるためにオプションを放棄している。クイーンが明日にでも、チームのサラリーキャップにより優しい契約延長にサインする可能性は大いにある。しかし、今のところ、2023年シーズンはクイーンにとって、オープンマーケットで自分の価値を証明するチャンスのシーズンとなる。このチャンスに交渉の時間が加わることで、ボルティモアでのプレーを続けることはできるかもしれない。
【AK】