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WRディッグスが参加必須のミニキャンプを欠席したことを“とても懸念”しているビルズHCマクダーモット

2023年06月14日(水) 12:20


バッファロー・ビルズのステフォン・ディッグスと・ダラス・カウボーイズのトレボン・ディッグス【AP Photo/David Becker】

不安を引き起こすような出来事が起きている。ワイドレシーバー(WR)ステフォン・ディッグスがバッファロー・ビルズのミニキャンプに姿を現していない。

現地13日(火)、ヘッドコーチ(HC)ショーン・マクダーモットはディッグスの欠席を正式に発表した際に、参加必須の集まりをスキップするというディッグスの選択を“とても懸念”していると報道陣に明かしており、次のようにコメントしている。

「深く話すつもりはない。私は皆さんの質問や、うちのチームについて知りたいと思っていることに敬意を払っている。今は、これ以上話すつもりはない」

『NFL Network(NFLネットワーク)』のイアン・ラポポートはその後、ディッグスは月曜日と火曜日の午前中にビルズの施設にいたものの、火曜日にミニキャンプの練習が始まる前にそこを離れたと報道。そして、ディッグスの代理人であるアディサ・バカリは声明で、“なぜ(マクダーモットHCが)そのような発言をしたのか分からない”としている。

NFLネットワークのトム・ペリセロによると、バカリは「解決されつつあること――解決に向かっている途中の事柄がある。ステフォンは日曜夜からそこにいた。今朝も建物内にいた」と述べたという。

ディッグスは今週に行われる参加必須のミニキャンプにおいて、練習を欠席するごとに罰金が科される予定だ。

許可の有無を問わず、ミニキャンプへの参加を辞退する選手がいるのは特に珍しいことではないが、火曜日の練習を欠席するというディッグスの決断は、典型的な例には当てはまらない。ディッグスは総額9,600万ドル(約134億4,763万円)の契約延長の2年目を迎えているだけではなく、ビルズのナンバー1ワイドレシーバーであることも明確になっている。

それでは、なぜディッグスはミニキャンプに姿を現していないのか。

それに明確な答えはない。

ラポポートは火曜日に『NFL+』の“Inside Minicamps(インサイド・ミニキャンプ)”でディッグスの代理人との会話をもとに「解決に向かっている途中の、内部の事情があるようだ」と伝えている。「事態は解決するだろうと楽観視している様子だった。現在は詳細が明らかになっていない内部の問題が原因で、このような事態が発生しているようだ」

ラポポートはディッグスとビルズの問題は契約とは無関係のものであり、それはキャップスペースの余裕が600万ドル(約8億4,048万円)以下となっているビルズにとっては良いニュースだとつけ加えた。金銭面の問題ではないとすれば、あとはビルズがスーパーボウルに出場して勝利を収めるという目標を達成できていないことに注目するしかない。

非常に大きな役割を担っているディッグスには、成果をあげるという重大な責任があるが、ビルズがタイトルを獲得していないことを踏まえると、それはまだ不十分なのだろう。ディッグスはAFC(アメリカン・フットボール・カンファレンス)における他の強豪チームにビルズが勝てないことに対する不満を隠していない。過去3シーズンではカンザスシティ・チーフスとシンシナティ・ベンガルズがAFCチャンピオンシップを制しており、ビルズはこの3年で彼らに敗れたことにより、ポストシーズンで敗退している。スターレシーバーであるディッグスは、直近のポストシーズンでの敗北後にソーシャルメディア等で感情をあらわにし、敗れてから約2カ月後に出演した『HBO』の『The Shop(ザ・ショップ)』では、依然として動揺した様子で「意味が分からない。今もこの最悪なことに頭を悩まされそうだ」と話していた。

ディッグスの不満の原因についてはほとんど明らかにされてこなかったため、『Madden NFL 24(マッデンNFL24)』のカバーに起用されたスタークオーターバック(QB)ジョシュ・アレンが率い、今もなお高い期待が寄せられているビルズからディッグスが離れている理由については、推測するしかない。6月の行動を見る限り、ディッグスはビルズの進む方向に完全に賛同しているわけではないようだが、アレンは彼のことを擁護している。

『WIVB.com』のアダム・ゴースキによれば、アレンは火曜日に「内部では、フットボールには関係のない、あることに対処しているところだ。だけど、俺は仲間のステフのことがものすごく大好きだ」と語ったという。「今日、彼がここにいて、みんなと一緒にフィールドにいてくれたらよかったのに、とは思うけど、そういうことではないんだ。何があっても俺は彼の味方だし、何が起こっているのか、必ず解明できると信じている」

ディッグスがチームに加入して以来、ビルズのパスオフェンスは不釣り合いなほど彼に依存してきた。ナンバー2レシーバーであるゲイブ・デービスは2022年シーズンにキャリアハイとなる836レシーブヤードを記録したものの、ディッグスの貢献度は群を抜いていると言えよう。例えば、フリーエージェント(FA)のWRディアンドレ・ホプキンスの加入等で、ディッグスの負担が軽減される可能性はあるとはいえ、ホプキンスがビルズを訪問する予定は今のところない。

今オフシーズン、ビルズはディッグスのポジションに目立った補強をしていないが、2023年ドラフトではユタ大学のタイトエンド(TE)ダルトン・キンケイドを獲得することで、人員の柔軟性を高め、ディッグスを筆頭にデービスやTEドーソン・ノックスがいるグループにおける、もう1つのパスキャッチオプションを確保している。

ラポポートとペリセロが報じているように、両者は物事を解決しようとしているところだ。これは単なる一貫性の問題に過ぎないのかもしれない。しかし、現時点では注目に値することであり、問題が解決するまではそうであり続けるだろう。

【RA】