スーパーボウルでの敗北が現役続行の決断に影響したと認めるイーグルスCケルシー
2023年06月29日(木) 11:12痛恨の敗北をNFL最後の思い出とした状態でフットボール界から去るのか、それとも2023年に再挑戦するのか。フィラデルフィア・イーグルスのセンター(C)ジェイソン・ケルシーのオフシーズンは、そうした大きな決断を下すところから始まった。
ケルシーが後者を選んだのはすでに明らかになっている。常識的に考えれば、そのような重大な決断は心ではなく頭でするものだが、コンペティターであるケルシーがイーグルスへの復帰以外の選択を認めるはずがないことは、容易に察しがついた。
ケルシーは『Sports Take with Derrick Gunn & Rob Ellis(スポーツ・テイク・ウィズ・デリック・ガン&ロブ・エリス)』に出演した際に「(スーパーボウルでの勝利を)逃しても、それが要因にならないように努力することはできると思う。でもほら、そこに戻ってやり遂げたいというハングリー精神や願望があると、完全に新しいシーズンを迎えて、メンバーも新しくなって同じチームではなくなったとしても、どうしてもそれが要因になってしまうものだと思う」と話している。
2022年シーズンまで、ケルシーはスーパーボウルで優勝する感覚しか知らなかった。たとえ、自分が敗れた代わりに弟であるカンザスシティ・チーフスのタイトエンド(TE)トラビス・ケルシーが勝利を収めたことで、第57回スーパーボウルでの敗北に明るい兆しを見出すことができたとしても、昨シーズンは負けることのつらさをケルシーに思い知らせるものとなった。
イーグルスが第52回スーパーボウルで勝利を収めたときからずっとチームに残っている数名の選手の1人であるケルシーにとって、この数年間は信じられないほど激動の日々だったと言えよう。つまり、ケルシーはタイトルを獲得する喜びを知っていた一方で、その後に続く数年間では、1人の選手を引退に追いやるのに十分なほどのフラストレーションにも耐えていたのだ。
しかし、信じられないことに、イーグルスは急速に名声を取り戻し、2017年シーズン当時のように、ケルシーはその躍進に不可欠な役割を果たした。2021年には、ベテランのリーダーシップが切望されていたロッカールームで中核を担い、期待値が低かったにもかかわらず、チームのプレーオフ進出を後押ししている。また、その1年後には、引退しないことを決断した上で、イーグルスがスーパーボウルへ返り咲くのに貢献した。
今年もまた同じ決断を下したケルシーは、2023年シーズンに向けて準備を整えているところだ。フットボールで成功するために必要な仲間意識とチームワークが、ケルシーが復帰を決めた要因の1つになっている。
ケルシーは「それは元選手が口をそろえて一番恋しいと言っている側面だ」と説明し、こう続けた。「実際の試合じゃなくて、ロッカールームにいて、チームメイトと一緒にプレーすること。率直に言うと、自分のベストを尽くそうとする人たちの周りにいることなんだ。彼らは身を潜めてやり過ごすんじゃない。全員が一緒になって自分たちのやっていることで世界一になろうとしている――これはなかなか手に入れられないものだ」
「元選手と話している中で、俺はたぶんそれが一番恋しくなるんだろうなって思った。ほとんどの選手が恋しくなることなんだと思う。だからこそ、彼らはプレーできなくなるまでプレーし続けろって言うんじゃないかな。すでにその決断を下した彼らは、それが恋しくなることも、手放したくないと思うことも分かっているからね」
ケルシーとチームメイトの絆は絶えず明白なものとなっている。昨年、ケルシーがイーグルスのオフェンシブラインマン(OL)仲間であるオフェンシブタックル(OT)のレイン・ジョンソンやジョーダン・メイラタとともにレコーディングし、リリースしたクリスマス・アルバムを見れば一目瞭然だろう。ビジネスに集中し、最終的には別々の道を歩むチームメイトであれば、このような企画に協力することはないはずだ。
このような親密性はどのチームにとっても有益なものだ。スーパーボウルで勝つことはできなかったとはいえ、イーグルスは2022年にそれを証明している。
ケルシーは2023年シーズンにチームが仕事を成し遂げることを願っているはずだ。
【RA】