NFLオーナーたちがジョシュ・ハリス・グループへのコマンダース売却を承認
2023年07月21日(金) 09:51NFLが現地20日(木)、オーナーたちが全会一致でワシントン・コマンダースを前オーナーのダン・スナイダーとターニャ・スナイダー夫妻からジョシュ・ハリスが率いるパートナーシップに売却することを承認したと発表。
複数のプロスポーツチームを共同所有しているハリスは5月12日に、スナイダー家とリーグ史上最高額となる60億5,000万ドル(約8,461億8,325万円)の売買契約を締結していた。
NFLコミッショナーのロジャー・グッデルは木曜日に出した声明で「ジョシュ・ハリスと彼の素晴らしいパートナーたち、おめでとう」と述べている。「ジョシュはNFLにとって素晴らしい存在になるだろう。彼はビジネス、スポーツ、そして地域社会で目覚ましい実績を残している。ジョシュが取りまとめている多様なグループは、優れたビジネスセンスとワシントンとの強い結びつきを持っており、私たちも彼らをNFLに歓迎している」
「ジョシュとは数年前、彼が(ピッツバーグ)スティーラーズの権益を手に入れる前に知り合い、幸いなことにここ数カ月でより親しくなることができた。彼がフィールドでの勝利だけではなく、誰もが誇りに思うような組織の運営、そして地域社会での積極的な貢献にもコミットしていることは知っている」
木曜日に臨んだ記者会見で、“生涯のワシントン・フットボール・ファンとして”、フランチャイズを率い、フィールド内外で変化をもたらす機会に興奮していると明かしたハリスは、次のようにコメントしている。
「このフランチャイズは私の一部であり、私がこういう人間になった一つの要素でもある。だが、いちファンであるだけでは満足できない。成功するためには、チャンピオンシップを制し、地域社会に良い影響を与え、ワシントンで育った私が青春時代に味わったような素晴らしい思い出と経験をファンベースに提供する必要があることを理解している」
「私たちのチームとワシントンの素晴らしいファンの皆さん、ワシントン・フットボールの新時代が到来した。仕事に取りかかる時がきた」
この契約はリーグの32名のオーナーのうち4分の3(24名)以上の賛成票を得てNFLに承認されることが条件となっていた。当初は5月にミネソタで開催された春季リーグミーティングでオーナーによる投票が行われると考えられていたが、この売却が複雑な性質であったことから、リーグの財務委員会が契約書にサインし、特別リーグミーティングの日程を調整するのには予想以上に時間がかかったようだ。
リーグは木曜日に元連邦検事メアリー・ジョー・ホワイトが主導した調査結果も発表。ホワイトはコマンダースの元職員が提起した、スナイダーとチームが職場での不適切な行為および違法な財務行為におよんだとする疑惑について調査を実施していた。この調査は、元チーム職員が申し立てたスナイダーによるセクシャル・ハラスメントと、元コマンダース幹部が申し立てたチームによる“意図的なNFL収入の過少申告”を立証するものとなっている。
グッデルは木曜日の声明で「ホワイトさんの調査結果で立証された行為は、NFLにはふさわしくない」と述べた。「私たちは安全で、尊敬に満ちた、プロフェッショナルな職場を目指して努力している。ジョンストンさんが経験したことは不適切であり、NFLの価値観に反することだ」
リーグはホワイトの調査結果を受け、未解決のすべての問題を解消するために、スナイダーに6,000万ドル(約83億9,190万円)の罰金を科した。スナイダーはファンのシーズンチケットのデポジットをめぐるメリーランド州およびコロンビア特別区との訴訟でも和解したばかりだ。
2022年2月、NFLはスナイダーが元チーム職員から議会の円卓会議で性的不品行を受けたと申し立てられたことを受けて、ホワイトを調査責任者として採用。それ以前に調査を担当していたベス・ウィルキンソン弁護士の事務所は2021年7月に、ワシントンの職場文化が長年にわたって有害なものであったと指摘。ウィルキンソン弁護士の調査の結果として、スナイダーとチームには1,000万ドル(約13億9,865万円)の罰金が科され、リーグはスナイダーが日常業務を妻のターニャに引き継いだと発表した。ウィルキンソン弁護士主導で行われた調査に関する報告書は公表されていない。
スナイダーがオーナーを務めた24シーズンで、コマンダースは164勝220敗2分という成績を残し、プレーオフに6回進出している。ワシントンが最後にプレーオフに進出したのは2020年レギュラーシーズンの後であり、最後にプレーオフで勝利を収めたのは2005年シーズンのことだった。
【RA】