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WRパトリックとハムラーを失いつつも明るい兆しを探し求めるブロンコスHCペイトン

2023年08月02日(水) 11:41


デンバー・ブロンコスのショーン・ペイトンHC【AP Photo/David Zalubowski】


1年前のデンバーには楽観論があふれていた。その頃、ブロンコスのラッセル・ウィルソンはレシーバー陣に恵まれたチームの新しいスタークオーターバック(QB)だった。

ところが、ワイドレシーバー(WR)のティム・パトリックに続いてオフェンスの選手たちが次々と負傷したことで、その楽観論は瞬く間に崩れ去った。それから1年が過ぎ、ブロンコスはまたしても同じように不本意な状況に直面している。

パトリックは現地31日(月)の練習でアキレス腱を断裂し、2023年シーズンは絶望的となった。2021年の終盤に3年の延長契約を結んだ彼は、2年連続で全試合を棒に振ることになる。離脱するのはパトリックだけではない。同じ日にWRのK.J.ハムラーが心膜炎だと診断されたことを明かしており、『NFL Network(NFLネットワーク)』のマイク・ガラフォロによれば、これを受けてブロンコスはハムラーを非フットボール故障者に指定した上でウェイバーにかけることになったが、体調が万全になり次第、チームに戻すことを想定しているという。

火曜日にヘッドコーチ(HC)のショーン・ペイトンはパトリックについて次のように話している。

「昨晩に彼と話した。当然のことながら、落ち込んでいる。私の理解では、前回のケガはちょうど1年前だった。昨日も言ったが、最も心苦しいのは、オフシーズンの大半をリハビリに費やしてきた選手が、突如としてまた別のケガに見舞われることだ。昨日は少し元気を取り戻したようだった。彼は精神的にタフで、素晴らしいリーダーだ。朗報なのは、100%回復する可能性が高いケガだということ。他の種類のケガに比べて手術によってきれいに治る可能性が高い。手術がいつになるかはまだ分からないが、今はそういう状況だ」

ペイトンHCはハムラーの状況にも明るい兆しを見いだそうとしたが、特殊な状況であることは認めた。

「彼の状況は特殊だ。じっくりと話し合った。彼の場合、前向きな知らせとしては、予想やタイムラインを提示するつもりはないが、およそ1カ月という感触だ。フットボールがプレーできるコンディションになるまではそこから数週間はかかるだろう。症状が和らいで医師の許可が下りれば、選択肢が広がると期待している。だから、われわれは彼と彼の代理人とじっくりと時間をかけて最善のプランを考えた」

ハムラーの心臓病は、トレーニングキャンプの前に行ったワークアウト中に胸の痛みを感じたことがきっかけで医師によって発見された。そのため、当面のスケジュールは不透明な部分が大きい。ブロンコスは平均的なファンよりもハムラーの先行きに自信を持っているようだが、いずれにしても彼の欠場が悔やまれることには変わりない。

「誰もが長い欠場やリハビリに備える時、トンネルの先には光があると言ってもらいたいものだ」とペイトンHCはコメントし、こう続けた。

「彼らにとって、それを私やジェネラルマネジャー(GM)のジョージ・ペイトンの口から聞かされることが大事だと思っている。それがK.J.とミーティングをした目的でもあり、彼もうまく対応してくれた。もちろん残念ではあるが、彼の状況を考えれば、ケガというよりは症状の問題だろう。彼にとっても、これまでに経験したことのない初めての状況だ。だから特殊なんだ。ただ、いいニュースとしては、今から1カ月半ほどすれば彼の体調次第では、その選択が彼にとってもわれわれにとっても有利に働く可能性があると感じている」

一方、パトリックのケガは不運だったとしか言いようがない。ドラフト外のフリーエージェント(FA)として入団したパトリックは練習生を経て、ここ数年でブロンコスのオフェンスの中で重要な役割を担うまでに成長。延長契約にふさわしい選手となった。2022年シーズンを前に、パトリックはようやく自信を持てるクオーターバックを得たブロンコスのオフェンスにさらに大きく貢献することを期待されていた。ところが、彼は遠くから見守ることしかできず、2023年も同じ状況に置かれることになる。

パトリックの不運はブロンコスのチームメイトも痛感している。

WRコートランド・サットンは『Inside Training Camp Live(インサイド・トレーニングキャンプ・ライブ)』で『NFLネットワーク』のジェームズ・パーマーにこう語った。

「去年と同じ会話をしなきゃならないなんて最悪だ。ティムの代わりはいない。彼がどういう選手かはみんな知っている。選手としての彼は動画でも見ることができるし、ファンもフィールドに立つ彼の姿を見ることができる。だけど、人としての彼の代わりはいない。2年続けてこういう状況になるなんてあんまりだ。ケガから復帰したのに、その1年後にまたケガをした選手はそういないだろう」

「俺たちにできることは、彼のそばにいて励まし、元気づけることだけだ。もしこれを見ているなら、俺がどれだけお前のことを好きかは分かるよな? お前は俺の相棒だ。彼を知っている人で、まだ連絡を取っていない人は彼に連絡してみてほしい。彼に愛と応援の言葉を贈ってくれ。一人で戦っているんじゃないということを伝えてほしい。とにかく、人として彼の代わりはいなくて、いいヤツなんだ。フィールドに彼がいなくなるのは寂しい。今シーズンの残りの期間は彼を支え、常に俺たちの思いと祈りの中にいる。俺たちがフィールドに立つ日は、いつだって彼も一緒だという気持ちでプレーする」

この現実に対するせめてもの救いは、ブロンコスにとって初めての状況ではないということだろう。彼らは2022年に必要な時に臨機応変に対応する方法を学び、2023年にもそれを実践しなければならない。今回はペイトンHCが嵐の中で彼らを導くことになる。1年前よりうまくやれるかどうかは要注目だ。

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