厳しい態度によってコマンダースに調整を求めていたことを認めたビエネミーOC
2023年08月09日(水) 13:24ワシントン・コマンダースの攻撃コーディネーター(OC)に就任したエリック・ビエネミーは、初年度にチームの選手たちに調整を強いている。
カンザスシティ・チーフスではアンディ・リードHC(ヘッドコーチ)の影に隠れていたビエネミーにとって、今季は自身の実力を証明する最初の機会となっており、彼の熱意はその厳しさに表れている。コマンダースのロン・リベラHCによれば、それを快く思っていない選手もいるとのこと。
現地8日(火)、選手たちはビエネミーのコーチングスタイルに適応するのに苦労しているのかと質問されたリベラは「ああ、そうだな」と答えている。「最も重要なことの1つは――何人もの選手が私のところに来るが、私は“彼と話してこい”と言っているということ。“彼が君に何を伝えようとしているのかを理解しろ”とね。彼の元へ行き、話してその言葉に耳を傾けることで、多くの選手が啓発されていると思う」
「つまり、まったく違うアプローチなのだ。繰り返しになるが、特にカレッジフットボール界の状況を鑑みると、昔の選手とは違うタイプの選手が集まってきている。だから、若手選手の多くは、自分たちが置かれていた環境から生じる、ある種の苦悩と戦っている。つまり、あるプログラム出身の選手はそれに慣れている。他のプログラム出身の選手は、それほど慣れていない。つまり、私たちはコーチとして、みんなを理解して感覚をつかむ必要がある。エリックにはエリックのやり方があるし、彼はそれを信じているから、やり方が変わることはないだろう」
スタッフが変われば過去と現在で違いが生じ、選手はそれに適応しなければならなくなるものだ。コーチは中央から配属されるわけではなく、それぞれが経験や教訓に満ちた独自の道を歩んでいる。そして、それはしばしばコーチ自身のスタイルに表れるものだ。リベラが言及したビエネミーのそれは、何十年もフットボール界で過ごしてきたことに起因している。ビエネミーはコロラド大学でスターランニングバック(RB)として活躍した後にNFLで9シーズンにわたってプレーし、その後も23年間、カレッジとNFLで指導経験を積んできた。
ビエネミーは選手として、また若手のアシスタントとして、フットボールの異なる時代に適応してきた。何十年もフットボール界に携わっているのだ。彼のスタイルが今の選手たちと難なくかみ合うことはないだろうが、ビエネミーがかつて指導していたスターパスキャッチャーの1人がソーシャルメディアでいち早く指摘したように、彼の指導に従う価値はある。
以前チーフスに所属しており、現在はマイアミ・ドルフィンズでプレーしているワイドレシーバー(WR)タイリーク・ヒルは火曜日に「EBのように背中を押してくれるコーチは他にいない!! そのコーチングを受けて良くなるんだ。みんな経験したことだ。きついけど、必ず成長につながると約束する」と投稿した。
自分に対する不満を耳にしてきたビエネミーは、頑なにそれを無視しているわけではないものの、達成すべき仕事があるのに休んだりおしゃべりしたりして過ごすようなコーチに変わるつもりはないようだ。結局のところ、コマンダースは昨季の攻撃ランキングで後半につけていたところから脱却しようとしているチームなのだ。
ビエネミーは火曜日に「まず、私はざっくばらんな人間で、常に選手たちを招き入れているが、このプロセスを通してそうであったように、私は厳しい人間でもある」と認めている。「彼らが評価していることのひとつは、私は常に率直であり、常に正直であるということだ」
「最初にここに来たときに言ったように、快適な状態になるためには、不快にならなければならない。新しい要求や期待もあるだろう。私は私たちが本来あるべきチームになることを期待している。それは簡単なことではないし、誰もがそのプロセスを好きになるわけではないだろう。だが、結局のところ、私の仕事は自分たちが正しい方法でやっていることを確認することだ」
「それをする方法はある。今、彼らはそれを理解しているだろうか? ああ、なぜなら結果を見ているからだ。みんなが納得してくれるだろうか? そうだと信じている。だが、もしそうならなくても問題ない。なぜだと思う? 私の第一の仕事は、彼らを次のレベルに引き上げる手助けをすることだからで、私にはそれが見えているからだ。春にスタートしたところから今に至るまでを考えると、私たちは大きく前進しているからね。私は彼らを誇りに思っている。下品な言い方で申し訳ないが、見ていて[卑語省略]良いところもあった」
ワシントンには効果的なオフェンスになるための人材がそろっている。
その多くはキャリア2年目のクオーターバック(QB)サム・ハウエルの能力にかかっているが、コマンダースはベテランQBジャコビー・ブリセットを加えたバックアップ計画も用意している。誰が司令塔を務めるかに関係なく、このグループにはWRテリー・マクローリンやWRカーティス・サミュエル、WRジャハン・ドットソン、RBブライアン・ロビンソンJr.など、成功を収めるのに十分な武器がそろっていると言えよう。
ビエネミーには、自分の仕事をきちんと遂行しているという自信を持ち続ける理由がある。ビエネミー側に調整の余地があったとしても、過去にそのスタイルが他で成功していなければ、彼がこの機会を得ることはなかったはずだ。その証拠は彼がすでに出してきた結果の中にある。
特に、リベラが職を維持するために成功しなければならないシーズンにおいて、現在はビエネミーが学んできたことをオフェンス面で後押しが必要なチームで実践することが大事だ。
ビエネミーは「グループの中で、私はいつも変わらないつもりだ」と述べている。「私は常に、大きな声ではっきりと発言していく。常に指導者に要求するつもりだ。でも、それに加えて、ボディランゲージ、ハドルでの姿勢、スクリメージラインへの向かい方、自分の見せ方など、すべてを見ている。ディフェンスにメッセージを送らなければならないから、そういったことは重要だ。だから、私たちが何事に対しても当たり前だと思っていないということを、みんなにははっきりと理解してもらいたい」
ビエネミーのやり方がうまくいけば、キャンプでの苦労が報われるだろう。ビエネミーは間違いなくそうだと信じている。たとえ、教え子たちからの否定的な意見をすでに耳にしなければならなかったとしても。
「エリック・ビエネミーはそういう人間だ。エリック・ビエネミーは適応と調整の方法を心得ている」と語ったビエネミーは次のように続けた。「エリック・ビエネミーはタフで強気なコーチだ。しかし、私は彼らの最大かつ最も厳しい批評家になるつもりだが、それと同時に彼らの1番のファンでもある。彼らの背中を押してきたし、いつでも彼らをサポートするつもりだからね」
【RA】