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QBロジャースのシーズン終了を受け、外部の声に反論するジェッツHCサラー

2023年09月13日(水) 14:21


ニューヨーク・ジェッツのロバート・サラーHC【Aaron M. Sprecher via AP】

クオーターバック(QB)アーロン・ロジャースをシーズン終了のアキレス腱断裂で失ったことが、劇的な逆転勝利に影を落としてからまだ1日しかたっていないが、ニューヨーク・ジェッツのヘッドコーチ(HC)ロバート・サラーは聞く者すべてに力強いメッセージを発している。

ジェッツの2023年シーズンは終わったわけではない。彼らはザック・ウィルソンを先発クオーターバックとし、大きな期待を背負いながら前に進むのだ。

現地12日(火)、サラーHCは記者会見で「なぜみんながうちのチーム名に“訃報”とつけようとするのか分からない」と述べている。

「アーロンは全体にとって信じられないほど素晴らしい存在で、私たちは彼を愛しているが、ロッカールームには52人、練習生も16人いて、彼らはここで素晴らしいことをたくさんできると信じていると思う」

「私たちはチャンピオンシップを狙えるディフェンスを擁し、オフェンスにも素晴らしいスキルを持った選手を抱えていて、うちの(オフェンシブ)ラインは打ち解け、より良くなり続けている。私たちは自分たちのグループにワクワクしている」

「外部が何と言おうと、どんな物語を書こうと勝手だが、ここでは今も真実の物語がつづられている」

外部の人間はジェッツを亡きものとするかもしれないが、サラーHCはチームとそのファンに自信を植え付けようと全力を尽くしている。

その第一歩となったのは、厳しく批判されていた元ドラフト全体2位指名選手のウィルソンが今後の試合で先発を務めるという、確固たる自信に満ちた表明だった。ウィルソンは次の日曜日に組まれたダラス・カウボーイズ戦で、昨シーズン第16週以来の先発を務める。ウィルソンはその試合で、負傷したマイク・ホワイトの代わりに先発の座に返り咲いていた。サラーHCによると、ジェッツはティム・ボイルをデプスチャート上で2番手とし、QBルームにもう1人選手を加える可能性もあるが、再びジェッツの紛れもないスターターになるのはウィルソンだという。

「いろいろと検討するつもりだが、これははっきりさせておきたい。ザックがうちのクオーターバックだ」と強調したサラーHCはこう続けている。

「私たちはザックをとても信頼しているし、彼のチャンスに本当にエキサイトしている。一方、私たちはザックと一緒に取り組んでいて、彼を思ってワクワクしている。すでに言ったように、彼が手にするこのチャンスにね」

この2シーズン、とりわけ2022年におけるウィルソンの不振が、ジェッツがオフシーズンにロジャースをトレードで獲得するきっかけとなっている。ロジャースのルネッサンスは月曜夜にニューヨークで約1分だけ続いた。ジェッツの一員として臨んだ4回目のスナップで、バッファロー・ビルズのディフェンシブエンド(DE)レナード・フロイドにサックされたロジャースは、カートに乗せられてフィールドを離れ、ロッカールームへと向かっている。そのとき、ジェッツのよく練られた設計図はガラクタと化してしまった。

延長戦でワイドレシーバー(WR)ゼイビア・ギプソンが65ヤードのパントリターンタッチダウンを決めるというセンセーショナルな活躍をしたおかげで勝利した後、サラーHCはロジャースがアキレス腱を負傷し、彼のシーズンが本当の意味で始まる前に終わった可能性が高いと報道陣に話していた。そのときすでにウィルソンへの自信を強調していたサラーHCは、火曜日にさらに力強くそれを主張している。

サラーHCはウィルソンについて「メンタル面で言うと、彼は1年前の今頃とはだいぶ異なっている」とコメント。「素晴らしい心構えで、フットボールというゲームや自分が経験しているプロセスを愛し、大きな自信を持っている。カレッジ時代に見られ、1年前に苦戦した小さなことは、今はもうない。彼は多くの問題を解決した。多くのね。だから、私たちは彼にとても期待している」

やや驚くべきことに、サラーHCは昨シーズンのある時点でウィルソンが先発として5勝1敗という成績をもたらしたことを指摘した。

一般的な考えでは、センセーショナルなディフェンスに支えられているジェッツは、ウィルソンの力で勝っているというよりも、ウィルソンが司令塔であるにもかかわらず勝っているのだと見られている。そのことが再認識されたのは、ブリガムヤング大学(BYU)出身のウィルソンがリリーフとして登場したビルズ戦だった。ウィルソンはこの試合でパス21回中14回を成功させて140ヤード、タッチダウン1回、インターセプト1回、パサーレーティング81.4を記録。そのタッチダウンはウィルソンが的外れなパスを投じたにもかかわらず、WRギャレット・ウィルソンがインターセプトの可能性を断ち切り、史上まれに見る素晴らしいタッチダウンキャッチを決めたことによるものだった。

「もちろん、(ザック・ウィルソンは)自分にまだ学ぶべき点、成長すべき点がたくさんあると認めるだろう。私たちは彼と一緒にそれができることを楽しみにしている」とサラーHCは語っている。

「彼はチームメイトとの信頼関係を再構築できたと思うし、全体的に――単純に自分自身の扱い方も素晴らしかったと思うが、彼はあらゆる面において1年前とは大きく異なっている。誰もが予想していたよりも早く起きたことなのか? もちろん、この状況ではね。だが、彼は1年前と比べて劇的な成長を遂げた」

その後、サラーHCはウィルソンがチームメイトとともに信頼関係を構築するだけではなく、自信も深めていると思っていることを明らかにした。昨シーズン、ウィルソンの成熟度はかなり疑問視されていた。もしかするとそれは改善されたのかもしれない。それもじきに分かるだろう。

ロジャースにすべてを賭けていたジェッツは、想像を絶する状況に直面している。とはいえ、それはゲームの片面だけだ。

サラーHCが率いるスターぞろいのディフェンスは健在だ。また、ACL(前十字靭帯/ぜんじゅうじじんたい)断裂からの復帰後、月曜日に初めて試合に臨んだランニングバック(RB)ブリース・ホールも素晴らしいパフォーマンスを見せ、ギャレット・ウィルソンはNFL屈指の若手ワイドレシーバーであることを示す機会を得た。

2016年シーズン以降に一度も勝ち越していないジェッツは、2011年を最後にポストシーズンに進出していない。ロジャースがいてもいなくても、そうした流れに終止符を打つことが目下の目標であることに変わりはないだろう。

「自分たちへの期待はいつも同じだ」と言うサラーHCは次のように続けている。

「前にも言ったが、NFLではエクスパンションチームであっても17勝0敗を期待される。期待値と、コントロールできる可能性の戦いさ。私たちは決して期待を口にしない。なぜなら、自分たちに期待しているのは毎日ベストを尽くして、自分たちの力を最大限に発揮し、起きたときよりもいい状態で眠りにつくことだけだからだ」

「外部や記事で書かれる内容は変わるかもしれないが、私たちがここで期待しているのは自分たちにベストを尽くす機会を与え続けることだ」

火曜日にサラーHCに投げかけられた最後の質問は、ジェッツファンにどのようなメッセージを伝えるかと言うものだった。それに対してサラーHCは「私たちはダラスに向かう」とだけ答えている。

【RA】