ランニングバック（RB）キャム・エイカーズの波乱に満ちたロサンゼルス・ラムズ時代はフィナーレを迎えようとしているようだ。

現地18日（月）、ロサンゼルス・ラムズがエイカーズに関するトレード交渉に乗り出していると『NFL Network（NFLネットワーク）』のイアン・ラポポートが報じている。それはエイカーズが、シーズン第2週に敗れたサンフランシスコ・49ers戦でヘルシースクラッチ（ロースター登録55名には含まれているものの、負傷など健康状態に問題がないにもかかわらず、試合にアクティブ登録される48名もしくは47名には含まれない選手）として過ごしてから24時間以内に出た報道だった。

その後、ヘッドコーチ（HC）ショーン・マクベイは月曜午後に行われた記者会見で、トレード交渉を行なっていることを正式に認めており、ジェネラルマネジャー（GM）レス・スニードが複数のチームと話し合ってきたと明かした上で、エイカーズのトレードはラムズが進んでいる“方向”だと述べた。

ラポポートはこの1週間の練習がエイカーズにとって困難なものだったと表現している。それを経て、エイカーズは試合に向けてインアクティブとされており、ラムズでの立場が不透明になった。今回の試合でエイカーズの代わりに先発を務めたカイレン・ウィリアムズが、今後もその役割を担うことになるだろう。

マクベイHCは日曜日の試合後に「コーチの決断で、それがこのフットボールチームにとって最善だと感じた」と述べている。「カイレンは最高のチャンスを与えてくれたし、ロニー（リバース）とロイス（フリーマン）に出てもらうのがいいと思った。つまり、それは私が下した決断だった」

エイカーズが2022年シーズンを見事に締めくくった――最後の3試合でそれぞれ100ランヤードを突破した――のを見て、2023年に順調なスタートを切ることを期待していた人々にとっては、残念な展開だと言えよう。ラムズファンは最初から飛躍的な活躍を果たすエイカーズを見る代わりに、シアトル・シーホークスに勝利したシーズン初戦でキャリー平均1.3ヤードしか稼げず、シーズン第2週には欠場を余儀なくされるエイカーズを目の当たりにした。

確かに、ウィリアムズはシーズン第1週でより良いパフォーマンスを見せていた。また、ラムズが驚くべき勝利を収めたシーズン初戦で2回のタッチダウンを決めた後、ウィリアムズはマクベイHCのお気に入りとなったようだ。バックフィールドにコミッティー制を取り入れるのが大流行しているリーグにおいて、好みは問題にならないはずだが、どうやらウィリアムズの活躍はマクベイHCが日曜日にエイカーズをインアクティブにするほどのインパクトがあったらしい。

エイカーズが欠場する中、ウィリアムズは日曜日の試合でも同じように生産性の高さを発揮したが、キャリー14回で52ヤード、タッチダウン1回と、圧倒的に好調だったわけではなかった。シーズン第2週にラッシングを試みたランニングバックはウィリアムズだけとなっている。

マクベイHCは日曜日に「違うんだ。どちらかと言えば、常にこのフットボールチームにとって最善の決断を下そうとしているという話だ」とコメント。

「私はキャム・エイカーズを心から尊敬しているが、今日のフットボールチームにとって、そしてこの試合において、そして今後前進していく上で、それが自分たちにとって最善の決断だと感じた」

心理学の博士号を持っていなくても、この行間を読むことはできる。つまり、エイカーズはラムズ攻撃陣における自分の役割に不満を抱いており、マクベイHCがそれに応じる気はないということだ。

エイカーズは2022年にも同様の不満を募らせ、トレード期限までにトレードされることを期待して数週間、チームから離れていた。それが実現しなかったとき、エイカーズとラムズは再び協力する道を見いだし、その結果としてエイカーズはキャリア史上最高の試合をいくつか経験している。

しかし今回、マクベイHCはエイカーズの不満に根気よく対応していないようだ。

「今後、それがどのようなものかを見る機会はあると思うが、行ったり来たりすることにはならないだろう」と強調したマクベイHCは「私は彼と素晴らしい会話をしたし、この数日で何が起こるかはそのうち分かるはず」と続けている。

2週間を通して、2023年のラムズは興味深い集団であることを証明し続けている。ラムズが再び優勝争いに加わることは期待されていなかった。マクベイHCはもはや即座に成功を収めなければならないという重圧に縛られることのない、新たな環境でチームを指揮しており、その結果はマクベイHCがスター選手の力を意識することなく運営することを示唆している。

クーパー・カップが故障者リザーブ（IR）に置かれていることから、現在はプカ・ナクアとトゥトゥ・アトウェルがワイドレシーバー（WR）陣をけん引している。前者は2試合を通じてチーム最多のキャッチ25回、266ヤードを記録。後者は2021年にチームがドラフト2巡目指名で獲得した成果をようやく出し始めている。

マクベイHCにはスター選手を満足させ続ける必要がない。最良のオプションだと思う選手と共に、自由に勝利を目指せるのだ。今のところ、そのオプションはウィリアムズとなっている。エイカーズがトレードを通じて別の場所でより良い機会を見つけることになるのか、それとも2年連続でラムズと再び和解することになるのかは分からない。

マクベイHCの“数日後”という発言を踏まえると、今回は共通点を見出すために残された時間がそれほど多くないということなのだろう。

【RA】