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「今までのどの試合とも比べられない」と70得点の試合を振り返るドルフィンズQBタゴヴァイロア

2023年09月25日(月) 10:24


マイアミ・ドルフィンズのトゥア・タゴヴァイロア【Kelly Gavin/Miami Dolphins via AP】

いつも通りの晴天に恵まれるサウスビーチで、マイアミ・ドルフィンズの攻撃陣が歴史的な大爆発を見せた。

目を見張るようなランニングバック(RB)デボン・エイチェーンのタッチダウンと、キッカー(K)ジェイソン・サンダースのエキストラポイントの連続で、ドルフィンズはNFLのレギュラーシーズンで1試合70得点以上を獲得した3番目のチームとなり、狼狽したデンバー・ブロンコスを70対20で破った。

4つのタッチダウンパスを成功させ、ここまでの3試合で計8回のタッチダウンパスを記録しているドルフィンズのクオーターバック(QB)トゥア・タゴヴァイロアは「今日の試合は今まで俺が見た試合、プレーしていたどの試合とも比べられないよ。チームの強さを物語っているね。ハーフタイムに入るときには大きくリードしていたけど、みんなを誇りに思っていたし、後半も同じようにプレーを続けてくれた。誰もアクセルを緩めなかった。全員がプレーを続け、それがこの結果につながったんだ」と話した。

その結果、ドルフィンズ(今シーズン3勝0敗)の70得点という結果は、1950年のロサンゼルス・ラムズと並び、1966年のワシントンが記録した72点に次ぎ、レギュラーシーズンの試合で2番目に多い得点数となった。

ドルフィンズは試合時間残り33秒でNFL史上最多の73点を獲得する44ヤードのフィールドゴール(FG)を狙える位置にいた。しかし、ヘッドコーチ(HC)のマイク・マクダニエルはバックアップのQBマイク・ホワイトに膝をつかせ、試合終了を待った。

マクダニエルHCは記録達成を見送ったことを後悔していない。

マクダニエルHCは試合後、記者陣に対し「NFLの記録に挑まなかったことを、後から批判されても構わない。それでいい。私はこの決断に自信を持っている。チームも、特に中心的な選手たちもそれを支持してくれたと思う」と語った。

その中心的な選手の1人がタゴヴァイロアで、彼はHCの決断を力強く支持した。

タゴヴァイロアは新記録を樹立したい気持ちはなかったのかという質問に「ない、ないよ。他のリーグでも、このNFLのリーグでも、リスペクトが大事だと思うんだ。フィールドに出たら、チームの指示を聞いてその決断を尊重するし、俺たちも尊重される。フィールドに出てチームの指示を聞かないようなことはないよ」とコメントした。

マクダニエルHCにとって、レギュラーシーズン記録を樹立することは目標のリストにはない。簡単に言えば、それが彼の目的ではないのだ。

マクダニエルHCは「私は自分の決断のすべてについてよく考え、その決断が持っている重要性を意識するように心がけている。得点を重ねて、記録を達成するようなことは、われわれが試合でしたいことではない。それはシーズン全体の結果には関係ないんだ。今回と同じような状況が10回あったら、私はそのうち10回ニーダウンを選択する。達成可能な記録があったということはクールなことだったけれど、私が思っていたことは、私が物事をどう見ているかということとは一致しないんだ」と話した。

「1966年シーズン以降、最多得点だったと思う。すごいことだと思うよ。レギュラーシーズン新記録については、その記録を保持していても、昨年と同じ運命をたどることもある。レギュラーシーズンの記録なんてどうでもいいんだ。確かに、矛盾することかもしれないが、フィールドゴールチームを送り込んで3点を追加しようとすることは素晴らしいことだと思う。ただ、それは私の本意ではない」

ドルフィンズは1年前、タゴヴァイロアが脳しんとうで欠場し、ワイルドカードでバッファロー・ビルズに敗れた。そのため、マクダニエルHCは、できることなら少しでも幸運を積み重ねたいと願っている。

ドルフィンズ2年目のマクダニエルHCは「もし逆の立場だったら、対戦相手も同じように思ってくれることを願うよ。それがカルマというものだ。マイアミ・ドルフィンズに良いカルマを残すようにするんだ」と語った。

日曜日の打撃戦の相手はショーン・ペイトンHCと0勝3敗のブロンコスだった。

ペイトンHCはブロンコスで1年目のシーズンに挑んでいるが、ヘッドコーチとしては16年目で、1997年シーズンに初めてNFLのコーチの仕事を引き受けた。30年近い経験があるにもかかわらず、自らが目にしたものに驚いた様子だ。

ペイトンHCは『The Athletic(ジ・アスレチック)』のニック・コスマイダーに対し、「言葉を失った。NFLではたまに、こてんぱんにやられることがあるが、今日の試合はそういうレベルではなかった」と話した。

試合開始時点から両チームの差を感じられたシーンとして、3プレー目でタゴヴァイロアがWRタイリーク・ヒルに54ヤードのタッチダウンを通したことが挙げられる。ドルフィンズは最初のポゼッション6回のうち5回でタッチダウンを決め、一歩も引かなかった。

チームの70得点は目を見張る成果だったが、ドルフィンズの個々の選手のスタッツの素晴らしさも充実したものだった。

● QBタゴヴァイロア:パス26回中23回成功、309ヤード獲得、タッチダウン4回、パサーレーティング155.8
● QBホワイト:パス2回中2回成功、67ヤード獲得、タッチダウン1回、パサーレーティング158.3
● RBエイチェーン:キャリー18回、203ヤード獲得(キャリー1回平均11.3ヤード)、NFLでの2試合目にしてタッチダウン4回
● RBラヒーム・モスタート:タッチダウン3回、キャリー13回、82ヤード獲得、レシーブでのタッチダウン1回
● WRヒル:キャッチ9回、157ヤード獲得、タッチダウン1回

ドルフィンズがブロンコスを破ったとき、彼らの攻撃陣は726ヤードを積み上げ、プレー71回で平均10.2ヤードという天文学的な数字を記録していた。『NFL Research(NFLリサーチ)』によると、1試合でパス350ヤード以上、ラッシング350ヤード以上を記録したのは今回のドルフィンズがNFL史上初だという。

「70点はクレイジーだ。ビデオゲームみたいだね」とコメントしたのはエイチェーンだ。

ドルフィンズは3勝0敗と好調で、良いカルマも味方しているようだ。NFLトップの攻撃陣を誇り、サウスビーチは今日も晴れやかだ。

【AK】