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14連敗を脱したベアーズQBフィールズ、「すべての人々を誇りに思う」

2023年10月06日(金) 23:33

シカゴ・ベアーズのジャスティン・フィールズ【AP Photo/Alex Brandon】

ついに、幸いにも、そしてシカゴの人々にとってありがたいことに、シカゴ・ベアーズの104シーズンにわたる歴史で最長の連敗が現地5日(木)夜に止まった。

フィールドの内外で論争に満ちたシーズンにあって、ベアーズはワシントン・コマンダースを40対20で下し、ようやく祝う理由を見つけることができた。その大部分はクオーターバック(QB)ジャスティン・フィールズの右腕と、ワイドレシーバー(WR)D.J.ムーアの優れたキャッチのおかげだ。

この夜に282パスヤードと4つのタッチダウントス(うち3回はムーアへのもの)を投げる大活躍を見せたフィールズにとっては、誇りと安堵(あんど)で終わった試合だった。

2022年10月24日(月)のニューイングランド・ペイトリオッツ戦以来初となった勝利後に、フィールズは「いい気分。いい気分だったよ」と記者団に打ち明けている。

前回の勝利から、ほぼ350日が経過していた。

「すべてのハードワークが実を結んだんだ。今年はいろいろあったけど、ようやく勝てた。メディアであれこれ書かれ、外部でいろいろ騒がれた。ようやくハードワークが報われたって言えるのはすごくいい気分だよ。建物の中にいるすべての人々を誇りに思う。チームのみんなが大好きだ。選手、コーチ、上にいる人たちみんな。名前も知らない人たちだっているだろうけど、みんなのことが大好きだ。こういう気分は前にも言ったけど、いつまでも終わってほしくない。俺たちはこの勢いを保って来週のバイキングス戦に備えなきゃならないんだ」

苦しいシーズンの中でフィールズとベアーズはシーズン第4週に31対28でデンバー・ブロンコスに敗れていた。それまでのどの試合よりも勝利に近づいてはいたが、第3クオーターであった21点のリードを無駄にしてしまい、さぞ意気消沈したに違いない。そのため、27対3の有利な状況でハーフタイムを迎え、第4クオーターで30対20という危ういリードになった時も、保証はどこにもなかった。

しかしそれもフィールズとムーアの連携で再び56ヤードの得点が決まるまではのことだ。フィールズ(とシカゴ全域)が安堵した瞬間だった。

「それはもちろんホッとしたよ」とフィールズは言う。前半はすべてのドライブで得点を挙げていたにもかかわらず、後半はフィールドゴール止まりになっていた。

「リセットする必要があったんだ。もちろん、あのドライブはフォルススタートがあって、みんなどこか落ち着きがなかった。俺は彼らに近づいていって、“落ち着こう。俺たちは最高のポジションにいる。ディフェンスは自分たちの仕事をしてくれるはずだ”って言ったんだ。その通りだったよ。ストップがあって、それからD.J.があのキャッチ・アンド・ランを決めた時には試合はほとんど終わっていた。ものすごいプレーさ。最高のキャッチだった。前線のプロテクションも素晴らしかったし、作戦が成功した」

ベアーズ関係者で勝利のロッカールームに向かう際、ヘッドコーチ(HC)マット・エバーフラスほど胸をなで下ろしていた人物は他にいないだろう。

3勝14敗に終わった昨シーズンから生まれ変わるはずだったベアーズだが、2023年もまた悪夢のような苦戦が続いた。チームはドラフト全体1位指名権を手放して、カロライナ・パンサーズから前出のムーアといくつかの指名権を手に入れた。他にもフリーエージェントで高給取りのラインバッカー(LB)トゥルメイン・エドモンズ、T.J.エドワーズとディフェンシブエンド(DE)ヤニック・エンガーコエを追加した。にもかかわらずフィールド上でベアーズのディフェンス(シーズン第4週終了時の被得点で全体31位)とオフェンス(同得点で全体22位)はそろって低迷していた。

フィールドを離れたところでは、守備コーディネーター(DC)アラン・ウィリアムズがシーズンを2週終えたところで辞任するという驚きの展開もあった。フィールズがおそらくコーチ陣が原因で自分が“ロボット”のようになっているとコメントしたことで、ひと騒ぎ起こったこともあった。後にフィールズはコーチのせいにするつもりはないと発言している。ワイドレシーバー(WR)チェイス・クレイプールは過去2週間でインアクティブになっており、どうやらシカゴでの短い時間は終わりに近づいている気配だ。

しかしながら、エバーフラスHCはサーズデーナイトに、そもそもこの仕事に携わるようになったのはなぜだったのかを思い起こしたようだ。

エバーフラスHCは試合後、ロッカールームに向かいながら「これがコーチングに携わる理由さ」話している。

「私は32年間コーチングをやっているから、始めたときには22歳と9カ月だったわけだ。一緒にプレーした選手たちをコーチしていたから、ちょっと変な感じだったけれど、彼らのハードワークに笑顔や喜びが見えて、楽しかった。すべてのスタッフたち、コーチたち。それぞれが懸命に仕事をしている。何度か逆境も経験したが、そこから教訓を学んだ。そういうことが自分を少し強くしてくれるから、前に進んでいくのが楽しみだ」

サーズデーナイトの試合に何か一つ、エバーフラスHCにとってのテーマがあったとしたら、それは一丸となり、チームとしてプレーするということだ。

あらゆる難関を乗り越えて、大変な苦労はついに報われた。

「みんな、素晴らしい仕事をして逆境の中で一丸となっていた。私は彼らに、われわれにこれができるのは、チーム施設の中でわれわれが築いてきた関係のおかげなのだと話した。みんなが、常に密接につながっていた。全員が常に決意を固め、そのことにものすごくエキサイトしていた」

キックオフの前、プロフットボールの殿堂入りを果たしたシカゴのスポーツアイコンにしてベアーズの伝説的選手、ディック・バトカスの訃報が伝えられた。そのことがこの試合に粛々とした雰囲気をもたらした一方、この夜のベアーズの勝利を祝福すべき理由を新たに加えてもいる。

素晴らしいキャリアを送ったバトカスだが、9回の秋を過ごす中で、プレーオフで戦ったことはなかった。

今のベアーズも、ポストシーズン進出を遂げることはなさそうだ。1990年以降、1勝4敗でシーズンをスタートしたチームは161チーム存在し、その中でプレーオフにコマを進めたのはわずか11チームだった。

だがもちろん、木曜日の夜に、そういった統計はどうでもよかった。強く勝利を必要としていたチーム、それがベアーズなのだ。

この1試合で、ベアーズは自分たちのポテンシャルを見せ、良いところも悪いところもさらし、試合終盤にムーアがエンドゾーンに達したことで、ようやく今季初勝利をつかんだ。

「俺たちにはとにかく勝利が必要だったのさ」とムーアは言う。

「流れを俺たちの方に引き寄せて、それをこれからの週に持ち込むべき時期なんだ。だから、これがベストだった」

【M/A】