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チーフスQBマホームズがF1チームに投資、「オーナーシップの機会は常に探し求めている」

2023年10月20日(金) 00:23


カンザスシティ・チーフスのパトリック・マホームズ【Cooper Neill via AP】

ここ数年で急激にアメリカでの人気が拡大しつつあるF1。テイラー・スウィフトでさえも今ではパドックパスを手に入れるのに苦労するかもしれない。

今週末にF1一行は3つあるアメリカ国内のレースのうち、2つ目のレースをするためにアメリカを訪れている。レッドブルのチーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーは、たった7年前にテキサス州オースティンのサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)にアメリカの観客を集めるためにスウィフトのコンサートを開く必要があった時代と現在のスポーツ人気を比較するコメントを出している。

現在はというと、COTAにファンを集めるのに苦労する必要は全くない。現地17日(火)のニュースを見ると、同様にF1は大物投資家を集めることにも苦労していないようだ。モータースポーツの世界的最高峰であるF1に参戦中の10チームの1つ、アルピーヌF1に戦略的な資金を提供する新たな投資家グループの筆頭として、カンザスシティ・チーフスのクオーターバック(QB)パトリック・マホームズとタイトエンド(TE)トラビス・ケルシーが加わったことが明らかになった。

『Netflix(ネットフリックス)』制作のドキュメンタリーシリーズ“Drive to Survive(邦題:Formula 1: 栄光のグランプリ)の大ヒットによって人気が爆発したF1に自分の資金を投じることを決めた理由について、マホームズが説明している。この番組はマホームズ自身が、NFLを舞台にしたネットフリックスの同様のシリーズ、“Quarterback(邦題:クォーターバック: 不屈の求道者)シーズン1に出演しようと思ったきっかけでもあったという。

「その魅力は誰の目にも明らかだと思う」と18日(水)にマホームズは言っている。「俺もいくつかレースに行ったことがあって、今の情勢を見ているし、もちろんネットフリックスの番組も見て、その競争のすごさを知っているよ」

「競争心に関して言えば俺は誰にも負けないぐらい強いし、そこに加われる絶好の機会がやってきて、レースに行ける可能性もあって、投資できる機会があるっていうんなら見逃せるはずがない」

今回発表された投資家グループにはプロゴルファーのローリー・マキロイ、ボクシングの元ヘビー級王者アンソニー・ジョシュアやプレミアリーグのリヴァプールFCでプレーするサッカーのスター選手、トレント・アレクサンダー・アーノルドも含まれている。

グループは、6月にアルピーヌF1の株式の24%を購入したいくつかの企業と以前にコラボレートした民間企業『Otro Capital(オトロ・キャピタル)』を通じて参加することになった。初期メンバーにはサッカークラブのレクサムAFCを買収したことでも知られる俳優のライアン・レイノルズとロブ・マケルヘニーも含まれていた。

そこに、現スーパーボウルチャンピオンのチーフスに所属するNFLのビッグスター2人が加わったというわけだ。

F1ファンなら、彼らのようなエリートフットボール選手がなぜアルピーヌF1に投資するのかと不思議に思うことだろう。中団チームのアルピーヌはもうかなりの間コンストラクターズ選手権の王座を争ったことがない。マホームズが説明した通り、これは勝利のポテンシャルを買ったというよりは、新規ファンを魅了し続けるスポーツに関与するという意味合いの方が大きいということのようだ。

投資するチームを選ぶことはできたのかと聞かれ、「いや、選択肢があったのかどうかは知らない」とマホームズは答えている。「ただ機会を提供されて、飛びついただけ。すごくワクワクしているし、トラブ(ケルシー)も一緒だから、いくつかのイベントに行けたら最高だし、マイアミ以外の場所にも行けたらうれしい。世界の他の開催地にも行くことができたら、最高にクールだ」

ルノーの子会社であるスポーツカーブランドであるアルピーヌの名を関するこのF1チームは、2021年に現在のチーム名になる以前は、20年間の大部分をルノーの名で戦ってきた。アルピーヌF1となってからは1度優勝を経験しており、2022年のコンストラクターズ選手権では4位につけた。2023年シーズンは6位で終えることになりそうだ。

マホームズが投資するプロスポーツ団体はアルピーヌF1が初めてではない。マホームズと妻のブリタニーはナショナル女子サッカーリーグ(NSWL)のカンザスシティ・カレントの株を保有している。2人はカンザスシティにおけるサッカーの成長に焦点を置いたオーナーシップグループの一員であり、その活動の一環としてNSWL専用のサッカースタジアムの建設を推進している。また、マホームズはMLBのカンザスシティ・ロイヤルズおよびMLSのスポーティング・カンザスシティの少数株も有している。

将来の報酬をより近い契約年に移す(2023年から)形で契約を再構築したマホームズには、投じることのできる資金がある。マホームズは時間を無駄にすることなく、有望なベンチャーにそれを注いでいる。

プロスポーツクラブへの投資に向けた興味について、マホームズは「ああ、俺はいつも周りを探している」とし、こう続けた。

「自分がプレーしている間はもちろん、NFLではそれができないから、いつも他のスポーツを見ている。NBAとか、いろいろな違うタイプのものがあって、すべてのスポーツを取り上げるのは難しいけど、俺は常に目を向けているし、チャンスをくれるならそれに飛びつくよ」

マホームズとケルシーが保有するアルピーヌ株の価値は明かされていないが、少なくとも、2人がここに関与したことは、世界的な規模におけるこのスポーツの重要性が成長していることを示している。一方で、ここ何週間か話題になっている、ケルシーとスウィフトの関係に触れないわけにもいかないだろう。

ケルシーがアルピーヌF1に関わることで、スウィフトはどこでも望む場所でパドックパスを手にすることができるようになるはずだ。だが、マホームズがF1マシンのドライブを楽しむことは難しいかもしれない。そもそも、マホームズがコックピットに収まるのかという問題もある。

「そういうことが俺の契約に入ってくるかは分からない。どうなるかな。ヴィーチ(チーフスGM)もF1の大ファンだから、彼が俺を一度はサーキットでマシンに乗せるかもしれないけど、分からないね。ああいうクルマは少しお金がかかるから、彼らが俺にそういうことをさせてくれるかは分からない」とマホームズはコメントした。

【M/A】