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浮き沈みのあるシーズン序盤を過ごしたQBプレスコットを擁護するカウボーイズHCマッカーシー

2023年10月20日(金) 11:54


ダラス・カウボーイズのダック・プレスコット【NFL】

ダック・プレスコットはそのキャリアで、予想外の輝かしいルーキーシーズンを送るという絶頂も、重傷を負ってポストシーズンで苦戦するというどん底も味わっている。

ダラス・カウボーイズのクオーターバック(QB)として、プレスコットは常にスポットライトを浴びてきた。また、キャリア最初の7シーズンで一度もカウボーイズをタイトル獲得に導いていないことから、プレスコットは常に厳しい視線にさらされている。そのプレッシャーはヘッドコーチ(HC)マイク・マッカーシーにも伝わっており、マッカーシーHCは現地16日(月)夜にカウボーイズが僅差でロサンゼルス・チャージャーズに勝利した後、プレスコットに対する批判を耳にしたようだ。

マッカーシーHCはアダム・シャインがホストを務める『SiriusXM(シリウスXM)』の“Mad Dog Sports Radio(マッド・ドッグ・スポーツ・ラジオ)”に出演した際に「自分たちのクオーターバックとして、私はダック・プレスコットをとても気に入っている」と話している。

「彼は体格も良いし、もちろん身体能力も素晴らしいが、彼がメンタル面や感情面で耐えていることは他の31人(のクオーターバック)に比べても独特だ。偉大なクオーターバックたちに囲まれてきた経験から言っても、彼のように厳しい目で見られているクオーターバックには出会ったことがない」

マッカーシーHCは間違っていない。プレスコットはフットボールに特化した朝の番組で頻繁に取り上げられ、カウボーイズが失速するたびに、解説者たちはその名前を真っ先に口にする。カウボーイズがシーズン第5週にサンフランシスコ・49ersに大敗した後、プレスコットには多くの批判が寄せられた。NFC(ナショナル・フットボール・カンファレンス)の強豪同士の対決として期待されていただけに、残念な結果となったこの試合を受け、一部のカウボーイズファンはプレスコット時代を終わらせて、別の選択肢を選ぶ準備ができていると認めてさえいる。

しかし、プレスコットから離れる準備ができているというファンに対する質問はシンプルだ――誰をプレスコットの後任にする気なのか? クーパー・ラッシュは堅実なバックアップQBだが、その実力はプレスコットよりはるかに低いと言える。カウボーイズは賢明にも2023年シーズン開幕前に49ersからトレイ・ランスを獲得したが、ランスが先発の役割で成功する可能性はおろか、そのような仕事をこなす準備ができているという証拠もない。

クオーターバックの報酬が高く、低迷しているチームが常にQBポジションの次なる選択肢を探しているのには理由がある。それがこのスポーツで最も難しく、最も重要なポジションだからだ。プレスコットはその仕事――そして、カウボーイズでプレーすることで受ける容赦ないプレッシャー――にうまく対応してきた。プレスコットがミシシッピ州立大学からドラフト4巡目で指名されてNFL入りした選手であることを踏まえると、なおさらそう言えるだろう。

それでも、カウボーイズは今すぐ勝利をつかむために構築されたチームでありながら、自分たちがタイトル争いに加われるような一流のチームであることをあまり証明できていない。プレスコットもリーグに火をつけたわけではなく、カウボーイズがいくつかの試合に勝つのには十分に貢献しているものの、自分の意志でチームを勝利に導くまでには至っていない。そして、プレスコットが先導してそれを成し遂げるまでは、今の状況は変わらないだろう。

マッカーシーHCは伝説的なクオーターバックと取り組んだ経験も豊富だ。グリーンベイ・パッカーズではアシスタントあるいはヘッドコーチとしてアーロン・ロジャースとブレット・ファーブを指導し、ジョー・モンタナが殿堂入り確実のキャリアを終えたカンザスシティ・チーフスではQBコーチを務めていた。マッカーシーHCはプレスコットを擁護する発言を、現在指導しているシグナルコーラーを守るためだけに行なっているのではない。

「そういう選手たちの周りにいた頃は、ほとんどフットボールの話ばかりだった。私たちが今、相手にしている世代とは明らかに違うし、対外的な責任の重さも違う」とマッカーシーHCは説明している。

「ダックに向けられているような視線の厳しさは、これまでに見たことがない。彼が一貫して、毎日ほとんど同じような態度でいるためには、準備の部分をどう攻略するかということに関して、それに対応できるような独自性が必要だと思う。特に、彼にとっては8年目か9年目で、長い間この問題に取り組んできているからだ」

「彼に対する厳しさは、さっきも言ったように、これまでに見たことがないものだ」

プレスコットの実力は、彼が最もよく比較される選手であるミネソタ・バイキングスのカーク・カズンズよりも高くないかもしれない。それがプレスコットの能力に関する冷厳な事実なのかもしれないが、さまざまな状況が生み出した結果という可能性もある。昨年は才能のあるレシーバーが不足しており、今年のカウボーイズはオフェンス面でどちらかと言えば保守的だ。実際、プレスコットはマンデーナイトに昨シーズン中盤以来で初となるタッチダウンランを記録しており、それはもうプレスコットからはあまり見られない要素となっている。

保守的であることは必ずしも悪いわけではないが、プレスコットが2022年シーズンに喫したインターセプト数でNFL内ワースト1位タイとなったことを受けて、カウボーイズは意図的に保守主義になっているようだ。カウボーイズは2023年に、プレスコットにそのようなリスクを再び冒すことを求める代わりに、そうした選択肢をオフェンスから外したと見られている。こうした動きは勝率では優位に働いている――カウボーイズはプレスコットがインターセプトを喫していない試合で4勝0敗、喫した試合で0勝2敗となっている――一方で、チームの得点力を制限している。

4勝2敗のカウボーイズはNFC(ナショナル・フットボール・カンファレンス)東地区のレースの真っ只中にいる状態でバイウイークを迎えた。こうした懸念は大げさなのかもしれない。結局のところ、カウボーイズほど注目を集めるものはないからだ。しかし、プレスコットがもう一段階上のレベルのクオーターバックになれることを証明するまでは、それは今後もカウボーイズが残りの試合の大半で勝利することでしか黙らせることのできない話題となるだろう。

【RA】