アラバマ大学の元チームメイトであるイーグルスQBハーツとの対決を軽くあしらうドルフィンズQBタゴヴァイロア
2023年10月20日(金) 15:40現地22日(日)夜、マイアミ・ドルフィンズのクオーターバック(QB)トゥア・タゴヴァイロアとフィラデルフィア・イーグルスのQBジェイレン・ハーツは対戦相手として――そして、かつてのチームメイトとして――フィールドで顔を合わせる。
タゴヴァイロアとハーツの物語は常に何らかの関係がある。しかし、シーズン第7週に行われるイーグルス戦――第58回スーパーボウルの予告編になる可能性があるとも見られている――を前に、ハーツに関する質問を受けたタゴヴァイロアの返答から判断すると、アラバマ大学の元スター選手はすべてをビジネスライクに捉えているようだ。
タゴヴァイロアは水曜日に「戦う方法で言えば、俺は彼のプレーのレベルを知っているし、彼も俺のプレーのレベルを知っているという状況だな」と話し、こう続けた。
「試合前には顔を合わせてお互いの幸運を祈り合うだろうけど、結局のところ、俺たちは2人とも自分たちのチームの勝利に貢献しようとしている。彼はオフェンスがうちのディフェンスを相手にうまくやれるように全力を尽くすだろうし、俺もまったく同じように、相手のディフェンスに対抗できるように必死に努力する」
「俺はジェイレンのことをものすごく尊敬している。アラバマ大学に入ってからずっと、素晴らしいライバルだった。大学にいた頃から特別な選手だったし、大学でのキャリアを通して特別な存在だった。だから、良い試合になるのは分かっているし、スーパーボウルの予告編になるとか、そういうことは考えていない。戦う準備を進めている、次の対戦相手としか見ていないし、自分たちが行きたい場所に行くために、この試合に臨まなきゃいけないと思っている」
タゴヴァイロアが2017年に加わったとき、ハーツはアラバマ大学クリムゾンタイドのスタークオーターバックであり、ハーツがカレッジフットボール・プレーオフ・ナショナルチャンピオンシップで苦戦し、ニック・セイバンHC(ヘッドコーチ)がハーツを下げてタゴヴァイロアに交代させるまで、タゴヴァイロアはハーツの後ろでシーズンを過ごしていた。そこから先はご存知の通りだ。その試合の途中でハーツと交代したタゴヴァイロアは延長戦で当時アラバマ大学の1年生だった現イーグルスのワイドレシーバー(WR)デボンタ・スミスにタッチダウンパスを通して見事な逆転劇を演出し、ジョージア大学ブルドッグスを差し置いてクリムゾンタイドを全米王者に押し上げた。
タゴヴァイロアは一瞬にしてハーツの地位を奪った。その後もハーツはアラバマ大学にとどまって先発の座を争ったが、2018年にはタゴヴァイロアのバックアップとなっている。ハーツがアラバマ大学で最後にスポットライトを浴びたのは、負傷したタゴヴァイロアに代わって出場し、クリムゾンタイドがジョージア大学相手に再び逆転勝利を収めるのに貢献したサウスイースタン・カンファレンス(SEC)タイトル戦だった。しかし、タゴヴァイロアが復帰し、ハーツがオクラホマ大学に移ったことで、それはハーツがアラバマ大学で過ごした最後の時間となっている。
それ以降、さまざまな出来事があった。イーグルスでスターの座に上りつめたハーツは、2022年シーズンにNFLのMVP投票で2位に選出され、イーグルスの第57回スーパーボウル進出に貢献。一方のタゴヴァイロアはキャリアの大半で健康維持に苦労してきたが、2023年シーズンは6週間を通してリーグを沸かせるオフェンスを指揮している。
自分とハーツがNFLで活躍するようになるまでにたどってきたユニークな道筋について聞かれたタゴヴァイロアは「物事を達成するにはいろんな方法があるだろ? たくさんの方法があるんだ」と返答。
「俺がここに到達するまでにたどってきた道とは違う道を彼は歩んできた。彼は今の地位を得るまでに俺とは違う道を歩まなきゃいけなかった。でも、さっきも言った通り、俺は彼のことを、人としても選手としても、ものすごく尊敬しているし、対戦時も彼がベストを尽くせるよう願っている」
アラバマ大学出身のクオーターバック同士の対決は、週刊誌にとっては楽しいストーリーだと言えるが、それ以上に重要なのは、ニューヨーク・ジェッツに惜敗したイーグルスにドルフィンズがどう立ち向かうかだ。現在は両チームともに試合平均ヤードで2位以内につけている。また、両チームとも同じドラフトの1巡目で指名されたアラバマ大学出身のパスキャッチャーがレシーブコンビを組んでいる。そして、それぞれがスーパーボウル出場を目指しているのだ。
今回の対決は両チームにとってリトマス試験紙としての役目を果たすだろう。タイトル争いに加わっているチームとの対戦ほど、自分の実力を確かめる良い方法はない。今季、これまでにトータルプレッシャーで2位につけているイーグルスのパスラッシュが最大の懸念材料であったとしても、タゴヴァイロアはかつてのチームメイトに勝つことを望んでいるだろう。
タゴヴァイロアはイーグルスについて「あのフロントセブンはタフだ。本当に優秀なフロントセブンだ」と話している。「バックエンドからはちょっと負傷者が出ているけど、全員がそろっているときは本当に素晴らしいチームだ。あのバックエンドについてはものすごくたくさんのコミュニケーションをとっているし、彼らは本当に優秀で安定したディフェンスを展開している」
今回の試合はハーツ対タゴヴァイロアと銘打たれているが、2人のクオーターバックが敵になったかつてのチームメイトと対峙すること以上の意味があると言えよう。日曜日にどちらが勝利をつかむのか、そしてそれがNFLの今シーズンの物語にどのような影響を与えるのかに注目だ。
【RA】