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ミシガン大学ハーボーHCにとってNFLが NCAAの処分から逃れるための避難場所になる可能性は低い

2023年10月30日(月) 15:19


ジム・ハーボー【AP Photo/Al Goldis】

この一週間、ミシガン大学のフットボール関係者による違反行為が次々と浮上する中、かねてから噂されているヘッドコーチ(HC)ジム・ハーボーのNFL復帰の可能性について、再び憶測が飛び交っている。

だが、そんなに単純な話ではないかもしれない。

リーグ関係者は、NFLはハーボーがNCAAの処分から逃れるための避難場所になるつもりはないだろうと言う。ハーボーがNFLに復帰する場合、大学から科されるかもしれない出場停止処分の一部または全部を受ける可能性が高いと指摘している。

この件を規定する条例はない。しかしながらハーボーは、選手やその家族との接触が禁じられていた新型コロナウイルスの“デッドピリオド”中にリクルート活動を行った疑いが持たれた上、調査官に協力しなかったとして、今年すでに大学から科された3試合の出場停止処分に従っている。NFLとそのチームがハーボーの大学での出場停止処分をどう扱うかについて、情報筋はオハイオ州立大学のジム・トレッセル元HCを引き合いに、本件に関してはNCAAからさらなる懲戒処分を受ける可能性があるとしている。さらに、ハーボーは現在、ミシガン大学のスタッフがライバル校のサインを巧妙に盗んでいた事件にも関与した疑いが持たれている。

2011年にはオハイオ州立大学のクオーターバック(QB)テレル・プライヤーがNFLの追加ドラフトに参加することを表明した際、記念品と引き換えに現金を受け取り、タトゥーを無料で入れてもらったとして5試合の出場停止処分を受けている最中だった。NFLコミッショナーのロジャー・グッデルはこの処分を入団後のプライヤーに科し、当時の声明の中で「これは、われわれの資格規定を巧みにすり抜けるために計算された行為の疑いがある」と述べていた。

一方、同じくオハイオ州立大学から5試合の出場停止処分を受けていたトレッセルは、スキャンダルの渦中で最終的にはヘッドコーチを辞任したものの、試合中のコンサルタントとしてインディアナポリス・コルツと契約しており、NFLのプライヤーに対する判断を問題視する声があがった。コーチに関してはよくあることだが、リーグはこの件をチームに任せるとし、コルツはトレッセルが2011年シーズン第7週までは在籍しないことを発表した。

正式に出場停止とは発表されなかったものの、NFLと協議した結果、トレッセルには同様の罰が与えられることになった。そして、 大学のフットボール界を離れてNFLに入ることで、規律を逃れることはできないという強いメッセージが発せられた。

過去2シーズン、ミネソタ・バイキングスとデンバー・ブロンコスとそれぞれヘッドコーチ職の面接を受けているハーボーにとって、この前例は無関係とは言えないだろう。

元NFLクオーターバックのハーボーは、2011年から2014年までサンフランシスコ・49ersでヘッドコーチを務め、49勝22敗1分(プレーオフを含む)の好成績を収めている。NFC(ナショナル・フットボール・カンファレンス)のチャンピオンシップゲームに3度出場し、第47回スーパーボウルにも出場したが、49ersはハーボーの弟ジョンが率いるボルティモア・レイブンズに34対31で敗れている。ハーボーは2014年シーズンの終了とともにNFLを去り、母校のミシガン大学へと向かった。

先月、『NFL.com』からNFLへの興味について質問されたハーボーは、チームの広報部を通じて次のような声明を発表している。「私が最も信頼している妻、父、弟にしか私の将来について話すことはなく、これまでにそのようなことは話し合っていない」

サインを盗んだ件についてNCAAが調査を行っていることを、先週に最初に報じたのは『Yahoo! Sports(ヤフー! スポーツ)』だった。この件はカレッジレベルでは長きにわたって禁じられてきた将来の対戦相手との(シーズン中の)対面によるスカウティングを中心的な舞台とし、下位のスタッフによって行われてきたと見られている。いずれの報告でもハーボーとの直接なつながりは指摘されておらず、ハーボーは声明で次のように述べていた。

「ミシガン大学フットボールプログラムのルールに反するサイン窃取について、私には何の知見も情報もなく、キャンパス外でのスカウティング職務に携わるスタッフやその他の面々を監督してはいない。そういったことを行ったスタッフ、もしくは、そういう行為を支持したスタッフについて、私は何も知らない。私はルールに反することやNCAAの規則に反する行為をする者を、容認したり許容したりしない」

とは言え、ハーボーに懲罰が与えられる可能性は変わらない。NCAAはリクルーティングにおける違反と、非協力的だった件について裁定を下していない。また、サイン窃取が疑われるスキームにかかわったとされるハーボーのスタッフの1人が犯した違反は、レベル1の違反になり、ヘッドコーチの責任が問われる可能性がある。そうなれば、出場停止期間はさらに長引くかもしれない。

週末はミシガン大学のバイウイークだった。ウルバリンズは8勝0敗で、全国2位につけている。

【R/A】