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レイダースの暫定HCに就任したピアース、「私は生まれながらにしてレイダーだった」

2023年11月02日(木) 13:25

ラスベガス・レイダースのアントニオ・ピアース暫定HC【NFL】

ラスベガス・レイダースは驚くべきことに週の半ばにヘッドコーチ(HC)およびジェネラルマネジャー(GM)の解雇に踏み切り、ラインバッカー(LB)コーチを務めていたアントニオ・ピアースを暫定ヘッドコーチに昇格させた。

本人が感じているように、ピアースは生まれたときからこの役職に就くことになっていたのかもしれない。

現地1日(水)、レイダースの暫定ヘッドコーチに就任したピアースは次のように報道陣に話している。

「私は幸運だった。ハイレベルなところでプレーしていた。私の原点とロングビーチポリ(テクニック高校)での指導に話を戻そう。私は高校でヘッドコーチを務めていた。2017年にはニューヨーク・ジャイアンツに在籍し、その後は大学(アリゾナ州立大学)に4年間在籍した。そこを離れて他の組織に行く機会もあったが、私はそうしなかった」

「手短に話すと、私はカリフォルニア州コンプトンで育った。生まれながらにしてレイダーだったのだ。レイダースがL.A.のコロシアムで暴れ回っていたときに生まれた。私はN.W.A.が“Straight Out of Compton(ストレイト・アウタ・コンプトン)”を語るのを聞きながらレイダースの帽子をかぶっていた。だから、ジョシュ(マクダニエルズ/元HC)やパトリック・グラハム(守備コーディネーター/DC)、デイブ(ジーグラー/元GM)と一緒に仕事をする機会が訪れたとき、すぐに飛びついた。そのおかげでこうなった。このようにして今の私がある」

ピアースがLBコーチから昇格したことのマイナス面は、それが必要になったことだろう。レイダースはマンデーナイトフットボールでデトロイト・ライオンズに敗れてからおよそ24時間後、水曜日の未明にマクダニエルズとジーグラーを解雇した。この変更は迅速に行われ、アシスタントGMを務めていたチャンプ・ケリーがジーグラーの代わりに暫定GMとなり、ピアースが暫定HCとなっている。『Las Vegas Review Journal(ラスベガス・レビュー・ジャーナル)』のビンセント・ボンシニョールによると、レイダースのオーナーであるマーク・デービスは「適切な時期に適切な人物だと感じた」からピアースを暫定HCにしたと語ったという。

デービスは水曜日に「(ピアースは)導き、創造し、チームからの尊敬を集める人物だ」と述べている。

ピアースがこのスポーツで最も重要なポジションに関する確固とした決定を下すのに時間をかけることはなく、ベテランのクオーターバック(QB)ジミー・ガロポロをベンチに下げて新人QBエイダン・オコンネルを先発起用することを選択している。ガロポロはオフェンシブラインに対する信頼を失い、結果として十分なレベルのプレーができなくなっている様子を見せていた。

水曜日、ピアースはオコンネルを先発起用する判断について「彼が私たちに最高のチャンスを与えてくれると感じているだけだ」と報道陣に説明している。

また、ケリーはオコンネルについて述べた際に「選手たちは彼のもとで結束している。彼が機会を手に入れるのをみんなが楽しみにしている。AP(ピアース)がチームに話しているとき、私はその場にいたのだが、彼はみんなから注目され、その部屋には明らかにエネルギーがみなぎっていた。そこには間違いなく高揚感があったし、みんな週末に向けて準備態勢を整えている」とつけ加えた。

マクダニエルズおよびジーグラーの解雇が決まったことによって、不本意な成績に悩まされ、選手とコーチングスタッフの間に溝があるかのように見えた期間には終止符が打たれた。かつてニューイングランド・ペイトリオッツに所属していた2人は、努力をしてきたのかもしれないが、ペイトリオッツで得た成功体験をレイダースに反映することはできなかった。2人の在任期間が終わりを迎える頃には、スタッフと選手の間にすれ違いがあるのは明らかとなっており、デービスはそれをすぐに変える必要があると気づいた。

ピアースが指揮官となった今、レイダースは180度反対方向に舵を切り、選手たちを力づける環境づくりを目指している。

ピアースは「今朝は良いチームミーティングができた。全員参加していた」と明かし、こう続けた。

「みんなの視線を集められたと思う。私は長話をするタイプではない。セリフやエッセイは言わない。単刀直入に、白か黒かで言う。ドアを出たときの私の気持ちは分かるだろう」

「私がラインバッカーコーチとして彼らの周りにいるようになってもう2年だ。ラインバッカールーム、ディフェンシブラインルーム、クオーターバックルーム、ランニングバック(RB)ルームでは自分の存在を知らしめてきた。私はもともと選手だったから、フットボール選手に接したことがある。彼らに共感することができる。彼らと同じことをしてきたのだ。彼らと同じ道を歩んできた。彼らが感じたのと同じ痛みを感じたことがある」

「だから、今年、あるいは一緒にいた2年間で彼らが経験した感情の起伏を、私が感じ取らなかったことはない。私の性格はこのチームに現れ、反映されるだろう。日曜日にそれを見せられることを願っている」

このようなアプローチの変化は、ピアースが元選手であることを踏まえると当然のことであり、予想されることでもある。初めてヘッドコーチとしてサイドラインに立ち、かつて選手として所属していたジャイアンツを対戦相手として目の当たりにするとき、ピアースはすぐに現役時代を思い出すだろう。

ピアースは詩的なタイミングでジャイアンツと対決することについて「どう思うかって? 書ききれないね」とコメントし、次のように続けた。

「だが、これはアントニオ・ピアース対ニューヨーク・ジャイアンツではない。ラスベガス・レイダースと、うちのホームにやってくるジャイアンツとの対決だ」

「次戦の勝利は私たちにとって喉から手が出るほど欲しいものだ。私たちはひどい2連敗を喫した。それを変える時が来ている。シーズン後半に突入した。アントニオ・ピアースではなく、ラスベガス・レイダースがどこと戦うかが重要なのであり、選手たちはそれを理解している。私ではなく、彼らの戦いなのだ」

【RA】