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テキサンズQBストラウドが1試合あたりのパスヤードで新人記録を樹立

2023年11月06日(月) 13:59


ヒューストン・テキサンズのC.J.ストラウド【Cooper Neill via AP】

C.J.ストラウドは素晴らしい1日を過ごした。

現地5日(日)、ドラフト全体2位指名を受けたヒューストン・テキサンズの新人クオーターバック(QB)ストラウドはキャリアで8度目の先発を果たしたタンパベイ・バッカニアーズ戦で、相手ディフェンスをねじ伏せている。その過程でストラウドは新人記録に並ぶ5回のタッチダウンを決めたほか、470ヤードをマークして1試合あたりのパスヤードで新人記録を樹立。試合終盤に勝利を決定づけたドライブを含め、素晴らしいパフォーマンスを発揮してチームを39対37の勝利に導いた。

ヘッドコーチ(HC)デミコ・ライアンズは「ガッツのあふれるパフォーマンスだった」と述べている。

「クリーンなプレーばかりではなかったが、彼はやり遂げた。ポケットの中ではタフに、いくつかのプレーを生み出し、素晴らしい投球も見せてくれた。レシーバーたちも頼もしかった。彼らがキャッチを決めてくれた。難しいキャッチを決め、ビッグプレーを生み出してくれた。つまり、全員が力を合わせたのだ。C.J.は非常に肝の据わったパフォーマンスを見せてくれた」

リードが6回(うち2回は最後の数分間で)入れ替わったこの試合で、テキサンズを勝利に導いたストラウドはかなり肝が据わっていたと言えるが、ライアンズの表現は控えめなものだったかもしれない。

ストラウドは驚異的な活躍を見せており、その勇姿は、パスゲームとは裏腹に活気のないランゲームによって、さらに印象的なものとなっていた。ランニングバック(RB)デイミオン・ピアースが足首のケガで負傷していたこともあり、テキサンズは今回の試合でわずか53ランヤードしか稼いでいない。

パスゲームでその弱みを補ったストラウドは、単にショートヤードのパスを繰り返していたわけではなかった。『Next Gen Stats(ネクスト・ジェン・スタッツ)』によれば、ストラウドは20エアヤード以上のパスを9回中8回成功させて199ヤード、タッチダウン3回を記録したという。また、ストラウドは複数のレシーバーが大きな数字を残せるように、あらゆるターゲットに向けてパスを出していた。その結果、4人のレシーバーがタッチダウンキャッチを記録。そして、ワイドレシーバー(WR)ノア・ブラウン(レシーブ6回、153ヤード)、タイトエンド(TE)ダルトン・シュルツ(レシーブ10回、130ヤード)、WRタンク・デル(レシーブ6回、114ヤード)の3人が100レシーブヤードを突破している。3人の選手がそれを成し遂げるのはフランチャイズ史上初の快挙だった。

テキサンズが最も感嘆を誘ったのは、逆転に成功した40秒、75ヤードのドライブだ。

バッカニアーズのQBベイカー・メイフィールドは3分以上の時間を使った末にTEケイド・オットンにタッチダウンパスを通すという魔法のようなプレーを展開し、テキサンズが試合終了まで残り46秒の時点で4点差をつけられているという状況を生み出した。

それを受けてストラウドは再び逆襲に出ている。

背水の陣で臨んだドライブへのアプローチについて、ストラウドは「正直、俺はただ平然と落ち着いて冷静さを保つことを心がけている。1回1回のプレーが大事だし、フロントのみんなには“時間をくれたら、俺が相手に仕返ししてやる”って言った」と語った。

ストラウドはシュルツに2度のパスを通して合計20ヤードを稼ぐところから最終ドライブを開始し、その後にブラウンに向けた14ヤードのパスに成功。その後さらに、デルがディープパスをキャッチしたことで、テキサンズは敵陣15ヤードラインまで迫った。

そこからさらに、ストラウドはエンドゾーンの後方で2人のディフェンダーの間にいたデルを発見し、再びパスを通している。

相手に一矢(いっし)を報いたこのドライブを展開するのに要したプレーはわずか6回。時計を止めるためのスパイクを除き、ストラウドはすべてのパスを成功させた。

このドライブでストラウドは1試合における新人パスヤード記録を更新。『NFL Research(NFLリサーチ)』によると、ストラウドは1試合で400ヤード以上、4回以上のタッチダウン、インターセプト0回を記録したNFL史上唯一の新人選手にもなったという。

ストラウドは自分の記録について「ありがたい。謙虚な気持ちを持ちつつ、今夜は祝おうと思う。そのあとはシンシナティ(ベンガルズ戦)に集中する。でも、幸せなことだ。1週間を通してたくさんのことに取り組んできたし、みんなもそれを分かってくれている。みんな見てくれている」とコメントした。

バッカニアーズ戦での勝利は、ストラウドの浅いキャリアにおける最新かつ最大の偉業だと言えよう。今回のパフォーマンスはストラウドを2023年AP通信オフェンス部門年間最優秀新人賞の有力候補に押し上げることにつながった可能性が高く、昨季を3勝13敗1分で終えたテキサンズが現在の成績を4勝4敗とし、AFC(アメリカン・フットボール・カンファレンス)南地区の優勝争いに加わることを後押ししている。

ストラウドは「俺たちが本領を発揮しているときは誰にも止められないと思う」と強調し、「今回の勝利は俺たちにとって重要なものだ。ご存知の通り、11月と12月は最高のプレーをしたい時期だろ。だから今は、プレーオフ進出に向けてさらにレベルアップしていきたいし、地区優勝のチャンスをつかみたいと思っている」と続けた。

【RA】