トレード期限におけるワシントン・コマンダースの動きは、クラブが今後どのようにロースターを構築するつもりなのか、その転換を示唆するものだった。

ディフェンシブエンド（DE）のチェイス・ヤングとモンテス・スウェットがトレードで退団したことで、コマンダースは2つのドラフト指名権を手に入れており、これは数年後にチームを向上させるための重要な資本だ。しかしこのトレードは、ヤングが新たに加入したサンフランシスコ・49ersのことを話題にするときに捨てぜりふを吐くことなく成立したわけではない。

『NBC Sports Bay Area（NBCスポーツ・ベイ・エリア）』によると、ヤングは今週、「先週ここに来て、今日ここに足を踏み入れたばかりだけど、文化も雰囲気もだいぶ違う。俺は間違いなく勝者が集まる建物にいる」と語ったという。

現地8日（水）、この発言について尋ねられたコマンダースのヘッドコーチ（HC）ロン・リベラは、ヤングの言葉をとがめなかった。その代わりに、リベラHCは話を楽観的なトーンに戻している。

リベラHCは報道陣に「何よりもまず、私が考えているのは、このフットボールチームにワクワクしているということだ。私は今やっていることを気に入っている」とコメント。

「今の方向性を気に入っている。文化的にも本当にしっかりした場所だと思う」

「私たちは今も学び、成長し続けている。私たちのために学び、成長している若手クオーターバック（QB）を擁している。ほとんどの場合、このまま正しい方向に進めば、状況は明るいものになると思っている。チェイスや彼のコメントに関して言えば、今の私たちにとっての彼の存在にも、これまでの私たちにとっての彼の存在にも、本当に感謝している。素晴らしいことをしてくれた彼の、サンフランシスコでの幸運を祈るばかりだ」

リベラHCが正攻法とも言える態度をとったのは、コマンダースの先行きに心から手応えを感じているからでもある。それは主にQBサム・ハウエルのパフォーマンスに関係しており、ハウエルはパスヤード（2,471ヤード）でNFL内2位につけているほか、ここ2試合では連続して300パスヤード以上を記録している。

リベラHCはさまざまな場面でハウエルのことを、2020年に自分がコマンダースに加入してから初めてフランチャイズの正当かつ長期的な選択肢として現れた司令塔だと評している。リベラHCがハウエルに関する考えを繰り返したことは、2023年にコマンダースを追ってきた者にとっては驚きではない。

とはいえ、リベラHCがハウエルにこだわるのは、自分の雇用がハウエルの成績に大きく左右されることを知っているからでもある。コマンダースが厳しいNFC（ナショナル・フットボール・カンファレンス）東地区で競争力のあるチームであることを証明すれば、リベラHCが2023年シーズン以降もチームに残る可能性は高まるはずだ。

地区内で3位に位置している4勝5敗のコマンダースは、2位のダラス・カウボーイズに1.5ゲーム差をつけられている。コマンダースに注目してきた人であれば、彼らは戦績から想像されるよりも優れたチームであるかもしれないとすぐに主張するはずだ。

それを証明する時間はまだある。それが自分のチェックリストに残された最も重要な目標であることを理解しているリベラHCは、次のように述べた。

「まあ、私たちがやっていること、コンペティティブになるために続けていることを見てもらえば分かるように、それが今、一番重要なことかもしれない。多くの変化を経験し、たくさんのことをいろんな方法でやってきて、今はそれをまとめようとしている」

「つまり、私にとって一番重要なのは、懸命にプレーし続け、ベストを尽くし続けることであり、それから他の何物でもなくフットボールゲームで勝利できたらいいなと思っている。つまり、実のところ、勝つことがすべてなのだ。それこそが他ならぬオーディションから生み出される最大の成果だ」

リベラHCが“オーディション”という言葉を使ったのは興味深い。それはつまりリベラHCが2023年に自分の行く末がかかっていることを率直に認めているからだ。新しいオーナーを迎えたことを受け、コマンダースは必要があると判断した場合にヘッドコーチを交代する理由を探すのにさほど苦労しないだろう。2024年にもう一度チャンスを得るに値することを証明するかは、リベラHC次第だ。

4勝5敗という現状では、コーチに関する判断はまだ下されない。しかし、ハウエルを司令塔に据える中、リベラHCは自分のチャンスに手応えを感じている。

水曜日、リベラHCは「このチームはクオーターバック（サム・ハウエル）やオフェンスの発展や成長という点で、他とは少し違うと思う」と説明し、「だから、このチームにとって何よりも重要なのは、ただ成長を続けること。そして、ディフェンス面でより良いプレーをし、それに向かって努力し続けることだ。つまり、私はすべてが目の前にあると思っている。本当にそう信じている。すでに言ったように、単純に1つのフットボールチームとしての現状から、他とは異なると思っている」と続けた。

【RA】