NFLが選手の健康と安全を守るためにデータセンサー技術で洞察力を高め、選手のケアを向上
2023年11月15日(水) 14:09NFL選手の健康と安全はリーグにとって常に最重要課題だ。
最近のキックオフルールの変更や、選手たちが下肢のケガを避けるためにプレシーズンの序盤に行う準備からもそのことが伺える。
こうした決断はすべて、リーグがデータ収集とデータに基づいた調整に力を入れていることによってもたらされたものであり、現地14日(火)に発表された最新の選手の健康と安全に関する特集では、この点について深く掘り下げている。
NFLの上級副社長であるジェフ・ミラーは動画の中でこう説明している。「われわれは以前よりはるかに多くの情報にアクセスできるようになった。ルールの変更、練習の習慣、用具に関連することから得られる洞察は、より多くの選手を起用できるようにし、選手がフィールドでベストを尽くす機会を増やすことにつながる。これは誰にとってもプラスだ」
多岐にわたる情報を活用するカギとなるのは、ひとつのチームのデータを分析するのではなく、全32チームのデータを集約することであり、NFLのチーフメディカルオフィサーであるアレン・シルスはそのことによって「誰にとってもより早い答えが得られる」と考えている。
コーチたちの考え方も技術の発展に伴って、戦術やスキルだけでなく、選手のフィジカルをより的確に見極めるためにあらゆる情報を活用するという方向に変わってきている。
ミネソタ・バイキングスで選手の健康とパフォーマンス担当副社長を務めるタイラー・ウィリアムスは、「ここ数年、NFLではかなり大きなパラダイムシフトが起きている」と説明している。
「コーチは選手についてこれまで以上に多くの情報を理解し、知りたいと思っている。そしてテクノロジーはその情報を与えるための道筋、手段を提供してくれる」
選手の健康と安全に関する今回の特集で注目されたデータセンサーのようなテクノロジーは、さまざまな形で導入されている。
例えば、RFID(無線自動識別)タグはシーズンを通して出場選手のショルダーパッドの両脇に付けられ、試合当日に毎回作動して選手の動きを伝達する。
これらのタグは選手のスピードと位置を科学的に測定することを可能にし、一部の選手は頭部への衝撃を検知するのに役立つ高度なマウスガードも合わせて使用している。
「選手がヘルメットにヒットを受けたり、タックルやブロックの一部としてヘルメットを使ったりすると、その情報がマウスガードセンサーに登録される」とミラーは言う。
「これは、選手の体や用具に付けられる他のどんなものよりもはるかに詳しく頭部で起きている情報を与えてくれる」
この特殊なマウスガードはNFLのパートナーである『Align Technology(アライン・テクノロジー)』のiTero口腔内スキャナーを使用して歯科専門家が作成し、センサーを埋め込んで選手それぞれに合わせてカスタマイズされている。
ショルダーパッド内のRFIDタグと並んで、これらのデータセンサーは選手個々のニーズを理解しながら、最高かつ最も安全な製品を整合させるという形で、現在と将来のNFLのプレー方法を形成している。
「各選手がトレーニングで何をしているのか、日々やシーズンを通してどれだけ練習に打ち込んでいるのかを理解するために、われわれはより多くのデータを手に入れることができるようになった」とシルズは述べている。
「つまり、個人に合わせた医療というのがコンセプトとなり、各選手に特化したものにしていくつもりだ」
ミラーは最後に、データを特化することの有用性について触れた。
「1人のNFL選手とは、他にないユニークな存在だ。スピード、体重、その個人が経験する力といったものは、他の人々が経験するものとまったく違う。それを理解できるようになり、それらを定義、説明し、それに対するアクションを計画するというのが、われわれがこれから始められるようになったことだ」
【R/A】