健康であればジョーンズを先発にすると明言しつつ、オフシーズンにQBポジションに着手するジャイアンツGMシェーン
2023年11月28日(火) 16:074年間で総額1億6,000万ドル(約236億8,496万円)の契約をしたニューヨーク・ジャイアンツのクオーターバック(QB)ダニエル・ジョーンズは、その契約の最初の年において投資に見合った成果をもたらさなかった。
ジョーンズは今季パス160回中108回成功、909ヤード、タッチダウン2回、インターセプト6回の成績を残している。6試合でサック30回、1試合平均5回のサックを受けるという状況だった。ラン40回で206ヤードとタッチダウン1回を記録したものの、相手ディフェンスにボコボコにされることが多く、プレーするのに適した快適なレベルを見つけることができなかった。ジョーンズの苦闘(そしてキャリア最低のパサーレーティング70.5)は彼自身のせいばかりではないが、不利な状況を克服できなかったのは確かだ。
ジャイアンツのジェネラルマネジャー(GM)ジョー・シェーンは、ジョーンズが高額契約の下でプレーした最初のシーズンが失敗に終わり、11月はじめに負ったACL(前十字靭帯/ぜんじゅうじじんたい)損傷でシーズンを終えた後も、ジョーンズへの信頼を失っていない。
シェーンGMは現地27日(月)に記者団に対し、ジョーンズがフィールドに復帰する道について「彼は立ち向かっていく」と語り、こうつけ加えている。
「ダニエルと彼の仕事への取り組み方を知っている皆さんなら分かると思うが、彼はおそらく引き戻さなければならない選手だ」
「ダニエルが健康であれば、彼が先発クオーターバックになるだろう。結局のところ、リハビリがどうなるのか、私たちには水晶玉のような予測はできない。膝の腫れや後遺症など、手術後の反応は患者によって違う。繰り返しになるが、誰も水晶玉を持っていないけれど、それが今後の予想だ」
ジャイアンツがクオーターバックをどうするのか、疑問の声が上がっている。ジャイアンツは2022年にプレーオフ進出という大成功を収めた後に大きく後退し、シーズン第12週でニューイングランド・ペイトリオッツを破った後でも、4勝8敗でNFL東地区最下位タイにとどまっている。2023年には一切のプレーが見込まれていなかったドラフト外フリーエージェントで新人クオーターバックのトミー・デヴィートがジャイアンツを2試合連続で勝利に導いているが、これはジョーンズがシーズン終了前に成し遂げられなかった偉業だ。
離脱する前、ジョーンズはあまり良い状況に置かれていなかった。ジャイアンツはジョーンズを十分に守ることができず、ダラス・カウボーイズ(現在8勝3敗)、サンフランシスコ・49ers(8勝3敗)、シアトル・シーホークス(6勝5敗)、マイアミ・ドルフィンズ(8勝3敗)、バッファロー・ビルズ(6勝6敗)に敗れた最初の1カ月半の試練の中で、勝負にならないチームであることを示してきた。この期間中の唯一の勝利は低迷するアリゾナ・カーディナルスに対してであり、しかも後半の激しい追い上げがなければ達成できなかった。
率直な人なら、デヴィートが導いた勝利も最も美しいものではなかったと認めるだろう。ジャイアンツの問題はクオーターバックだけにとどまらないが、クオーターバックはスポーツ界で最も重要なポジションであり、ジョーンズは1年前よりはるかに多くの年俸を得ているため、今後も注目され続けるだろう。
ジョーンズが話題になっているのは、ジャイアンツが現在4勝8敗の成績で、2024年のドラフトで上位指名権を獲得する可能性がまだあるからだ。
『NFL Network(NFLネットワーク)』のイアン・ラポポートが11月12日に報じたところによると、シェーンGMは今季カレッジフットボール界のトップパサーたちが出場する試合を観戦しているという。
これは、シェーンGMがジャイアンツのドラフト上位指名権をクオーターバックに使うことを保証するものではない。NFLのGMは、日曜日に試合会場に隣接する場所へ週末に出かけるのが定番だ。しかし、ジャイアンツが期待外れの2023年シーズンに置かれている状況を考えると、シェーンGMの選択は興味深い。
シェーンは、なぜジョーンズがジャイアンツのクオーターバックの答えであり続けると信じているのかを説明する機会を与えられ、論理的な返答をした。
シェーンGMは月曜日に「私は彼の動きを見ている」とコメントし、こうつけ加えている。
「あの男(ダニエル・ジョーンズ)がジャイアンツで10勝を挙げ、プレーオフ進出を決めた昨シーズン、そしてプレシーズンを見ただろう。私たちはシーズン序盤に鼻にパンチを食らい、自らの穴を掘ってしまったと思う。そこから抜け出せなかったし、今も抜け出そうとしている。まだダニエルを信じている」
ジョーンズの契約はまだ比較的新しく、仮にジョーンズを手放そうと考え、6月1日以前にトレードした場合、『Over The Cap(オーバー・ザ・キャップ)』によると、3,330万ドル(約49億3,629万円)というかなりのデッドキャップを抱えることになる。デーブ・ジェトルマン前GMが残したひどいキャップ状況からジャイアンツを救い出すことを、シェーンGMが余儀なくされていることを考えると、これほど大きなデッドキャップを保持することは、シェーンの大きな計画にとって禁じ手かもしれない。
ジャイアンツはジョーンズを高給取りのバックアップとしてロースターに残すことはできるものの、そのような動きは、ジャイアンツのロースターを改善しようとしているシェーンGMの手かせ足かせになる。ジョーンズが2023年にケガに泣かされ、早々にシーズンを終えるまで6試合にしか出場しなかったことを考えれば、このような思い切った決断は短絡的に思えるかもしれない。
ジョーンズの代役として入ったタイロッド・テイラーがジャイアンツのオフェンスをしっかりと支え、ベテランのバックアップがロースターにいることの重要性を強調していたものの、テイラーの負傷によりジャイアンツはデヴィートに頼ることを余儀なくされた。このことを念頭に置いて、シェーンGMは2024年にどのようなシナリオがあっても対応できるようにジャイアンツの体制を整えておく必要がありそうだと認めている。今季QBカイラー・マレーのACL損傷からの復帰を待っている間に、カーディナルスが陥ったのと同じような状況はジャイアンツにとっても避けたいことだろう。
『NJ.com』によると、シェーンGMは「ジョーンズのリハビリがどうなるのか、私たちには水晶玉のような予測はできない」と述べ、次のように続けているという。「フリーエージェントであれドラフトであれ、クオーターバックのポジションで何かをしなければならないだろう。ジョーンズがいつ準備できるかわからない。どこかの時点でそのポジションについて対応しなければならないだろう」
ドラフトで何かをするということは、必ずしもクオーターバックに上位指名権を使うということではない。ジャイアンツは質の高いタレントでジョーンズをサポートするために、他のポジションに優秀な選手を加えるかもしれない。しかし、今シーズンに時間をかけて何人ものクオーターバックを実際に見た後では、来年4月のドラフトで質の高いクオーターバックに指名権を使うことは、シェーンGMにとって魅力的かもしれない。
シェーンGMは「入手可能な最高の選手を取る」と話し、こうつけ加えた。
「うちのチームにとって最高の選手がどのポジションにいようと、その選手を取るつもりだ。決して遠慮するつもりはない」
【KO】