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依然として疑問は残るもイーグルスに圧勝して存在感を示したカウボーイズ

2023年12月12日(火) 13:27

ダラス・カウボーイズのジェイク・ファーガソン【AP Photo/Tony GutierrezAP Photo/Tony Gutierrez】

フィラデルフィア・イーグルスに33対13で勝利してフィールドを後にしたとき、ダラス・カウボーイズの面々は特に興奮した様子ではなかった。ロッカールームに入る際もほとんどの者が静かな様子で、その態度はほんの数週間前にイーグルスに惜敗したときとあまり変わらなかったと言えよう。彼らはヘッドコーチ(HC)マイク・マッカーシーが急性虫垂炎の手術を受けたわずか5日後に、ほぼ無敵のオフェンスを指揮したことを評価するために特別なことをしたわけでもない。

一方で、オーナーのジェリー・ジョーンズは起きているドラマや重要な場面、そしてチームを優勝候補に押し上げる可能性がある勝利を高く評価している。物事を壮大に話すことをためらわない性格のジョーンズは、中世スペインの歴史から国民的英雄エル・シドの物語を引き合いに出した。エル・シドとは、バレンシアの攻囲軍に対抗するために、致命傷を負った後に鎧を着せられ、身体を馬に縛りつけられたと伝説で語り継がれている人物だ。

ジョーンズはマッカーシーHCについて「マイクは馬に縛りつけられた状態で海辺を走った」と話している。

マッカーシー時代で最も重要な勝利だったと発言したジョーンズの興奮は、大目に見ることができるだろう。これはカウボーイズのシーズンを正当化する勝利だった。現地10日(日)の夜まで、カウボーイズはNFLのエリートチームに一度も勝っておらず――10月にはサンフランシスコ・49ersに惨敗し、11月にはイーグルスにあと一歩のところで敗北した――現時点で勝率が5割以上のチームに勝ったことさえなかった。その結果、カウボーイズは“大一番で勝つことができるのか?”という長年の疑問を抱えたまま12月を迎えていた。

カウボーイズはポストシーズンでも今のようなプレーができるのだろうか? ダラスにはびこるこうした疑問に対する唯一の答えはまだ出ていない。とはいえ、リーグ屈指の得点力を誇るイーグルス攻撃陣をわずか2本のフィールドゴールに抑え、3つのターンオーバーを強いるのに十分なディフェンス力と、自らのミス(ストリップサックされたクオーターバック/QBダック・プレスコットが落としたボールをイーグルスのディフェンシブタックル/DTジェイレン・カーターがリターンし、タッチダウンに成功したことは、第3クオーター序盤の勢いを揺るがす恐れがあった)でしか勢いが弱まらないオフェンス力をカウボーイズが持ち合わせているのは確かだ。さらに、カウボーイズはドライブが停滞していても少なくとも60ヤードからチームを救済できる新人キッカー(K)ブランドン・オーブリーを擁している。カウボーイズはシーズン最後の1カ月間でイーグルスよりもハードなスケジュールをこなさなければならないものの、今回の勝利によって少なくとも今のところ、NFC(ナショナル・フットボール・カンファレンス)東地区の首位に立っている。

自分のチームにスーパーボウルに勝てるだけの実力があると、はばかることなく公言してきたジョーンズは、サンクスギビングゲームでワシントン・コマンダースに圧勝した後に、自分たちのチームが優勝する可能性はあると語っていた。しかし、それはコマンダースの話だ。今回の相手はカウボーイズがNFC東地区を制するためにどうしても上回らなければならないチームだった。

ジョーンズは「このゲームは付加的なものだ」とコメント。「対戦相手の性質上、3時間前よりも自分たちの実力が上がっていると誰もが感じているのは間違いない。私は素晴らしい努力を見た。このチームは自分たちが戦えると分かっているが、バッファローでもそれをやらなければならない。彼らは手強い。マイアミでも、ワシントンでもやらなければならない」

カウボーイズはアグレッシブなゲームプランで、2週連続の過酷な日程で疲れの見えるイーグルスのディフェンスを切り裂き、すぐに主導権を握った。カウボーイズは前半4回のドライブすべてで得点し、サードダウンコンバージョンに8回中6回成功。そのため、イーグルスはまたしても今シーズンのパターンとなっている劣勢からのプレーを余儀なくされている。そして、彼らは2週連続で逆転を阻止するのに十分な力を持つ相手と対戦していた。

試合前、ジョーンズはイーグルスのオーナーであるジェフリー・ルーリーに自分たちのチームが再戦、つまり、プレーオフで再び相まみえることを期待していると伝えたと明かしている。ジョーンズはもちろん、その試合がダラスで行われること――カウボーイズがNFC東地区を制したことを意味する――を望んでいる。しかしジョーンズは、カウボーイズがホームで圧倒的な強さを誇るのと同様に、アウェーでも勝てる力を備えていることも確信している。フィラデルフィアでイーグルスに惜敗して以来、カウボーイズは一度も敗れていない。バッファロー・ビルズおよびマイアミ・ドルフィンズとのアウェー2連戦を控えたこの数週間が勝負どころとなるだろう。それは新たにトロフィーを掲げるまでカウボーイズにつきまとう懐疑的な見方を静めるのに役立つかもしれない。

「確かに疑問はある」と語ったジョーンズは「私たちには試合に勝つ力があると感じていた。試合に臨んだとき、私たちには49ersに勝つ力があると思っていた。でも勝てなかった。だが、私はNFLのどのチームとの対戦にも不確かな期待を持って臨まない」と続けた。

【RA】