WRトニーに“1つのミスで君が定義されるわけではない”とチーフスQBマホームズ
2023年12月15日(金) 13:16カンザスシティ・チーフスのワイドレシーバー(WR)カダリウス・トニーにとって、今季は苦難の連続だ。
パスを落とすことが2023年におけるトニーのパフォーマンスの最も大きな問題となっている。しかし、トニーは現地10日(日)に行われたバッファロー・ビルズ戦の試合終了まで残り2分を切ったところで、タイトエンド(TE)トラビス・ケルシーが後方へ投げたパスをキャッチ。そこからエンドゾーンに到達したトニーを見て誰もが逆転タッチダウンを決めたと確信した。しかし、この魔法のようなプレーはトニーのミスによって無効になっている。トニーはラインナップ時にスクリメージラインを越えていたのだ。
チーフスのクオーターバック(QB)パトリック・マホームズはこの判定に激怒し、サイドジャッジにそれを訴えた。その後、再び攻撃権を得ることができなかったチーフスはビルズに20対17で敗北。最終的にマホームズは自分の怒りを収め、オフィシャルが正しい判定を下したことを認めた。その結果、意図せずして再びトニーにスポットライトが当てられている。
マホームズは水曜日に、チームメイトに責任をなすりつけることには興味がないと発言。むしろ、マホームズはトニーを元気づけることに集中しているようだ。
『ESPN』によると、マホームズはトニーへのメッセージとして次のように語ったという。「ありのままの君でいてくれ。人生でもこのリーグでも、君にできることはそれだけだ。ミスを犯すこともあるだろう。人生にはいろんなことが起こる。その逆境をどうやって受け止め、乗り越え、正しい方法でやっていくのか?」
「1つのミスを犯したからといって、それで君が定義されるわけじゃない。そのミスにどう対応するかだ」
2022年シーズンにトレードで加入してからおよそ1年しか経っていないが、トニーはチーフスであらゆる結果を残してきた。チーフスがフィラデルフィア・イーグルスに逆転勝利した第57回スーパーボウルでは、第4クオーターにタッチダウンを決めてチーフスに1点のリードをもたらした後に、パントをリターンして次のポゼッションにおいて重要なタッチダウンをお膳立てするなど、極めて重要な役割を果たした。
一方、トニーは2023年シーズンに大きな失望を味わっている選手でもある。逆転に失敗したシーズン初戦での落球をはじめとし、レギュラーシーズンを通して数々のミスを犯してきたトニーは、関係者のフラストレーションを次第に高めてしまっている。
精彩を欠いているレシーバーはトニーだけではないが、最も目立っているのはトニーだ。それでも、マホームズはチームメイト次第で成功の可能性が大きく変わることを知っている。
「どのレシーバーも、俺が彼らを信じていることを知っている」とマホームズは言う。
「それが俺のやり方だ。このロッカールームにいて、どれだけ懸命にやっているかを見ていたら、俺は大事な場面でその選手を信じて、試合でプレーするチャンスを与えるつもりだ。俺が知っている限り、彼らのマインドセットは良い状態だし、彼らはただ試合に出てどんどん良くなっていきたいと思っている」
「彼らがここでどれだけハードに取り組んでいるかを見ているから分かる。そして、俺たちがこの努力を続けていくことができたら、シーズンが進むにつれて乗り越えられるような気がしている」
チーフスには以前にもこのような経験があり、2021年にはなかなか調子が上がらなかったものの、その後に調子を取り戻してAFC(アメリカン・フットボール・カンファレンス)チャンピオンシップゲームに進出した。その1年後、チーフスはねじれを解消し、スーパーボウルに返り咲いてスリリングな展開で勝利をつかみとっている。
しかし、今年のチーフスは過去2年のどちらの軌跡とも一致していない。その主な理由となっているのは、マホームズにとってケルシー以外に信頼できるターゲットがいないことだ。新人WRラシー・ライスはケルシーに次いで最も信頼できるオプションとなっているものの、マホームズには他にあまり選択肢がない。
その結果として、チーフスが再びスーパーボウルに間に合う形で解決策を見いだせるのかと多くの人が疑問に思っている。そのような疑念に耳を貸そうとしていないケルシーは“われわれ対彼ら”というメンタリティーを採用し、次のように強調した。
「多くのメディアがうちのチームのスキルプレーヤーを指弾しているけど、そんなのはくたばっちまえと思っている。言葉遣いが悪くて申し訳ない。俺たちはいつも軽いノリで罵っているけど、うちのスキルプレーヤーとかオフェンスの悪口を言っているのが誰であれ、そう感じざるを得なかっただろう」
「これはグループの努力で成り立つもんだ。映像を見たら本当のことが分かる。このゲームをプレーできる選手がいて、このゲームで共に成功をつかみ、優勝を手に入れられる選手がいるっていうことがね。俺はそれを知っている。チャンピオンシップを制したチームに属してきたからだ。映像を見たらペナルティ、ターンオーバー、決定的な場面、何でも全員に責任がある。1人のせいじゃない。全員がそれに関わっているんだ」
【RA】