バッカニアーズとQBメイフィールド、来季の再合流に双方ともに興味
2023年12月25日(月) 10:55今季はクオーターバック(QB)ベイカー・メイフィールドにとって復活のシーズンとなっている。
カロライナ・パンサーズから見捨てられ、今年3月のフリーエージェント(FA)でほとんどのチームから見過ごされていた元ドラフト全体1位指名選手のメイフィールドは、2023年に確実なNFLのスターターとしての地位を再び確立してきた。
その過程で、メイフィールドが所属しているタンパベイ・バッカニアーズはプレーオフ争いの真っただ中にいる。現地24日(日)に行われたジャクソンビル・ジャガーズ戦に臨むにあたり、NFC(ナショナル・フットボール・カンファレンス)で第4シードの位置につけていたバッカニアーズは、ジャガーズ戦でも勝利を収めた。
これまでの結果がある展開につながっている。情報筋の話によると、メイフィールドとバッカニアーズは2024年に再び契約することに双方ともに興味を持っているとのこと。これまでクリーブランド・ブラウンズ、パンサーズ、ロサンゼルス・ラムズとチームを転々としてきたメイフィールドは、安定したホームを見つけたのかもしれない。
しかし、メイフィールドが新たな影響力を持った状態でフリーエージェントになる予定であることから、解決すべき問題が浮上する可能性はある。とはいえ、互いが互いにとって何を意味するかを踏まえた上で、両者は来季もその関係を続けたいと望んでいるようだ。
メイフィールドはすでにバッカニアーズで活躍に見合った報酬を手に入れることになっている。メイフィールドは400万ドル(約5億6,912万円)の基本給に加え、プレータイムインセンティブで100万ドル(約1億4,228万円)、チームがプレーオフに進出すればさらに100万ドルを受け取る予定だ。これに加え、パフォーマンスベースのインセンティブも用意されている。
キャリアで最も順調なシーズンを歩んでいる28歳のメイフィールドは、これまでにパス成功率64.3%、3,598パスヤード、26回のタッチダウンパスに対してわずか8回のインターセプトをマーク。バッカニアーズの新攻撃コーディネーター(OC)デイブ・カナルスとの相性も良く、バッカニアーズの4連勝に貢献している。
シーズン第14週および第15週にタッチダウン7回、ギブアウェイ1回を記録したメイフィールド。シーズン第15週に記録したアテンプト平均パスヤード(13.6ヤード)は2023年シーズンにおける全クオーターバックの中で最多タイ記録となった上に、メイフィールド自身の1試合あたりのキャリア最多記録にもなった。『Next Gen Stats(ネクスト・ジェン・スタッツ)』によれば、シーズン第16週を迎えるにあたって、メイフィールドの平均投球時間はキャリアベストの2.72となっており、10エアヤード未満のパスアテンプトで13回のタッチダウンを決めていたとのこと。
メイフィールドには今季、複数のタッチダウンパスを決めた一方でインターセプトが0回だった試合が6試合もあり、それを成し遂げた1シーズンあたりの試合数として2020年に残した自身の最多記録を更新している。
バッカニアーズはメイフィールドにフランチャイズタグをつけることも可能だが、契約をまとめる方が望ましいだろう。その理由は多くある。
バッカニアーズはメイフィールドにとって自分らしくいられる場所だ。メイフィールドはここ数シーズンに複数のトラブルを経験して慎ましくなったのか、以前に所属していたチームでは必ずしも見られなかった謙虚さを持っていると評されている。それもあってか、バッカニアーズの組織で働く人々はメイフィールドを、そこにいられることに非常に大きな喜びを感じている人物だと見ているようだ。
メイフィールドは毎週、オフェンシブラインの選手たちと夕食を共にし、備品室でスタッフと軽口をたたき、若手選手が学ぶのを辛抱強く見守るだろう。左肩のケガから回復する過程で悩まされていたメカニカルな問題のいくつかは解決し、メイフィールドは今後も好調を維持できそうだ。
バッカニアーズがどこまでやれるかはまだ分からない。しかしながら、メイフィールドのプレーのおかげもあって、バッカニアーズのヘッドコーチ(HC)トッド・ボウルズは今や年間最優秀コーチの候補に浮上している。
トム・ブレイディ時代にすべてを賭けていたバッカニアーズにとって、今季は再建とリセットの年になるはずだった。計算にもよるが、バッカニアーズは今年のキャップに7,500万ドル(約106億7,138万円)あるいは8,100万ドル(約115億2,509万円)のデッドマネーを抱えており、今シーズンにすべての打撃を受けている。
ブレイディが占めているのは3,500万ドル(約49億8,019万円)ほどで、その他の選手――オフェンシブタックル(OT)ドノバン・スミス(800万ドル/約11億3,822万円)、ランニングバック(RB)レナード・フォーネット(500万ドル/約7億1,139万円)、ガード(G)シャック・メイソン(430万ドル/約6億1,180万円)、タイトエンド(TE)キャメロン・ブレイト(350万ドル/約4億9,797万円)、ディフェンシブエンド(DE)アキーム・ヒックス(490万ドル/約6億9,716万円)、ワイドレシーバー(WR)フリオ・ジョーンズ(350万ドル)――はバッカニアーズが数名の若手選手と人気のないクオーターバックに頼り、必要最低限のものだけを装備したロースターを構築するためにチームを去った。
それにもかかわらず、バッカニアーズは現在もプレーオフ進出の可能性を残している。そして、その過程で未来を託せるクオーターバックを見つけたのかもしれない。
【RA】