人生において、時として最大のハードルは、最も粘り強いものでもある。

マイケル・ジョーダンとシカゴ・ブルズは、1991年に初タイトルを獲得するまで、“バッドボーイ”と呼ばれた。デトロイト・ピストンズとの対戦を4回乗り越えなければならなかった。クオーターバック（QB）ペイトン・マニング率いるインディアナポリス・コルツが、QBトム・ブレイディ率いるニューイングランド・ペイトリオッツを破り、インディアナポリスで初のスーパーボウル制覇を成し遂げるまでに、ポストシーズンでの対決を3回必要としたのは有名な話だ。

QBジョシュ・アレン率いるバッファロー・ビルズも、同じようになることを望んでいる。過去3年のうち2年でシーズン終了となる敗北を喫したカンザスシティ・チーフスと現地21日（日）に対戦するビルズ。今回はカンザスシティへの遠征を強いられることなく、ニューヨーク州オーチャードパークのハイマーク・スタジアムでチーフスを迎え撃つ。

2000年代のブレイディ対マニングのライバル関係との類似点を、NFLの歴史に詳しいファンならすぐに指摘するだろう。チーフスのクオーターバック、パトリック・マホームズもその類似点を認識しており、この挑戦を受け入れている。

『ESPN』によれば、マホームズは水曜日に記者陣に対し「俺たちは多くのビッグゲームでプレーしてきた。チャレンジに興奮しているよ。ブレイディ対マニングの試合を見て育ったし、たくさんの思い出がある。俺たちもそれと同じくらいいい試合をしたいし、俺たちの対戦で子どもたちに思い出を作ってあげたいね」と話したという。

現代のシナリオでは、マホームズはスーパーボウルを2度制したブレイディの役割を演じ、AFC（アメリカン・フットボール・カンファンレンス）のライバルを圧倒し続けようとする。一方アレンは、ブレイディ率いるペイトリオッツをスリリングな形で倒す前に、ライバル関係をホームスタジアムに移す必要があったマニングだ。

コルツがペイトリオッツを下したとき、それはまるでゴリアテ（旧約聖書に登場する巨人）を倒したかのようだった。チーフスはそのようなモンスターではないが、かなりの強敵であることには違いがない。チーフスはスーパーボウルのディフェンディングチャンピオンであり、アローヘッド・スタジアムの極寒の中、ビルズのAFC東地区のライバル、マイアミ・ドルフィンズを説得力のある内容で倒したばかりだ。

一方、アレン率いるビルズは、少しでこぼこした道を旅してきたが、ここ6試合はすべて勝利し、スムーズに進んできている。たとえフットボールの内容が最も美しいものでなくても、彼らは勢いに乗っており、レギュラーシーズンを支配してきたチーフスにも勝利して、連勝の波に乗りたいところだ。アレン対マホームズの対戦成績は3勝1敗となっている。

ジョーダン率いるブルズとアイザイア・トーマス率いるピストンズ、さらにはブレイディ率いるペイトリオッツとマニング率いるコルツの戦いとは異なり、アレンとマホームズが共有しているのは互いへの尊敬だけではない。2人は良き友人なのだ。そして非常に競争心の強い選手同士であり、それぞれが相手を打ち負かすこと以上に望むことはないだろう。

マホームズは「友人と競い合うとなると、余計に勝ちたくなる。ジョシュは素晴らしい男だ。俺は彼のフットボールのプレーを尊敬しているし、彼という人間も尊敬している。でも、フィールドの外では友人同士なのに、超競争的な2人が対戦するとなれば、お互い勝ちたいに決まっている。オフシーズンにはお互いに顔を合わせるし、少しは自慢できる権利を持ちたいものだね」とコメントした。

アレンが所属するビルズは今回ホームフィールドアドバンテージを持ち、マホームズにとってはカンザスシティや中立地以外でプレーする初めてのポストシーズン戦となる。特に、今シーズンにプレーオフを含めてホームで8勝1敗のビルズがハイマーク・スタジアムでどれだけ好成績を残しているかを考えれば、それだけでもチャレンジになるだろう。

アレン率いるビルズは今シーズンすでにチーフスを1度破っており、レギュラーシーズン直近の勝者としてチーフスとプレーオフで対決するのは、これで2回連続になる。

マホームズは「ビルズは素晴らしい相手だ。彼らが何度も俺の計画を見通してきたことはみんな理解していると思う。プレーオフで対戦できたのはラッキーだったけど、今シーズンの初めには彼らに負けた。だから、試合に勝つためには最高のフットボールをしなければならないことは理解している。特に今回は彼らのホームで戦うことになるけど、まだ俺たちのシーズンを終わらせるわけにはいかない。ただ前進するだけだし、生き残って、前進して、次のラウンドに進む方法を見つけるんだ。今週末は挑戦し、フィールドに出て、フットボールの試合に勝つだけだ」と話した。

ことわざにもあるように、1つのチームに2度勝つのは難しい。ビルズは今週末、その偉業を成し遂げたい。そして、その過程でこれまでの流れを断ち切りたいところだ。

【AK】