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オーバータイムの新ルールについて選手と話し合う必要があると感じていなかった49ersのシャナハンHC

2024年02月14日(水) 18:21

サンフランシスコ・49ersのヘッドコーチ(HC)カイル・シャナハン【AP Photo/John Locher】

第58回スーパーボウルでカンザスシティ・チーフスに25対22で敗れてから2日が経過してもなお、サンフランシスコ・49ersのヘッドコーチ(HC)カイル・シャナハンは、ポストシーズンにおける新ルールを考慮した上で、延長戦で最初にボールを受けるという判断を下したことに対する疑問に直面している。

しかし、シャナハンHCはチーフス戦での判断は正しかったと、今も固く信じているようだ。

また、シャナハンHCは大一番に向けたミーティングで選手たちに新しいオーバータイムのルールの複雑さを説明せず、代わりにポジションコーチに詳細を説明させたことについても後悔していない。

現地13日(火)、シャナハンHCはシーズン終了後の記者会見で「コイントスを待っている間に全員に伝えた。ポジションコーチたちにそうするように頼んだが、スーパーボウルウイークのミーティングでは取り上げなかった」と明かしている。

「それで何かが変わるとは思わない。分析部門と一緒にやったことだ。私たちはプレーオフを迎えるにあたって、そうすると決めた。そういうことに関して私がどのように決断を下すかを説明してきたことは、皆さんもご存知だろう。私は得られる情報をすべて取り入れる。特に、経験のないことに関してはね。私たちの分析では、それが最善の方法だと感じた」

「だが、あなたたちもご存知のように、私は常にそれに従うわけではない。彼らが言うこと、彼らが正しいと思うことを考慮に入れた上で、戦いの最中には自分の直感を信じる。彼らが何を感じながらそれに臨むかは分かっている。私は決断を下さなければならない瞬間にそれを考える。あのタイプの試合は彼らがベストだと感じていた方法にマッチしていたと思う。どちらかと言えばフィールドゴールで決まる試合のように見えた。それに、うちのディフェンスはその直前まで本当に長い時間試合に出ていた。だから、あの時はそれを覆そうという気持ちはまったくなかった」

戦いの最中に起こったことは、スーパーボウルの歴史に永遠に刻まれることになった。

レギュレーション上で残り1分53秒となったところで3点差をつけられていたチーフスは、64ヤードのドライブでわずか3秒を残して同点に持ち込む得点を挙げ、試合はスーパーボウル史上2回目の延長戦にもつれこんだ。

2年前に導入された延長戦のルール――2021年AFC(アメリカン・フットボール・カンファレンス)ディビジョナルラウンドでチーフスがバッファロー・ビルズに延長戦の末に勝利したことが導入の決め手となった――によって、49ersとチーフスは(セーフティあるいはディフェンシブタッチダウンを除き)先攻チームがタッチダウンを決めたかどうかに関係なく、ボールを保有するチャンスを得ることになっていた。

どちらのチームもタッチダウンを決める、あるいは最初のドライブでターンオーバーを犯した場合にのみ、試合はサドンデスとなる。

49ersの分析部門がシャナハンHCに伝えたことと、ディフェンスが試合中にチーフスを1回のタッチダウンに抑えていたという事実、そして休憩時間がどうしても必要だったことを踏まえると、コイントスに勝った49ersにはレシーブを選択するすべての理由がそろっていたと言えよう。

ジェネラルマネジャー(GM)ジョン・リンチはその決断を支持し、「私たちは単純にプレー11回のドライブを締めくくって、それで試合を終えたのだと私は思っている」とコメント。

「(チーフスのクオーターバック/QBパトリック)マホームズと対戦するときは、彼を追いかけることが多くなるものだ。つまり、そこでは多くの労力が費やされることになる。そういう意味では、リフレッシュするための時間が必要になると思う。そういったことがすべて絡んでくるし、あれは適切な判断だった」

QBブロック・パーディー率いる49ers攻撃陣は、延長戦で残り時間が7分22秒になるまでプレー17回、76ヤードのドライブを展開してディフェンスに必要な休息時間を提供。チーフス陣9ヤードラインまで迫ったものの、そこで失速し、フィールドゴールを選択した。それにより、チーフスはタッチダウンを決めて試合を終わらせるチャンスを得ている。

チーフスはプレー13回のドライブでそのチャンスをものにした。そのドライブには、何が必要か正確に把握していたおかげで判断できた第4ダウンコンバージョンも含まれている。

シャナハンHCは延長戦の3回目のポゼッションで試合を終わらせることを望んでいた。しかし、49ersが再びチャンスを得ることはなかった。

チーフスの選手たちは、自分たちがこのルールの成り立ちに影響を与えたからかどうかは別として、かなり前からプレーオフのオーバータイムに関する新たな調整を、アンディ・リードHCから教え込まれていたと明らかにしている。

一方で、ディフェンシブエンド(DE)アリク・アームステッドやフルバック(FB)カイル・ユーズチェックといった49ersの選手たちは、正確なフォーマットを理解していなかったことを認めた。とはいえ、パーディーは『ESPN』のニック・ワゴナーにQBコーチのブライアン・グリーシーから延長戦が始まる前にルールに関する説明を改めて受けたと明かしている。

また、ユーズチェックもヘッドコーチと同様に、前もってポストシーズンにおけるオーバータイムのルールに焦点を当てることによって、どのような違いが生み出されるかは分からないと発言。

ユーズチェックは『The San Francisco Chronicle(ザ・サンフランシスコ・クロニクル)』のマイケル・シルバーに「選手の俺にとってはまったく何も変わらない」と話している。

「ルールを知っていても知らなくても、俺はフィールドでまったく同じことをしようとするだろう。みんなただ(シャナハンHCを)非難する方法を探しているだけだ」

選手たちがルールを明確に理解していなかったことが相まって、延長戦の決断が功を奏しなかったことは、49ersのビッグゲームで勝利する能力に対する批判に拍車をかけている――5年で2度、スーパーボウルで敗れた後ではなおのことだ。

ロンバルディトロフィーまであと1勝というところまで迫るために49ersが勝利してきたすべての試合に目を向けているシャナハンHCは、49ersが大一番で勝てないというシナリオを認めず、次のように述べている。

「つまり、あなたたちは認識を正したいと考えている。私はフットボールについて知っているからこそ、勝ちたいと思っている。もし私が認識を正せば、それは私がやりたかったことをすべてやったということになると分かっている。それは認識を正すことではなく、スーパーボウルで勝つことだ。しかし、ビッグゲームと言われても、私はスーパーボウルに行くためにビッグゲームで何度も勝たなければならないことも知っている。私たちはここで多くのビッグゲームを制してきた。プレーオフに進出するために、多くのビッグゲームで勝ってきた。プレーオフに進出し続けているという事実が、私たちがいかにビッグゲームで勝っているかを物語っている」

「あなた方がどんなシナリオを描こうと勝手だが、成功も失敗も、結局は1試合にかかってくる。1年の最後にその1勝を挙げるチームの一員になれることを願っているが、ナイナーズがビッグゲームで勝てないと言うのは、ものすごく不的確な発言だ」

【RA】