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WRアイユークとの契約延長に前向きな49ersのリンチGM

2024年02月14日(水) 18:29

サンフランシスコ・49ersのブランドン・アイユーク【AP Photo/Jed Jacobsohn】

スター選手をそろえるにはそれなりのコストがかかる。

才能あふれる選手の宝庫であるサンフランシスコ・49ersは、今後数年間にわたって、NFLのどのチームよりも大金をかけた決断を迫られる。

その1つが、ワイドレシーバー(WR)のブランドン・アイユークの行く末に関わる決断だ。アイユークは49ersのスターに成長し、5年目オプションを持った状態で2024年のシーズンを迎える。

49ersのジェネラルマネジャー(GM)ジョン・リンチは現地13日(火)、アイユークの延長がオフシーズンの最大の優先事項かと問われ、こう答えた。

「すべてのことに優先順位をつけなければならない。ブランドンが5年目のオプションに入っているのは知っての通りだが、ブランドンは間違いなく素晴らしい選手だ。カイル(シャナハン/ヘッドコーチ)は彼の試合に挑む姿や、競い合う姿を見て、いつも“戦士”と呼んでいるよ。彼のプレーは、訓練された目であろうとファンであろうと、誰の目にも輝いて見える。それに彼が情熱を持ってプレーしているのもわかるし、積み重ねてきた成果を見ても明らかだ。. 私たちは彼がここまで成長したことを大変誇りに思っているし、彼自身もきっと誇りに思っている」

「それで、このチームは高額契約を結んでいるベテラン選手と、高額契約を望んでいる選手で構成されている。チームの中には、CBAが認めないから、今は高給を得られていない重要な選手もいる。だから、全選手が1つの大きなパズルの一部のようなものなんだ。カイルと私は何年もかけて流れを作り上げてきた。カイルがシーズンに集中し、私たちがすべての計画を立て、私たちが彼にいろいろなことを提示し、それをやり遂げるという流れだ。もちろん、ブランドン・アイユークのような選手には今後も活躍してもらいたい」

49ersの知名度の高い有名選手たち――ランニングバック(RB)クリスチャン・マカフリー、タイトエンド(TE)ジョージ・キトル、WRディーボ・サミュエル――の4番手として活躍しているにもかかわらず、アイユークは2シーズン連続でチーム最多のレシーブ数を記録している。

49ers加入当初はシャナハンHCにあまり気に入られないことが度々あったアイユークだが、2022年シーズンにはキャリアハイのタッチダウンレシーブ8回をマークし、キャッチ数(78回)とヤード数(1,015ヤード)の両方でチームをリード。

続く2023年シーズンにはチーム最多のレシーブ75回で1,342ヤード、ロースター最多タイのタッチダウンレシーブ7回という成績だった。

こうした貢献により、アイユークは即座に契約延長候補となる。リンチGMが言ったように、49ersはその可能性を探るに違いない。しかし、チームはすでに他の攻撃陣のプレーメーカー数人に高額な契約金を支払っており、数年後にはクオーターバック(QB)ブロック・パーディーとの契約延長が控えている。

『Over the Cap(オーバー・ザ・キャップ)』によると、プレー続行を希望しているレフトタックル(LT)のトレント・ウィリアムスは、2024年シーズンを迎えるにあたってオフェンスで最も高額な選手で、サラリーキャップ額は3,160万ドル(約47億5,505万円)になるという。さらにウィリアムスのすぐ後ろには前述のアイユークを中心とした3人の武器が控えている。

サミュエルとキトルのサラリーキャップは合わせると5,060万ドル(76億1,418万円)になる。NFLのランニングバックの年俸は高額ではなくなっている傾向にあるものの、マカフリーはこのポジションで最も年俸の高い選手になる予定だ。

そのため、リンチGMをはじめとする49ersのフロントオフィスは、多少の知恵を絞る必要があるかもしれないが、アイユークにはそれだけの価値がある。

アイユークがフィールド上で稼ぐ数字の重みは、他の選手の契約に関する問題よりも大きい――たとえ、その数字がプレーオフで少し落ちたとしても。

アイユークはポストシーズン3試合ではわずかレシーブ9回で149ヤード、タッチダウン1回。キャッチ率はレギュラーシーズンの71.4からプレーオフでは45.0に急落し、2023年の1試合を除いてすべて下回った。

スーパーボウルでの延長戦での敗戦と相まって、火曜日、ロッカーを片付けながらアイユークから感情があふれ出たのかもしれない。

49ersに残りたいかと聞かれて、「それが正しい動きなら、そうだね」とアイユークは返答。

アイユーク自身にとって“正しい動き”とは何かと問われると、「チャンピオンになることだ」とつけ加えている。

契約最終年の年俸が1,410万ドル(約21億2,204万円)であるアイユークが、2024年に49ersに戻ってこないとは言い切れない。しかし、メディアの取材に応じた際、現在のチームメンバーについて思い出に残っていることを語った時、アイユークはなお涙を流しそうになった。そして、第58回スーパーボウルでの敗戦は、これまで経験したポストシーズンでの敗戦の中で最もつらいものであったかという質問に対して、アイユークは黙ってうなずいている。

もし49ersがこのオフシーズンに“正しい動き”を見せれば、きっとこのアイユークの涙は、来年の今頃、ロンバルディトロフィーを手にした幸せの涙になっているに違いない――それは49ersと長期契約を結ぶことから、始まるだろう。

【KO】