チーフスGスミスが記録的な契約延長を実現、NFL最高額の報酬を得るガードに
2025年07月16日(水) 10:31
カンザスシティ・チーフスが期限内に、ライトガード(RG)をしばらくの間チームにとどめる契約を締結した。
現地15日(火)、トレイ・スミスが7,000万ドル(約104億2,580万円)の保証を含む4年9,400万ドル(約140億0,036万円)の契約を結ぶと『NFL Network(NFLネットワーク)』のイアン・ラポポートが報道。この契約はフランチャイズタグに代わるものとなる。ラポポートによると、スミスはNFLで最高額の報酬を誇るガード(G)になるとのこと。
その後、チーフスは火曜日のうちにスミスとの契約延長を正式に発表した。
2月にフランチャイズタグをつけられ、1年2,340万ドル(約34億8,520万円)の契約を提示されたスミス。7月15日(火)までに長期契約で合意に至れなかった場合は、フランチャイズタグのもとでプレーすることになっていた。2024年シーズンにプロボウルに選出されたスミスは、今オフシーズンにフランチャイズタグ指定された2人のうちの1人だ。もう1人はシンシナティ・ベンガルズのワイドレシーバー(WR)ティー・ヒギンズで、スミスもヒギンズに続く形で長期契約を手に入れている。
今回の状況は、チーフスが最後にフランチャイズタグを使用したケースとは大きく異なる。チーフスは2024年3月にCBラジャリウス・スニードにタグを適用したが、数週間後にトレードで手放した。
今年のチーフスはその時期を過ぎても動きに出ず、ジェネラルマネジャー(GM)ブレット・ヴィーチは4月18日に開いたドラフト前記者会見でスミスとの長期契約締結を望んでいることを改めて強調していた。
とはいえ、そうした契約をまとめるには時間がかかる。特にスミスのような実力のあるオフェンシブラインマン(OL)の場合はなおさらだ。最近26歳になったばかりのスミスは昨季、プレーオフでの最後の2試合でそれぞれ1回ずつサックを許したものの、レギュラーシーズン中は一度もサックを許さなかった。また、スミスはフランチャイズタグを付与された状態ですでに2025年に最高額の報酬を得るガードになることが決まっていた。
それでも、チーフスは期限直前に目標を達成し、クオーターバック(QB)パトリック・マホームズを守るオフェンシブラインを強化するために多額の資金を投じることを決めている。
スーパーボウルでフィラデルフィア・イーグルスに敗れた際にプロテクションがチーフスの弱点であることが露呈したが、それ以前からマホームズのブラインドサイドについては疑問符がついていた。チームはシーズン途中にGジョー・トゥニーをレフトタックル(LT)にスライドさせることによってようやく解決策を見出している。
しかし、それはあくまで一時的な措置であり、チーフスは今オフシーズンに年上のトゥニーをシカゴ・ベアーズにトレードすることで、事実上スミスを選んだ。その後、チーフスはレフトタックルとして起用することを念頭に、2025年ドラフト1巡目でジョシュ・シモンズを指名している。
スミスの新たな大型契約とシモンズの1巡目指名に加え、チーフスはクリード・ハンフリーにセンター(C)として最高額の年平均額(1,800万ドル/約26億8,092万円)を、ジャワーン・テイラーにライトタックル(RT)として4番目に高い年平均額(2,000万ドル/約29億7,880万円)を支払うほか、LTジェイロン・ムーアに年平均1,500万ドル(約22億3,410万円)という多額の報酬を与えることになっている。2024年ドラフト2巡目指名を受けたキングスレイ・スアマタイアはレフトガード(LG)を務める予定だ。
そうした動きによって強力な(ただし高額な)6人をそろえたチーフスは、オフェンシブタックル(OT)ワーニャ・モリスやGマイク・カリエンドといった控え選手も擁する中、今後の数カ月でケガやパフォーマンスの問題に対応しながら最適な先発メンバーを模索していくことになる。
チーフスの2025年のオフェンシブラインはしばらく前から固まっていたものの、その場しのぎの1年契約を結ぶことなくスミスの将来を長期にわたって保証したことにより、2年連続でオールプロのファーストチームに選出されたトゥニーと決別するという判断がより理にかなったものとなっている。スミスがハンフリーとともに中央を固めることで、相手チームは今後数年間、最も直接的な方法でマホームズに到達することが難しくなるだろう。
チーフスにはトレーニングキャンプを控えた束の間の休息期間にうれしい知らせが届いた。スミスとその仲間たちはトレーニングキャンプでNFL王座奪還に向けて歩みを進めることになる。
【RA】