ニュース

QBカーク・カズンズがファルコンズと4年264億円の契約に合意

2024年03月12日(火) 10:56


ミネソタ・バイキングスのカーク・カズンズ【AP Photo/Matt Rourke】

クオーターバック(QB)カーク・カズンズの6年間におよぶミネソタ・バイキングス在籍期間が終わった。

『NFL Network(NFLネットワーク)』のトム・ペリセロが報じたところによると、ベテランQBのカズンズが現地11日(月)にアトランタ・ファルコンズと4年1億8,000万ドル(約264億4,605万円)の契約に合意したとのこと。

カズンズは今回の契約で、5,000万ドル(約73億4,735万円)のサインボーナスを受け取り、今後2シーズンで9,000万ドル(約132億2,523万円)、2026年にはさらに1,000万ドル(約14億6,947万円)が保証されることになっており、保証の総額がなんと1億ドル(146億9,470万円)に上るとペリセロは報じている。

カズンズがファルコンズに移ることを最初に発表したのは、カズンズの代理人を務めるマイク・マッカートニーだ。

この6シーズンにわたって安定したプレーを見せていた場所であり、カズンズ自身とその家族にとって快適な住処(すみか)となっていたミネソタを離れること、そして、その行き先がアトランタであることを踏まえると、月曜日のニュースはさらに衝撃的だったと言えよう。

35歳のカズンズはバイキングスに戻ってくると多くの人が信じていた。カズンズがアキレス腱(けん)を負傷して戦線離脱した後、フランチャイズクオーターバックがいないままNFLで戦うことがいかに難しいかを、バイキングスが身をもって学んだばかりだったというのが、その主な理由だ。バイキングスは慣れ親しんだカズンズを呼び戻す代わりに、オープンマーケットで自分の実力を試すことを許可。そして、カズンズはファルコンズからのオファーを受け入れ、家族とともに南に移動することになった。

バイキングスのジェネラルマネジャー(GM)クウェシ・アドフォ・メンサは月曜日に発表した声明で「カークと彼の代理人と、重要かつ前向きな対話を重ねたが、私たちはカークとミネソタ・バイキングスの双方の短期的および長期的ビジョンに合った契約で合意に至ることができなかった」と明かしている。

「カークはバイキングスの歴史において特別な存在であり、6シーズンにわたって彼がリーダーシップを発揮し、チームとミネアポリス・セントポール地域に貢献してくれたことに感謝している。彼と妻のジュリー、そして彼らの子どもたちの幸せを願っている」

「フリーエージェントに向けての私たちのアプローチには常に、クオーターバックポジションに関して、何重もの不測の事態が含まれていた。私たちはチャンピオンシップを争えるロースターを作り続けられるような計画を進めていくつもりだ」

2シーズンにわたり、クオーターバックのプレーが安定せずに苦戦を強いられてきたファルコンズは、今オフシーズンにQB市場で積極的な動きを見せると予想されていた。特に、前ヘッドコーチ(HC)アーサー・スミスが昨シーズンに何度もQBデズモンド・リッダーをベンチに下げて、タイラー・ハイニケを起用していたことを踏まえると、ファルコンズがリッダーにもう一度チャンスを与えることは決して現実的ではなかった。カズンズは理想的な選手のように見えたが、それが実現するには、2018年にリーグ史上初となる完全保証契約をカズンズに与えたバイキングスが、カズンズがフリーエージェントになることを認めなければならなかったため、実現不可能な組み合わせだと考えられていた。

別れの予兆が最初に現れたのは、先月にインディアナポリスでNFLスカウティングコンバインが実施されたときだ。アドフォ・メンサGMは以前、2024年にカズンズをチームに呼び戻す意向を表明していたが、スカウティングコンバインの場ではカズンズのチームでの将来について言及していなかった。

2月27日、アドフォ・メンサGMはカズンズについて「私たちには私たちの、彼には彼の関心事がある」と述べ、「創造的な解決策を見出し、落としどころを見つけられるかを確認するために交渉するつもりだ。どの契約交渉もそういうものだし、彼との交渉もそうなるだろう」と続けていた。

2024年シーズンを迎えるにあたって、バイキングスの最優先事項はスーパースターのワイドレシーバー(WR)ジャスティン・ジェファーソンの契約を延長することだ。現時点でバイキングスのキャップスペースには3,710万ドル(約54億5,270万円)の余裕があるため、契約成立の余地はある。カズンズとの交渉は、カズンズが他チームに目を向けるのを防げるほど合意に近づかなかったようで、ファルコンズからオファーを出されたカズンズはそれに応じた。

カズンズはバイキングスでプレーオフ進出2回、プロボウル選出3回を経験し、先発として出場したレギュラーシーズンゲームの成績は50勝37敗1分、ポストシーズンの成績は1勝2敗だった。バイキングス在籍期間に2万3,265パスヤード、タッチダウン171回に対してインターセプト55回、パサーレーティング101.2をマークしたカズンズは、自分のことを平均的なクオーターバックに過ぎないと批判する者に耳を貸さず、ワイドレシーバー陣が大きく入れ替わったり(ジェファーソンの獲得につながった、ステフォン・ディッグスのトレードや、アダム・シーレンの退団)、2021年シーズン以降にコーチ陣が変わったりしてきた中でも、バイキングスを一定の成功に導いてきた。

カズンズがファルコンズに移ったことは、QBジャスティン・フィールズのトレードを検討していると見られているシカゴ・ベアーズにとって、好ましいトレード相手が1つなくなったことも意味している。ファルコンズはかつてオハイオ州立大学のスター選手だったジョージア州出身のフィールズに声をかけるだろうと、フットボール界全体が予想していたが、ファルコンズは巧みにその予想を裏切り、その代わりにQBポジションをすぐに安定させられる、実績のあるベテラン選手を獲得した。

カズンズが自分のチームをスーパーボウル制覇に導けるかどうかは、何時間でも議論できることだろう。何年も不安定だったファルコンズは何よりも信頼できる選手を求めており、カズンズにそれを見出した。カズンズは今後、タイトエンド(TE)カイル・ピッツや急成長中のWRドレイク・ロンドン、優れた才能を持つランニングバック(RB)ビジャン・ロビンソンなど、驚異的なアスリートを擁するオフェンスに加わることになる。

【RA】