有望なQBがそろうドラフトの全体5位指名は“エキサイティング”とチャージャーズHCハーボー
2024年03月26日(火) 16:41ロサンゼルス・チャージャーズのヘッドコーチ(HC)ジム・ハーボーは、2024年NFLドラフトでチャージャーズより有利なチームはないと考えている。チャージャーズは全体5位指名権を保有しているが、10年ぶりにリーグに戻ってきたハーボーにとっては、最も有利な立場のように感じられるようだ。
ハーボーは年次リーグミーティングの場で「最初の4回の指名で4人のクオーターバック(QB)が指名されるという話もある。そうなれば、うちの指名権はドラフトで全体1位指名権のようなものになる」と報道陣に述べている。
「最初の4回で4人のクオーターバックが指名されたら、それはもはや5位指名権ではなくなる。すでに優秀なクオーターバックがいるチームにとっては、ドラフト全体1位指名権のようなものだ」
QBジャスティン・ハーバートを擁していることで、チャージャーズは特別な柔軟性を手に入れることができる。つまり、ハーボーのシナリオ通りになれば、チャージャーズはQB以外のトップ選手を獲得できるということだ。しかし、例えば最初の4回で3人のクオーターバックが指名されたとしても、トレードダウンなどによって、新たに自分が率いることになったチームが有利な立場に立てる可能性があると見ているハーボーは、こう語っている。
「つまり、4人のクオーターバックが連続で指名されることはないだろう。そういう前例はない。だが、全体5位で指名する時が来て、誰かが求めているとき、そこにはまだ別のクオーターバックがいるかもしれない。繰り返しになるが、それは全体1位指名権のようなものだ」
「エキサイティングな指名権だ」
そこにはある種の皮肉な展開が待ち受けている。つまり、完ぺきな世界が存在するならば、ミシガン大学時代にハーボーの下でプレーしていたクオーターバックが、ハーボーの新たなチームで何が起こるかを左右することになりかねないということだ。昨シーズン、J.J.マッカーシーはミシガン大学ウルバリンズを、ハーボーにとって初となる全米タイトル獲得に導いた後、ドラフト参加に向けて早期に資格を取得すると宣言。一方のハーボーは自分が指導したクオーターバックを称賛し続けてきた。
ハーボーは以前、マッカーシーはミシガン大学史上、最も優れたクオーターバックだと思うと話している。もちろん、それには元QBトム・ブレイディやハーボー自身も含まれているはずだ。現在、マッカーシーのプロとしてのポテンシャルを絶賛しているハーボーは、マッカーシーはグループの中で“最もうまくクオーターバックとしてプレーする”ため、優秀な選手がそろっているドラフトの中でも最高のクオーターバックだと評している。
ウルバリンズのプロデーに参加するためにミシガン州アナーバーに戻ったハーボーは、マッカーシーが見せたパフォーマンスはプロデーの歴史の中でも群を抜いていたとコメント。
「私はプロデーのワークアウトに何度も参加し、クオーターバックの投球を見てきたが、J.J.のワークアウトは、プロデーで見てきたクオーターバックの中で最も素晴らしいものだった」と強調したハーボーは「今まで見た中で最高のスローイングデーだった」と続けている。
自尊心のあるコーチなら誰でも反射的にそうするように、ハーボーがかつての選手に肩入れしているだけだと指摘するのは簡単だ。とはいえ、ハーボーが単に現在のドラフト指名順位の価値を高めようとしているだけだと主張する人々には、マッカーシーに対するハーボーの称賛は一貫して好意的なものだと言うことができる。
ハーボーは2月、コリン・カウハードにマッカーシーがドラフト上位で指名されると思うと明かしたことで多くの人々を驚かせた。それは実現しないかもしれないが、マッカーシーがノースカロライナ大学のドレイク・メイやルイジアナ州立大学(LSU)のジェイデン・ダニエルズを差し置いて2番目あるいは3番目に指名されるQBになる可能性があるというのは、今となっては突拍子もない話ではない。
プロデーで素晴らしいパフォーマンスを見せたことによって、マッカーシーがその可能性をますます高めたと考えているハーボーは、こう話している。
「コーチやGMが私のところにやってきて“J.J.をうまく指導したね”と言ってくることがある。予想していた通り、彼の周りにいた人たちは、どのような形で彼がボードに載っているのか、フィールドではどうなのか、些細なこと、漠然としたことについての話をしていた。何の驚きもなかったが、絶賛の嵐だった」
「そういう話を聞くのはうれしいと同時に信じられなかったが、それが本心なのは分かっている。一方的なものだった。多くのGMが、多くのコーチが、良いところを言い尽くせていなかった。それを目の当たりにすることができた」
全体1位から3位の指名権を保有しているチーム(順にシカゴ・ベアーズ、ワシントン・コマンダース、ニューイングランド・ペイトリオッツ)は今オフシーズンにクオーターバックの補強を必要としている。全体4位指名権を保持しているアリゾナ・カーディナルスは来季もQBカイラー・マレーと共に歩んでいこうとしており、全体4位でQBを指名することはないと見られている。カーディナルスは全体5位指名権を持つチャージャーズと同様に、トレードダウンの有力候補だ。
クオーターバック以外で最初に指名される可能性が高い選手としては、オハイオ州立大学のワイドレシーバー(WR)マービン・ハリソンJr.が挙げられるだろう。カーディナルスとチャージャーズがトレードダウンせずにドラフトに臨む場合、ハリソンJr.はこの2チームが指名する候補になりうる。ハーボーがNFLに復帰してから最初に指名する選手がオハイオ州立大学バッカイズの選手であり、現役時代にNFLで共にプレーしていた選手の息子というのは、確かに魅力的だ。
ハーボーがNFLに戻ってきてから、チャージャーズは特にワイドレシーバーのサラリーを削減する必要に迫られてきた。マイク・ウィリアムスを放出し、キーナン・アレンをトレードしたことで、そのポジションには大きな穴があいている。また、昨季を5勝12敗で終えたチャージャーズには、別の部分の補強も必要だ。そのため、トレードダウンは現実に起こり得ることだと言えよう。
一方、ハーボーとチャージャーズにとっての最善のシナリオに、ハーボーのお気に入りのクオーターバックが全体5位以内で他チームに指名されることが含まれることは間違いない。
【RA】